監禁依存症 (幻冬舎文庫 く 18-7)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344433212

作品紹介・あらすじ

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感想・レビュー・書評

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  • 櫛木理宇『監禁依存症』幻冬舎文庫。

    『殺人依存症』『残酷依存症』に次ぐ、『依存症』シリーズ第3弾。文庫書下ろし。

    何とも込み入った仕掛けの小説だろう。さらには、予想もしなかったまさかの事件の真相に驚愕。シリーズ全体を通じての鍵を握る謎の女、浜真千代が三度登場し、謎が謎を呼ぶ展開はまだまだ続くようだ。

    性犯罪者たちの犯行にも反吐が出るが、性犯罪者たちを弁護し、被害者たちにあの手この手で示談を持ち掛ける弁護士も相当な悪者だ。


    性犯罪者たちの弁護を行い、何度も示談を成立させて来た悪名高き小諸成太郎の9歳になるひとり息子の在登が誘拐される。しかし、小諸成太郎はタイのバンコクに出張中で、警察に連絡したのは妻の史緒だった。

    犯人は1億円の身代金を要求するが、急に連絡が途絶える。犯人の目的は一体……

    警察は小諸成太郎が過去に担当し、不起訴処分となった被害者家族を訪ね、犯人に迫ろうとするのだが……

    本体価格750円
    ★★★★★

    • ゆーき本さん
      ジローさんおはようございます´▽`)ノ
      櫛木理宇さんの作品は「死刑にいたる病」が怖すぎて それ以来手に取れずにいます。
      この作品は表紙カバー...
      ジローさんおはようございます´▽`)ノ
      櫛木理宇さんの作品は「死刑にいたる病」が怖すぎて それ以来手に取れずにいます。
      この作品は表紙カバーから怖すぎですね…
      Σ(ll゚Д゚ll)
      目には目を歯には歯を!
      2023/10/11
    • ことぶきジローさん
      ゆーき本さん。コメントありがとう。
      櫛木理宇の小説は結構ハードな内容のものが多く、苦手な方は躊躇しますよね。シリーズの3作目になりますが、な...
      ゆーき本さん。コメントありがとう。
      櫛木理宇の小説は結構ハードな内容のものが多く、苦手な方は躊躇しますよね。シリーズの3作目になりますが、なかなか全貌が見えて来ないところに面白さがあります。
      2023/10/11
  • 予想外の一冊。

    真千代さんシリーズ3。
    いきなり性犯罪者を擁護するシーンで幕開け。

    被害者サイドを侮辱抑圧し、一方通行的な弁護士に憤り、母親の煮えたぎる怒りに迷わず同調せずにはいられない。

    そして起きた弁護士の息子の誘拐事件。
    誰が何の目的で?
    なんとなく匂わせられる真千代さんの影にドキドキしながら、反吐が出るほどの性犯罪事件への憤りがたぎり、被害者たちの一生消えない深い疵が深く心に刺さった。

    いろいろと予想外の展開、そして正直、刺激強過ぎの裁きだったと思う。
    でも同じ目に合わなければ人は痛みを判らない、そう思うと納得。

  • かなり鬱展開でしたね。
    今回はさすがに気分が悪くて(ー ー;)

    法も絶対ではないですからね。

  • シリーズものの三作目なのに最初に読んでしまった・・・
    本屋さんで何となく気になってページをめくったら気になる日付があったのでちょっと縁を感じて購入。

    性犯罪の描写は気分が悪くなるものばかり。
    エレベーターとかそのへんの道とか、普段意識していないところにも危険があるということが印象に残った。
    ただ、男はみんなそういう感情をもっているみたいな描かれ方な気もして、それはどうなのかなとも思ったり、それでも性犯罪の割合を考えると・・・とも思ったり。

    黒幕的存在?の浜真千代については他の二作品からのつながりがあるのか、この作品だけを読んでいるとわからないところもあったかな。

    小諸弁護士の末路を読むと、表紙の「目には目を 歯には歯を。」がなるほど。という感じ。
    強烈だけどね・・・


    「女でいたくないってことと、男になりたいってことは全然違う。うちは、うちのままでいたいの。いまの自分のままで強くなって、妹やお母さんを守りたい」

  • 性犯罪者たちの弁護をし、度々示談を成立させてきた悪名高き弁護士の小諸成太郎。ある日、彼の九歳のひとり息子が誘拐される。だが、小諸は海外出張中。警察は過去に彼が担当し、不起訴処分となった事件の被害者家族を訪ねるが…。この誘拐は怨恨か、それとも身代金目的か…。ラスト一行まで気が抜けない、二転三転の恐怖の長編ミステリー。

  • 依存症シリーズが登場人物も続いているのを知らずに『殺人依存症』の次にこれを読んでしまいました。1作目に較べるとグロさは抑えられていて割と淡々と話が進むところがかえって不気味です。最後の50ページ位からはなんだかすごかった。しかし性犯罪者や悪徳弁護士が胸くそなので私刑なんか絶対にダメと言いきれない気持ちに傾いてしまいます。

