- Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344847347
作品紹介・あらすじ
耳と尻尾をもって生まれ、狗神の呪いだと両親にも見捨てられた鈴が出会ったのは、6歳年上の改。
鈴の耳を気持ち悪いと言わず、初めて優しくしてくれた人……。
鈴は改の訪れを楽しみに、宝物のような思い出を増やしていくが、改の留学により二人は引き離されてしまう。
もうすぐ二十歳を迎えようとしていたある日、屋敷にひとり残された鈴を迎えに来たのは、子供のころに出会った改で――。
感想・レビュー・書評
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犬の耳としっぽを持っているせいで家族から疎まれ、独りぼっちで生きてきた鈴。気持ち悪がらず、人として接してくれた改のことを慕うようになったのは当然の流れだったと思う。教育も受けず、人と関わることもなかった鈴は常識を知らないところもあるけれど、改を始めとした優しい「家族」のために頑張ろうとする姿は可愛くて、心から応援したくなった。鈴のことを大切にし過ぎてどうしていいか分からなくなっている不器用な改とのすれ違いはもどかしいけれど、お互いのことを第一に考えている2人は仲のいい家族としてずっと一緒に暮らしていきそう。
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溺愛・不憫受・執着攻と自分のすべての好みを網羅したお話。とにかく鈴が最初から滅茶苦茶可哀想すぎる。あまりに可哀想すぎて、鈴に少しずつ幸せをもたらす改の存在が唯一の救いに。そして、改を失ってから、鈴が改からの思い出を胸に耐える様がまた泣ける。
物語の転調も飽きさせないリズムでくるので、鈴が幸せになっていくのを感じられながら読み進むことができた。引き伸ばすことをせず、かといって無理矢理感もなくまとめてあって、良質の小説のよう。
とにかく、この属性が好きな人には読んで欲しい。あと、榊さんのイラストは変わらず美麗でほれぼれした。 -
★3.5