わたしたち消費: カーニヴァル化する社会の巨大ビジネス (幻冬舎新書 す 1-1)
- 幻冬舎 (2007年11月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344980617
感想・レビュー・書評
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鈴木謙介の電通との共著。自身は、マーケティングのための知見であることを唄うが、その内実は学術的な消費社会論。
70s.80s年代は、田中康夫の『なんとなくクリスタル』、糸井重里の「贅沢は素敵」よろしく、消費社会の黎明期。そこでは、商品の有用性ではなく、差異コソが肝要。
そんな時代の消費を上野千鶴子は、〈わたし〉探しゲームと名付ける。消費を通した自己表現、他者との差別化こそ美徳であると。
翻って、鈴木謙介のわたしたち消費は繋がりに注視する。自分が素敵だと思った消費を、友人も素敵と感じる。バラバラだと措定されていた個人の偶然の結びつき。そして、深まる人間関係の濃密化、これこそ時代のトレンド詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
三種の神器(テレビ・洗濯機・冷蔵庫)に代表される旧来型の「マス消費(みんな消費)」は、1985年以降、大量生産・大量消費型の社会を背景にやがて個人消費(わたし消費) の時代を迎えるだろうと予想されて久しい。しかし、日本社会は今なお、初音ミクやI-Phoneなどの「大衆的なヒット商品」の誕生を許容している。著者が「わたしたち消費」と名づけるのは、一般的知名度は低い一方で一部の限られた層で爆発的に流行する現代の消費行動だ。それは、「わたしたちだけが知っている」という連帯感に裏付けられ、「ネタ」を中心とした仲間との盛り上がりがまた次の盛り上がりを呼んでいく連鎖に特徴付けられる。これまで「お客様は神様」と客体化してきた企業は、顧客を「私たちの仲間」と位置付ける事で、顧客との良好な関係構築と売上の拡大を実現する事ができるだろう。(2月8日報告)
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さすが電通。
まさに最近の世の中の風潮、消費者の気持ちや動向を言い当てているように思いました。
時代は間違いなく変わっている。