- Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344983953
作品紹介・あらすじ
日本は戦争する国になった。これは怒ることを忘れ、日米安保に甘えた国民の責任だ。安保法制化も、沖縄県民だけに押し付けてきた米軍基地も、当事者以外の意見を封じる福島の原発問題も、背景にあるのは、怒りや苦しみによる連帯ができず、すべて他人事として受け流す日本人の感情の劣化だ。しかし、今度こそ怒らねば、そして怒りつづけねばならない。戦争する現実を直視しつつ、舐めた政治家たちに恐怖を与えねばならない。この危機に、かつて罵り合った小林よしのり氏と宮台真司氏、さらには東浩紀氏という論客が集い怒り合った。暴走する権力を阻止し、共闘することを誓った一冊。
感想・レビュー・書評
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イベントをまとめた内容。文字もいいけど生で論客を見るべきだと改めて思った。
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かつて厳しく対立しあった過去をもちながら、その後急接近することになった小林よしのりと宮台真司の二人に、司会役の東浩紀を加えた三者が、現代の日本が直面する諸問題について論じあった鼎談です。
小林は、『ゴーマニズム宣言』シリーズで「サヨク」を批判し「保守」の立場を標榜してきました。他方宮台は、右翼を主意主義、左翼を主知主義とみなしています。そのうえで、カール・ポパーのピースミール社会工学のような漸進主義を評価し、たうえで、「ネトウヨ」が「知性の劣化」ではなく「感情の劣化」として位置づけることで、小林の立場に歩み寄りを見せています。こうした漸進主義には同意をおぼえますが、日本のポパリアンである鶴見俊輔や市井三郎のような選択肢も存在しており、かならずしも宮台のいうような意味での「保守」に近づく必然性はないのではないかという疑問を感じます。
こうした、小林と宮台の両者に共通に見られる発想は、決断主義に接近するという意味で、東の立場と対立する面があるように思われます。本書では東は基本的に司会の役割に徹しており、みずからの思想を積極的に提出することは控えているようですが、『宇宙戦艦ヤマト』の例を引きつつ、「社会と実存の混同」という問題を鋭く指摘しています。宮台はさすがに、この問題の背景についての深い洞察を示してはいるものの、彼の議論のうちにこの問いに対する充分な回答を読みとることはできませんでした。ただし、「東くん自身、よしりんの戦略に近づいてきてる気がする」といい、「『弱いつながり』という本でも、客観的な分析に加えて、東浩紀はこういう生活をしているこういう人間だということをベースにしている」と、鋭い指摘をおこなっています。 -
小林よしのりと宮台真司は昔は仲が悪かったようだ。
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かつては犬猿の仲だった小林よしのりさんと宮台真司さんに東浩紀さんを加えた3人の鼎談本です。題名通り安保・沖縄・福島について徹底的に安倍政権批判をしている本ですので好き嫌いが別れると思います。
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宮台氏の語りがすごすぎる。もっとこの人の著作を読もうと思う
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3人とも今の日本を憂いている。危機感を持っている。日本がアメリカの属国的な立ち位置から脱却し、真の独立性を取り戻すために安易な国家主義的ナショナリズムに走るのではなく、保守主義の神髄を説く。
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面白かった
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感情と論理は、対になる概念なのだろうか。
「感情的にならず論理的になれ」とか。「お前は理屈っぽい人間だから人の感情が理解できないんだ」とか(これはあまりにも暴論か)。
感情と論理を対概念として、オルタナティブの様に扱う人は多い。
しかし、本書はそれを否定する。感情は論理を規程しうる、ということからもわかるように、感情と論理は「あちらが立てばこちらが立たぬ」式の二者択一ではない。
宮台によれば、いわゆる「ネトウヨ」や「ブサヨ」が台頭している背景にあるのは、「感情の劣化」だ。
知性とは態度であり、したがって論理的思考力などの知的能力によって規程される類のモノではない。問題はむしろ思考を方向づける感情にある、というのは頷ける話だ。
ネトウヨの言っていることに全く理がないわけではない、という(少なくともネトウヨを研究した身としての)肌感覚は、それをよく示している。彼らに理がないわけではない。それが劣化した感情に基づいている=知性的な態度ではないことこそが問題なのだ。 -
前半は宮台真司のすがすがしい程のエリート主義しか印象にないが後半は東浩紀の迷いがよく出てて魅力的。