浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか (幻冬舎新書)

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  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982505

感想・レビュー・書評

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  •  日本の仏教の各宗派を網羅。。
     
     様々な宗派の説明だけでなく、戒名など葬式関連などでのお寺との接点との解説もされている。
     日本の仏教は昔は兼学可能で多くの宗派が混ざったような別れたような不思議な発展を遂げている。
     タイトルの理由は後書きで説明される。それまでがあるので、読むとすんなり納得。

     仏教は日本人の生活に深く入り込んでいる。浅くても各宗派を理解することは大事。

  • 日本の仏教の歴史について知るには非常にいい本だと思います。
    が、読み方を失敗しました。

    こういう本を読むたびに、「高校のときの日本史の授業って、一体なんだったんだろう」って思います。

  • 仏教は日本では国家主導で広まり、都が藤原京に移った696年、試験に合格した者だけが正式な僧侶とみなされる年分度者の制度が生まれた。最澄、空海が亡くなった後に、天台宗と真言宗にも年分度者の定員が認められ、それぞれ宗派としての独立を高めていく。

    中国で天台宗を開いた天台智?は釈迦の教えを整理して、大乗仏典のひとつである法華経を最高位に位置付け、誰もが仏になれると説かれている点を強調した。日本の法華信仰は法華義疏に遡るが、これは聖徳太子の著作ではない可能性が高い。天台本覚論の核心にある草木成仏の思想は、あらゆるものに霊魂が宿っているとする日本古代のアニミズムを背景として、徹底した現実肯定の思想に発展した。江戸時代には、天海が家康を東照大権現として祀るために日光東照宮に改葬し、江戸城の鬼門となる位置に寛永寺を創建して天台宗の拠点となった。

    密教は、インドにおける大乗仏教の発展の最後の段階で、ヒンドゥー教と習合して生まれた。日本では浄土真宗以外の仏教界全体に影響を与えた。

    興福寺は大和のほとんどの土地を荘園として所有し、清水寺も末寺としていた。比叡山延暦寺は平安時代末期になると、寄進によって多くの荘園を所有するようになり、興福寺の支配下にあった祇園社(八坂神社)も10世紀終わりの争いの結果、支配下においた。興福寺と延暦寺は南都北嶺と呼ばれ、中世には朝廷や幕府と権力を三分した。

    輪廻の繰り返しによって苦がもたらされることを強調するインドに浄土教信仰はなく、中国から伝えられた。法然は、念仏以外の教えや実践を聖道門と呼び、念仏によって西方極楽浄土への往生をめざす浄土門が正しい教えであるという立場をとった。家康は浄土宗に帰依して手厚い保護を与え、芝の増上寺は徳川家の菩提寺となった。

    浄土真宗の本願寺は、代々の宗主の子女が公家や武家との婚姻関係を結び、世俗の権力と密接な関係を持った。そのため、戦国時代には戦乱に巻き込まれ、石山本願寺は織田信長と対立することになった。

    禅は瞑想の一種で、インドの僧侶達磨に遡る。現生利益や浄土への往生といった効果はなく、精神的な安定や生活規範として機能する。曹洞宗や臨済宗は、貴族階級の出身であることを条件としなかったため、武家や下層貴族が集中することになり、宗派としての独立性を強めていくことになった。曹洞宗は、亡くなった修行僧のための葬儀を在家の一般信徒の葬儀に応用して全国に広がり、葬式仏教が他の宗派にも伝わっていった。

    日蓮は、法華経への信仰以外を否定したため、明確な宗派意識が生まれた。日蓮正宗は、日蓮が書いた本尊曼荼羅を直接板に掘った板曼荼羅を本尊とする。戦前に創価教育学会として始まった創価学会は日蓮正宗と関わりを持ち、会員はそのまま檀家となっていたが、1990年に決別した。

  • 仏教系私学の建学の精神についての基本的な理解をするために本書をとった。これまで知らなかったことが多く非常に勉強になった。

  • 新書文庫

  • タイトルと中身がそぐわない新書の典型。副題の各仏教宗派の解説に留まっている。一応、最終章で浄土真宗の話を深めてはいるが。各宗派を取り扱うので一つ一つの解説も軽め。

  • タイトルとは違い、浄土真宗はなぜ日本で一番多いのかが中心テーマではありません。
    鎌倉新仏教を中心として、それぞれの宗派を比較し、成り立ちから、特徴、現代に与える影響力までが詳しく書かれています。
    曹洞宗が今日の葬式仏教のもとを作ったという分析には、びっくりしました。
    確かにお葬式はどれも似た感じではあります。
    それにしても、浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いかは、理由が良く分かりませんでした。
    まあ、他が良かったので良しとします。

  • 羊頭狗肉の感、あり。タイトルの答えが最後におまけ程度に語られており、全体的には日本仏教の概観を説明している。

  • タイトルと中身にはだいぶギャップがあるが、日本仏教の成り立ち、宗派の違いのダイジェストだと思えばいいのかな。
    分かり易く簡潔に解説してはいるものの、読み物としての面白さは無い。

  • 本書のタイトルは「日本における仏教の歴史」が正しい。
    古代仏教から鎌倉新仏教まで、成り立ちから変遷・現状までと、仏教界全体から見た立ち位置を説明した解説書。文章は分かりやすく、原因と結果、経緯・文脈が明快なので理解しやすい。
    表題のテーマに関してはおまけ程度でしかもピントが定まらないボヤっとしたモノで感心しないが、それ以外は素晴らしい。

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著者プロフィール

島田裕巳(しまだ・ひろみ):1953年東京生まれ。宗教学者、作家。東京大学文学部宗教学宗教史学専修課程卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を歴任し、現在は東京女子大学非常勤講師。現代における日本、世界の宗教現象を幅広くテーマとし、盛んに著述活動を行っている。 著書に、『日本人の神道』『神も仏も大好きな日本人』『京都がなぜいちばんなのか』(ちくま新書)『戦後日本の宗教史――天皇制・祖先崇拝・新宗教』(筑摩選書)『神社崩壊』(新潮新書)『宗教にはなぜ金が集まるのか』(祥伝社新書)『教養としての世界宗教史』(宝島社)『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)等多数あり。

「2023年 『大還暦 人生に年齢の「壁」はない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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