- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344980600
感想・レビュー・書評
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新宗教(新興宗教)についてわかったようなわからないような。
わかったこと
・従来の宗教との類似性、違い
・各新宗教の教義(系列)の違いと関係
・新宗教の発展理由
わからない
・新宗教の目指すもの(創価学会は何となくわかった)
・宗教を起こす、教祖となる理由詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新宗教といっても、日本の新宗教と呼ばれるものは神道や仏教ベースなので、「古さ」がある。
神道ベースであれば、国常立命(くにとこたちのみこと)という同一の神を根源的な神として信仰の対象としている。それぞれ呼び方が違うだけで同じものを指すのは、ユダヤ・キリスト・イスラムにおける「神」と同様。
人が宗教に頼るのは悩みや苦しみを抱えている時である。だが、本当に苦しい時には、人は神頼みしない。不況が長く続き、深刻化しているときには、豊かになれる見込みがないので、神仏に頼ったりはしない。むしろ、経済が好調で、豊かになれる見込みがあるときに、人は神仏に頼る。高度経済成長は、まさに神頼みが絶大な効力を発揮した時代だったのである。
→今の中国がまさにそれ。法輪功とか?今の日本の経済状況では新興宗教は流行らない。
世直し思想や終末論で不安を煽り、信者を熱狂させ、新しい信者を獲得することはできる。しかし危機感を煽ることは信者の暴走を招きやすく、布教活動は激しくなり、あらゆる行為が正当化されていく。そして、仕事を辞めたり、家族を捨てたりするで軋轢を生む。
その上、終末論が外れることで、失望感からその教団から離れてしまうリスクもある。
巨大建築物を造るために金集めに走ると、献金額で信仰度を測る動きになり、これまた信者の暴走化や熱心すぎる布教活動へとつながる。
終末論煽りや、お金集めが進むと、カルト認定されてしまうのはこのため。
教祖が死ぬタイミングで分裂を生みやすい。
古参幹部は教祖側、跡継ぎの息子・娘側とは別だったりすると、派閥まるごと抜けて別団体になるパターンが多い。
テコ入れとして、終末論で煽ったりする。目をどこにむけさせるか、それが組織継続のための課題と解決方法。
開祖(教祖)の身内に不幸があり、既存の宗教へ触れたことがきっかけで宗教の世界に入り、いつかのタイミングでお告げがくだり、生き神になりカリスマとなるパターンが多い。インテリ派よりも、キャラクターが強い派が多い印象。
戦時中には神道系謳って、静かにしていないと逮捕される。
高度経済成長にて、地方出身者を都心部で勧誘しまくったところは母体が大きく強い。
各宗教のスタイルを表現するための項目は?
・ベース(神道?仏教?キリスト教?)
・身内が死んだ?
・教祖出身宗教
・教祖キャラ
・神とは
・布教スタイル
・超能力ありなし
・病気怪我治せる?(ホイミ)
・先祖重視?
・技術重視?ITやら
・クローズド?排他的?
・大型施設建造?
・農業やる?
