人生は負けたほうが勝っている: 格差社会をスマ-トに生きる処世術 (幻冬舎新書 や 1-1)
- 幻冬舎 (2007年1月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344980235
感想・レビュー・書評
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読み終わった後は暫く自分の日頃の態度や人への対応を振り返って、何か猛烈に謝らなければならない様な気分になる。そしてほぼ同時にその逆、自分自身に対しても今までよく頑張ったね、と声をかけたくもなる。
いろんな感情がぐるぐると頭を巡る状態で感想を書くと、大抵よくわからない文章になるものだが、今、正にその状態にある。
本書は深く考えさせる内容だ。自分が他人に対して取ってきた行動が多分に該当するし、それを戒める事が沢山ある。いや、恐らくは本書を読んだ誰しもが自分の中にその様な節がある事に気付き、きっと私と同じ様な精神状態になったのではないだろうか。
誰もが仕事の場でも私生活の場でも感じるあらゆる想いに対して警鐘をならしながら、どう切り替えて乗り越えていくか、それを伝えるための書籍だと感じた。
会社によくいるイエスマンに対してすらも、忍耐と努力が要る事だと肯定的に捉え、意に沿わない事を(仕事と割り切って)部下にもやらせる事ができる人と思うなど、普段の思考では中々出てこない。また、ジェネラリスト=オールラウンダーを目指せという言葉には勇気ももらえる。ビジネスシーンで役に立つ言葉の数々は、仕事上で悩みを抱える全世代に知ってほしい内容が満載である。
「言い負かす」のではなく、徹底的に相手の話を聞き「聞き勝つ」事の大切さ、陰口で優越感に浸るのではなく、目の前で言わず相手に抗弁する機会も与えない自分を卑怯者だと気付かせる思考、あらためて響いてくる、短絡的に損得を考えず将来を見て主張する=今日の特は明日の損など、頁をめくる度に繰り広げられる言葉の数々。
自分でも何度も自省してきた事を改めて親から叱られた様な気分だ。
ビジネスリーダーの方々であれば、よくできる人に毎回指示を集中させてしまう事は多々ある。そんな時に部下が、頼まれごとばかりで「使われてる」と感じてしまうか、人に尽くす事が自分の存在意義に繋がっていると考えるかで、パフォーマンスも成果の品質も変わるだろう。
ビジネスだけでなく、私生活の中であっても、いつか別れが来る事を予想して、今を大事に人と向き合う=付き合うという「一期一会」の意識を常に持てる人になりたい。政治の世界なら、変化と進歩は違う、変革ばかり叫ぶリーダーは変化は起こせるがそれ自体は進歩とイコールではなく、逆に安定したマンネリ状態から進歩を生みだす事の大切さ。逆境すらもかけがえの無い人生の一コマと考えて愛おしむ事の大切さ。兎に角、心に響いてくる言葉の連続だ。
私は今まで何をやっていたんだろう、すぐに生まれ変われる。それは発想の転換、物事を逆の視点で見る事で生まれてくる、それに気づかせてくれる内容だ。「人生は負けた方が勝っている」とは本書にピッタリのタイトルではないか!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99106853 -
人生を短期決戦の連続にしてはいけない。
長期にわたる平和維持運動として位置付けて行く。
太く短くよりも「細く長く」を目指す。 -
勝ち組・負け組という言葉が定着してきた感がありますが、なぜだか”勝ち組”を目指すのが当然という気もします。勝ち組に残るのがある程度認められるにしても、人生ずっと勝ちっぱなしが良いわけでも、できるわけでもありません。漠然とそのような気持ちであった時にこの本のタイトルにピンと来て、この本を手にとってみました。
”負けるが勝ち”ということわざの影響もあったのかもしれませんが、本のサブタイトルにあるように”スマートに生きるための処世術”として、戦略的に負けることや、一度引いておく(負けておく)大切さも必要なのだと思います。
特に難しい仕事を進んでやるメリット(p25)、仲良くしたい相手との対話の仕方(p141)については目から鱗でした。
以下は気になったポイントです。
・成功から導き出される成長や発展は、平面的な広がりであるが、失敗から生まれてくる成長や発展は、立体的にジャンプしていく働きになる可能性が高い(p21)
・実地で勉強する(仕事で身につける)ことは、関係する人たちから助言を受けたり手助けをしてもらったりしても、すべて無料であるどころか給料までもらえる、これが難しい仕事をするメリット(p25)
・責任は自分にあると謝罪することは、それをコントロールする立場にあるということ(p39)
・難しい説得を相手にするときは、説き伏せるのではなく、相手の立場にたって考え相手に納得をしてもらう方向へと視点を変えてみる(p67)
・人間として下劣であると思った場合でも、その人物から目を逸らして、その行動のみに焦点を当てるべき(p100)
・「なんでも屋」「いつでも屋」にならないこと、自分の最も得意な分野だけに限定したり、仕事をする時間の範囲を決めておいて、常に余力を残しておくこと(p115)
・夫婦に限らず仲良くしたい相手とは、向かい合って対話をするよりも、一緒に歩きながら話すことがポイント(p141)
・情報がたくさん集まってくる人は、情報を惜しみなく出し続けている人(p152)
・捨印を押さない理由として、「いつでも訂正印を押す、私の主義である」ということで説得は可能(p171)
・逆境を迎えた場合に不幸と嘆くのではなく、そのまま受け入れて、できれば何とか楽しむ方法はないかを考えることも大事(p205)
・相手を追い詰めるにしても、常に相手にも逃げ道があることを確認しながらにすることがポイント(p214) -
【読みたい】
小笹芳央『「持ってる人」が持っている共通点』巻末広告 -
負けをうまく使う生き方について、といった感じでしょうか。
負けは、ただ勝負に負けるなんて意味ではなく、
あえてつらい道を選んだり、それを糧にするとか。
あとこういう本に出てくる昔の人の名言とかって凄いなぁと思う。
「願わくば我に七難八苦を与えたまえ」というのは
山中鹿之助という戦国武将の言葉なんですが、
当時の世情を考えると重みが違うと言うか。
信長の野望でもこのセリフ出てきてたけどね。
また、下手に勝ちに拘るのもよくないといいますか。
先に謝ったり、譲ったりしたほうが結局うまくいくとか、
黙ったり、逃げたりとかも、その状況で使い分ける。
あえて弱みを見せれば、その部分を周りが補ってくれるかもしれない。
まぁ結局ほどほどに相手を気遣ったりしようってことかね。
そう、負けっぱなしは身に染みますが、負けてます。
業務のことを聞きにいくと大抵の人は不満ばかりで建設的ではありません。
今まで恐らくはけ口がなかったんでしょう。私から言えば、
今まで何の改善のアクションも起こさなかったのに、何で俺に?と思うんですが。。。
時には「何ギレ?」と思うぐらいの筋が通ってないこともあるのですが。
そこで正論でねじ伏せることはきっと出来ます。
相手がよっぽどバカだったら無理ですが。
ただそれをしても何もいいことないし、誰も得しないんですよね。
この本にも書いてありました。相手を打ち負かすのは簡単でも、
しちゃいけないって。
俺の場合うんざりして相手する気なくしちゃうけど・・・ -
「主張すべきことと主張したいことを間違えない。」
「ないということは無限。これは、持たざる物の強み。」
この二つは納得。 -
わりと普通な処世術。
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格言ばかりでてきて読みにくい