  • No. 24ろ015B,7
    読了日:2024年 2月 3日

    読んでいる時、嫌悪感が凄かったです。

    殺人依存症、残酷依存症、監禁依存症を連続的に読んだのですが、メンタル的にとてもきついです。間を開けて読めば良かったと少し思っております。

  • 『殺人依存症』『残酷依存症』に続く依存症シリーズ第三弾。

    今回は、性犯罪者たちの弁護をし、示談を成立させて来た悪名高き弁護士・小諸成太郎に天誅が下る復讐ミステリー。

    ある日、小諸の9歳の一人息子が誘拐される。
    当然、その時点で小諸に恨みを抱く者の犯行だろうと予想するが、真相は遥か上をいく。

    性犯罪と私刑がテーマなだけに、加害者と、ただ裁判に勝つ事だけを目的とする悪徳弁護士、両者に対し怒りが膨れ上がり、ダークヒーロー・浜真千代の登場をひたすら待ち続けた。

    弁護士一家に起きた悲劇は全て因果応報、自業自得としか言えない。


  • 『殺人依存症』『残酷依存症』に続く三冊目。

    『監禁依存症』を読み終えて先ず思ったことは、
    前二冊を読んでかなり時間が経っているので
    せっかく読み終えたのに、どこかで大事な
    ピースを度忘れして細部を読み取りきれて
    ないんじゃないかとモヤモヤした印象が残った。

    犯罪に遭い身に降りかかった出来事が
    あまりに酷すぎて受け止め切れず、
    苦悩する被害者や家族の姿、消えない痛み、
    癒えない心の傷が生々しくて読んでいて辛い。

    罪を犯した加害者の残酷さや異常さも去ること
    ながら、間接的に傷を上塗りする法曹関係者や
    外部の人間の言動がもたらす二次被害の苛烈さ、
    タチの悪さに改めて胸焼けする思いがした。

    被害者本人や家族たちが因果応報を願いたく
    なるほどの恨みや憎しみが切々と伝わってきて、
    一読者の立場なのに報復感情を否定できなかった。

    物語の中で主人公が法律って一体なんだろう、
    なんのために、誰を守るためにあるのか、
    自問し葛藤する姿に共感しました。

    三冊を通して話の軸になる浜真千代は、
    人の心の隙間にするりと潜り込み抗えなく
    してしまう不思議な魅了があるけれど、
    思惑がわからなくて不気味。
    本作では、精神を支配し操る恐ろしさ
    だけではなくて、純然たる悪意の塊だったり
    凶悪な人間だと思えなくなって混乱して
    しまってます。

  • この依存症シリーズの中ではこれが一番面白くなかった。
    最初、このシリーズを読んだ時はこれが続きものになるとは知らず、これで完結として読んで十分楽しめた。
    だけど、同じようなタイトルで、同一の登場人物、以前読んだような出来事が描かれているのを見てシリーズ化したんだ・・・と知った。
    それが深みを与えているというよりは中途半端な印象を今回は受けた。
    何となく3つあるシリーズの真ん中を読んでいるような感じ。
    多分、私の記憶があやふやで、ほとんどストーリーを忘れてて印象的な出来事を断片的にしか記憶してないからというのもあると思う。
    間違いなく、3冊一気に読んだ方が面白く読めると思う。

    冒頭、幼い娘が男により性被害にあった女性の話から始まる。
    彼女は非情な弁護士に冷たい態度をとられている。
    そして始まる本編は2つのストーリーで構成されている。
    1つは、弁護士の子供である男児が誘拐されて身代金を要求される。
    そして警察の捜査が始まる。
    子供が誘拐された弁護士は性犯罪者の弁護をしている弁護士で、彼の弁護のおかげで犯罪者達は刑が軽くなっている。
    そんな、被害者からすれば憎らしい存在。
    もう1つの話は以前の話に出てきた若い女性の話。
    彼女は将来、どの道に進もうかと模索中。
    そんな彼女の前に、かっこいい生き方をしている同世代の女性が現れて二人は仲良くなる。
    そして、彼女の紹介で思いがけない人物と再会する事に・・・。

    最初からミスリードを誘う描き方をしていて、真相にはなるほど・・・となった。
    でも、何となくすっきりしない。
    その真相よりも、憎らしい弁護士を追い詰める様子が読みたかった。
    だけど、その復讐も何となく気持ち悪いやり方で、想像するだけで気持ち悪かった。
    何となく、いつもより踏み込んだ書き方をしてないせいか、ただただこの本に出てくる男たちが醜く露悪的に感じられた。
    彼らに怒りを覚えるというより、ただただ嫌悪感と別の星の動物でも見ているような感じになった。

    性被害は被害者の体を傷つけ心を殺す行為だと思う。
    それに対して罪は軽い。
    それはこの世は男性社会で、男性は同性の生理を理解し、女性の痛みを本当には分からないからというのもあると思う。
    男性だから、女性だからを超えて、人間として被害者の痛みを分かる世界にならないものか・・・と櫛木さんのこういう本を読んでて思う。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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