・初期費用
・運用費用
・仲間の多さ -
gentleオーナーから借りた一冊
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筆者は東大の特任研究員で、代表的な新宗教に関してその発生から成長の経緯がよく分かった。個別の宗派への肩入れも感じられない。新宗教はとても身近にあり、時代の移り変わりを反映して姿を変え、分裂もしてゆく。献金の額の多さは信仰の証とされるので、教団は財を蓄え強大な建造物を創る。また、新宗教が勢力を拡大するのは社会が混乱しているときや過渡期にあるときで、貧困・不満からの脱却に応える教団が伸びる。新宗教は社会の表れであり、人間の性が生み出すものだと感じた。
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さらっと読める、新宗教解説本の新書版という位置づけだろうか。後述でのせておくが、200ページの新書にいれるために、1宗教20~30ページにして、導入部分を読者の生活のなじみのある部分からしているために、内容が浅薄になるのは仕方ないと思う。むしろ、このページでうまくまとめていると思う。
新宗教の概要を全体的につかみたい人には良い本だと思う。10大宗教に漏れてしまったものも多いので、続とかであと10大宗教を追加してくれるといいなと思うのだが。また、あとがきにも書いてあるように、カルトと新宗教の境目が難しいと思った。
天理教
大本
生長の家
天照皇大神宮教と璽宇
立正佼成会と霊友会
創価学会
世界救世教、神慈秀明会と真光系教団
PL教団
真如苑
GLA -
なんにせよ、「わけのわからないものは怖い」のです。
で、わけのわからない新興宗教はおっかない。人が集っている分、おっかない。かといって、現場の当事者に「あんたがた、どういうことですか」と聞くのもおっかない。ちょっとした興味のために、それぞれの宗派が出している本を求めて読むのもおっかない。
といった時に、こういう本は非常にありがたいのです。満たしにくい知的好奇心を、ローリスクで(ともすれば図書館で借りる、位のリスクである)満たせると。その点だけでも読む価値があるんじゃないかと思います。
読了後に、作者のプロフィールを調べると、ははあ、オウムを宗教として評価した後にサリン事件だなんだと起きてしまったのか、というところに行き着きました。
純粋に、宗教の研究者として、ジャーナリストとして純粋に追っちゃう人なのでしょう。ネット的にはこういう経歴が上がるだけで不必要に毛嫌いされてしまうきらいはありますが、そもそもあぶないところの知識欲を満たす、という点においては、こういう仕事の必要性というのはすこぶる高いわけで、こういう新興宗教のことを考える上での入口としては、なかなか良くまとまった本なのではないかと、そう読みました。
でも、2007年の本で幸福の科学を取り上げなかったのはなぜだろう。さすがに2005年くらいの時点では、そういう動きまではキャッチできなかったのかしらん。 -
本書は、かつてオウム真理教を擁護したことで有名な宗教学者による、日本の新宗教に関する解説。国内で新(興)宗教と知られている比較的有名な宗教は、実は幕末〜大正期に興っているものが多く、弾圧や取り締まりを経て組織の非社会性が変化し、数十年以上経った高度成長期などに信者が急増する、という歴史を辿るものが多いという。
高度成長期には、都会で核家族化が進むことで、ムラの宗教儀式に馴染みのない人たちが入信する。一般には、社会が暗いからこそ宗教に頼ると思われがちだが、経済が向上しこうした社会構造の著しい変化が起きたとき、新宗教への入信者が増加している、という分析は面白かった。また、宗教としてどのような後継者を育てて組織化を行っていくかという点は、一般に新宗教が語られる際に欠落している視点であり、とても興味深かった。
また、新宗教が社会の批判を浴びやすい理由として、日本人はなぜ、無宗教だとされるのかという問いが鍵となる。それは、イスラム圏に生まれた子供が自動的にイスラム教徒になるように(キリスト教のように洗礼といった入信システムがない)、日本人も生まれたときから日本の既成宗教(神道と仏教の混在)に組み込まれるからだという。そもそも宗教という概念は明治に輸入されたものであるから、神道と仏教、どちらかを選択せよと言われても選択できずに、自分たちは無宗教である、と日本人は自覚するようになったという。したがって、新宗教に入信するということは日本社会ではとても目立つ行為である。
日本における新宗教は、神道・仏教・キリスト教のいずれかの影響を受けているという。残念だったのは、分量的に10の新宗教のみに絞っていて、その他の有名な宗教に対する分析がなかったことである。 -
オーディオブックで読みました。(聞きました。) 予備知識のない分野の内容だっただけにとても新鮮。
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2回目読了。
とても全てを記憶できないので、とても興味深かった。
特に大本教に対する、作者の距離をとろうとする姿勢には震えを感じた。