玉瀬家の出戻り姉妹 (幻冬舎文庫 ま 33-6)

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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344433182

作品紹介・あらすじ

澪子は41歳。夫に浮気されバツイチ引きこもり中。ある日、売れっ子イラストレータとして活躍中の姉が金の無心にやってきて、流れで一緒に実家に出戻ることに。そんな訳あり姉妹を母は他人事と知らぬ顔。女三人の侘しい実家暮らしが始まるが、ある夜〝男〞の視線を感じて目が覚めて――。帰ればそこに家族がいて居場所がある。実家大好き小説誕生。

感想・レビュー・書評

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  • まさきとしかさん初読み。どのような話なのか前情報を入れずに読んだ。
    舞台は札幌。タイトルの通り、姉妹(46歳と41歳)が、離婚した母、「ひきこもり」の兄(47歳)のいる実家の一軒家に出戻るところから始まる。ここのお母さんが肝っ玉かあさん風なのだが、さりげない気遣いができたり、強く生きてきたからこその説得力のある言葉が次々と出てくる。「家族は所詮他人」と言い切る母親は、子供たちそれぞれの境遇に気を揉んだり、共感したり、心配したりはしない(少なくともそのように見えている)。他方、子供たちの敢えて痛いところをついたりもせず、実家には置いてくれているところに優しさを感じた。かえってそうした対応の方が変に悲観したり慌てふためいたりして感情的になるよりよっぽど良い。以前読んだ『死にたいって誰かに話したかった』に雰囲気が似た小説。人生、ままならなくてもありのままをまず受け入れ、希望を捨てず強く生きていく登場人物らの姿勢に触れ、不思議と前向きにしてもらえる本だった。

  • 「家族はしょせん他人の集まりだから」
    と言い切った お母さんが嫌いになれない。
    澪子が自分に見えたり、かと思えば香波的な部分に気がついたり、ノーリーがいいなと思えたり。
    血のつながりは それだけのことで お互いのことなんかわからなくて 当然 !のくだりでストンとおちた。

    青空をみて なに思う?

    正解はないよなぁ〜

  • 勝手にちょっとコメディータッチかと
    思ってたら、そんなことなく結構重いし
    結構辛辣。

    正直でてくる全員好きになれない。 
    唯一ノーリーはよかったな!1番思いやりがあった。

    母親や姉はデリカシーのかけらもないし
    澪子の自己肯定感が低くなるのも分かる。

    途中でたまたまスーパーで会う友だちも
    嫌な人すぎて、なんだこの人はと思ったし。

    とにかく澪子が辛い体験をしまくる
    たまたまバイト募集の張り紙を見ててそのオーナーに声をかけられ働いてと言われて働き始めたら
    使えない扱いをされ、最終的にみんなで話し合ってあなたはもう来なくていいからと言われる。

    そうかと思えば悪徳商法ぽいコールセンターに
    あたっちゃうし。。
    でもそこではっきりおかしいと私は辞めますと言えたことで澪子の何かは変わったかな
    あと、友だちと呼んでくれる人と会えたことや、最後はお局さんがいるホームセンターで働くことを選ぶけど、それがきっと強くなった証拠なのかな。

    解説のにしおかすみこさんの文章がすごく好みだった。ここはコメディータッチで、でも自分の仄暗いところもしっかり書いてて、にしおかさんの本を読んでみたくなった


  • 浮気され離婚して実家に舞い戻った澪子、41歳。

    バツ2でパニック障害持ちの姉。
    バツイチの母。
    引きこもりの兄。

    仕事も見つからない。主婦だったはずなのに料理もそれほど上手くない。

    引きこもりの兄ノーリーがかなり気になる存在だった。
    一番変わり者と思いきや、たぶんこの人があの家族の中で一番真っ当だった。

    家族って不思議だな。
    知っているようで何も知らないし、知らなくてもいいのだと思う。
    家族のことだって羨んだり妬んだり、心の中で下に見て自分の位置を確認することだってあるだろう。
    それでもいい、という安心感と、半ば諦めのような複雑な気持ち。

  • 初のまさき先生作品でした。
    ざっくり書くと家族の話なんですが、玉瀬家は家族全員バラバラで、全員がちょっと変わっているので、読んでいてその変っぷりに驚いたり疲弊したりするのに、どこか既視感があるのは、その変の一部が自分と似ている部分があるからだな、と思いながら読み進めていました。

    登場人物が恐らく全員変わっていて、ちょっと不器用に生きていて。他人と比べて自分の方がマシだと思ったり、やっぱり自分の方が駄目だと凹んだり。
    バラバラな家族に対して、煮え切らない気持ちを抱いてはいるのに、全てを手放す勇気も度胸もなくて。どうしようもない毎日が、劇的に変わることはないけど、昨日よりちょっとだけ、背伸びするように飛べる日があるかもしれなくて、そうなるだけで毎日がちょっと意味を持つかもしれない、と思わせてくれる作品でした。

  • 登場人物はなんだかダメなひとばかり。
    この人達とは仲良くなれない…と思いながら自分にも似た部分を感じてちょっとぐったりする。

    ぐったりする割にするっと読み終わって、背表紙の本の紹介を読んだら「実家大好き小説誕生」と。???
    あれ?そういう感じだった?
    全然違うわけではないけれど、このズレが登場人物それぞれの物事の捉え方によるズレなのかも…
    家族って長く一緒にいる時間のなかで同じ事象を見ているようで、実は違うものを見ている。

    そして、外から見てどうだろうと、自分の基準で余裕がある人は優しいのだろう。

  • 誰にも共感できないな…と読み進めたはずなのになぜか最後は救われた気持ちになった

  • なんだかじんわりと、家族という他人のことをテーマにしたお話。

  • 主人公は40過ぎの女性。
    離婚し実家に戻り同じく出戻りの姉と謎ののんびり兄、そしてガサツな母。

    もう少し歳をとって読むとまた違って見えるのかなとおもいました。

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著者プロフィール

1965年東京都生まれ。北海道札幌市育ち。1994年『パーティしようよ』が第28回北海道新聞文学賞佳作に選ばれる。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞。
著書に『熊金家のひとり娘』『完璧な母親』『大人になれない』『いちばん悲しい』『ある女の証明』『祝福の子供』『あの日、君は何をした』『彼女が最後に見たものは』などがあり、近刊に『レッドクローバー』がある。

「2022年 『屑の結晶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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