- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344980006
作品紹介・あらすじ
「もはや右翼も左翼もない時代」といわれる。が、依然「右‐左」のレッテルはさまざまなものに貼られている。しかし「では右って何?左って?」と訊かれると答えに窮する。「右‐左」の対立軸は何か?なぜ「上‐下」「前‐後」ではないのか?定義はもとより世界史的誕生の瞬間から派生まで、影響された日本の「右‐左」の特殊性から戦後の歪み、現代の問題点までを解き明かし、ここ百数十年の世界史とそれに巻き込まれた日本の歴史がわかる画期的な一冊。
感想・レビュー・書評
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日常で使われる「右」「左」という用語、なんとなく分かるようで分からなかったこの概念を歴史を紐解きながら解説する。
本書を読むと、この「右」「左」という概念が極めて相対的であり、ある時期には「右」であっても、時代の流れと共に「左」と認識されることもあり得ることが分かる。
*「左」「左翼」…人間は本来「自由」「平等」で「人権」があるという理性、知性で考えついた理念を、まだ知らない人にも広め(啓蒙)、世に実現しようと志す(p44)。
*「右」「右翼」…「伝統」や「人間の感情、情緒」を重視。「知性」や「理性」がさかしらにも生み出した「自由」「平等」「人権」では人は割り切れないと考える(p45)。
*「歴史は進歩している」「その進歩とは『自由』『平等』の実現をいう」とする考え方を前提に、その「進歩」をより先取りしようとする立場が「左」「左翼」で、押しとどめようとする立場が「右」「右翼」(p100)。
進歩史観的な軸で見ていくと分かりやすい左右の対立概念もまた、戦後になると四次元、五次元と、複雑な世界情勢を背景にその概念、対立軸が入り混じり、結局「ウヨ」「サヨ」といった軽い言葉へと変質してしまったように思えてくる。
何れにせよ、本書は「右」「左」という政治的概念の(イメージではなく)本質的な部分に迫った良書であることは間違いない。 -
右翼と左翼の違い。「保守⇔革新」「国粋⇔国際」「権威⇔平等」「秩序⇔自由」のようなキーワードで、漠然とイメージできても、演繹的に説明するのはなかなかできない。このシンプルな問いの答えは、本書の早い段階で明かされるが、それが本書のメインテーマではない。右と左という物差しをあてて、歴史を見直すのが本書の主軸。新著1冊にはちょいと高密度すぎるが、近世以降の日本史・世界史のおさらいは、学校の授業とは一味も二味も違ったテイストがあることを知らしめてくれる。
時代や国の事情(歴史)によって、相対的な尺度でもある右翼~左翼だが、個人的には、数直線のイメージではなく時計か羅針盤のイメージ ---- 極右や極左のもっと先では、両者は近寄るものだと勝手に思っていた。でも、それは表層だけをとらえた誤った見方だと気付いて勉強になった。 -
右翼左翼、右左。
頻繁に聞くけど、まったく意味を理解していなかったので購入。歴史から右左を解説。
〇概要
・右翼:保守派、愛国、天皇崇拝
・左翼:急進派、革命、社会主義、共産主義
・右翼と左翼とはフランス革命の時代に議長の席から見て右側が保守派、左側が急進派だった事が語源のルーツ。
「右」「左」という概念が極めて相対的であり、ある時期には「右」であっても、時代の流れと共に「左」と認識されることもある。 -
「右」「左」を生い立ちから説明している。
右翼と左翼とはフランス革命の時代に議長の席から見て右側が保守派、左側が急進派だった事が語源のルーツ。
右翼と左翼が分かる本。
面白く分かりやすく、興味深い良い本だったと思う。 -
左翼と右翼の違い・関係性を分かりやすく、初心者向けに書かれた、「左翼、右翼」を知りたい向けの入門書にお勧め。
第8部構成で、
1,2章は左翼と右翼の辞書などを引用した意味の違い。
3,4章は、世界史から見たフランス革命を皮切りにした左翼の誕生とそれの反動として生じた右翼の目標と掲げる未来を見ていく
5,6章は、日本の歴史の中で、明治から昭和の戦後までの左翼と右翼の関係性を交互に述べていく
7章は、現代日本の右翼と左翼を、総理大臣が国を動かしてきた政策と左翼がその政策を動かす話題を取り上げる形で国が運営され、戦後の左翼と右翼の価値観変化を語る。
エピローグは、左翼と右翼の区別がなくなり、今までの正義感を振るえなくなり、意味付けして自分の信念を貫く時代に突入。
僕も右翼、左翼を愛国、反日と単純に考えていたものを、過去から左翼、右翼が誕生を振り返り、どのような関係性を保ったのかを辿っていったことで、より左翼、右翼の違いが分かるようになりました。 -
恥ずかしながら右翼と左翼ってどっちがどうなんだっけ、と言う状態だったので、読んでみました。
そもそもなぜ右翼、左翼と呼ぶのか、そのルーツからかいせつしてくれており、お陰様で多少理解できるようになりました。
と言いつつ、フランス革命から現代まで、右翼と左翼の意味の変遷が目まぐるしく、途中わけがわからなくなりました。 -
「「もはや右翼も左翼もない時代」といわれる。が、依然「右‐左」のレッテルはさまざまなものに貼られている。しかし「では右って何?左って?」と訊かれると答えに窮する。「右‐左」の対立軸は何か?なぜ「上‐下」「前‐後」ではないのか?定義はもとより世界史的誕生の瞬間から派生まで、影響された日本の「右‐左」の特殊性から戦後の歪み、現代の問題点までを解き明かし、ここ百数十年の世界史とそれに巻き込まれた日本の歴史がわかる画期的な一冊。」
目次
第1章 「右」と「左」とは何か―辞書を引いてみる
第2章 フランス革命に始まる―「右」と「左」の発生
第3章 「自由」か?「平等」か?―一九世紀西洋史の「右」と「左」
第4章 「ナショナル」か?「インターナショナル」か?―一九~二〇世紀世界史の「右」と「左」
第5章 戦前日本の「右」と「左」―「国権と民権」・「顕教と密教」
第6章 戦後日本の「右」と「左」―憲法第九条と安保体制
第7章 現代日本の「右」と「左」―理念の大空位時代
エピローグ 「右‐左」終焉の後に来るもの
著者等紹介
浅羽通明[アサバミチアキ]
1959年、神奈川県生まれ。「みえない大学本舗」主宰。著述業、法政大学非常勤講師。81年、早稲田大学法学部卒業 -
なんとなく知りたかったから読んだ。
なんとなく、分かったような分からなかったような、微妙。
内容としては、適切に書かれているんだろうけど、私には理解しにくかった。 -
右翼と左翼が何を指すか、どう生まれたか、現在日本はどうなってるのか、など細かく把握できた。
思ってた以上に細かく、そこに興味がある人は楽しめる一冊