ロッド&ブレット (幻狼FANTASIA NOVELS M 3-1)
- 幻冬舎コミックス (2009年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344817890
作品紹介・あらすじ
釣りを愛する若き富豪ロッドは、森の中でひとりの行き倒れを拾う。彼の名はブレット。小国アリカにおける革命を成功させながらも、共に戦った同志に裏切られ、現在進行形でその命を狙われる革命家だった!口先と機転に長けたロッドと不器用で生真面目なブレット-凸凹コンビの活躍をユーモアたっぷりに描くハードボイルドストーリー、登場。
感想・レビュー・書評
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良かった。想像以上に良かった。これは掘り出し物だし、書店で手に取った自分の勘を褒めたい。
革命に絶望した革命家と、「嘘とつくのが得意な」人をくった大富豪がであい、革命の闇・負にとらわれたブレットのかつての教え子がその背後に迫る。
死を生み殺戮を生む今までの「革命」に対して、「日々の積み重ねと生活が革命なのさ」と語り、銃の代わりに日々のウィットを武器に革命を起こすのだ!という富豪ロッドの結論がかっこよすぎる。
紅一点、マドンナ的ポジションのテリーも良い味を出している。
「わたしは誰のことだって好きになるけど、あんたのことも好きなのよ」
「女はお気に入りのものをいっぱいに背負って生きていくのよ。もちろんお気に入りの人間も背負えるわ」
で、キス!
「何も背負っていないと人間以外のものがはいりこんじゃうわよ」
テリーは、はねっかえりでおてんばな詐欺師なのに、すごくほんわかする会話。
随所にこういう味のある言葉があった。
幻狼ファンタジアノベルスは、良いノベルスを着実に出している。
「萌え」と「エロ」が入り込み、まだライトノベルと呼称がつく前の、富士見ファンタジアであり、角川スニーカーが担っていたような、硬派で良質の物語を着実に生み出している。むかしは、一巻完結や、三部作程度の良質な物語がこうしたYA文庫にもたくさんあった。
…次第に駆逐されていったけれども。
メディアミックスも、バカ売れも望めないだろうけど、すごく好きだ、こういう真面目さ。
本当に幻狼ファンタジアにはがんばってもらいたい。
というか、アニメ絵が表紙の小説で購入してるのって幻狼とハヤカワくらいなものだよ!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
釣りをしている男の所へ、お腹をすかせた男が。
そうして出会った彼らは、淡々と事件に巻き込まれたり
事件を作ってみたり…。
ものすごく人懐っこいと言うか、猫のような女性は
延々ひっついてくるのかと思ったら、そうでも。
読んでいて、某3世のヒロインを思い出した程度。
色々と事件が起きて、それが繋がっているような感じで
話が進んでいきます。
ちょっとずつ見えてくる過去と、すごい解決方法。
詐欺師って恐ろしい…という感じです。
口がうまい人間になってみたいものです。
最後の最後に真打登場、でしたが、どの辺りが
カリスマを持っているのかさっぱり。
文章程度からは、拾えるものではないのでしょうか? -
おもしろかった。現実味が薄くて「えー」とツッコミ入れたくなるシーンもあったけど、その現実離れ感も許せるほどテンポ良く。会話も軽快。
釣りと銃の描写が妙に詳しく置いてけぼりながらもじっくり読んでしまった。詳しい人が読んだらどんな感想なのだろう。
まー人を読んでで少々つらくなる傷つけたり殺したりっていう描写もあり(クマかわいそうだし)、ギャング(ちんぴら?)とかテロリストとか出て来るし。
表紙の二人がペア(+1)で活躍するのかと思いきや別行動が多く、ブレットが1人でシリアス部分を担当してる気がしなくもない。 -
“「いや、せっかくだが遠慮する。だが、ここ一週間、主食がバッタだった。本当に助かった」
ブレットは立ち上がった。もう足はふらついてはいなかった。
「もう行くのかい?」
「ああ」
「どこへ行くんだい?」
「さぁ?」
「訳ありかね。行く場所が決まっていないなら、せめて美味いバッタがいる地区を紹介したいが、生憎と知らないんだ」
「生で食う限りどこも同じだ」
ブレットはそう言って歩き出そうとした。が、次の瞬間、彼はいきなりしゃがみ込む。
「はん。結局、体調は万全じゃないらしいね。意地を張って無理をするもんじゃ……」
ロッドはうずくまったブレットを気遣ったが、その言葉は途切れた。
銃声が響いた。”
エナミさんのイラストだったので。
性格の違うロッドとブレットの会話が読んでて楽しい。
“「妙なことなどしやしない」
首を振った。
が、テリーは、じとっとした眼でブレットを見返した。
「どうかしらね。あたし、これでも男を見る眼はめちゃくちゃあるわけよ。あんた、生きるか死ぬかって顔してるわ。そういう男の顔、昔、見たことあるのよね。決闘して死んじゃったけど」
「決闘?」
「もちろん、あたしを取り合って!」
テリーは自慢げに胸を張った。
ブレットは呆れて眼を逸らす。”