言語が消滅する前に (幻冬舎新書)

著者 :
制作 : 千葉 雅也 
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 660
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344986367

感想・レビュー・書評

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  • Audibleで。対談本を聴くのはなかなか良いですね。

    前半國分さんの『中動態の世界』について考える補助線が引かれた感じでよかった。千葉さんの『勉強の哲学』も読んでみたい。

    考えたいことが色々あったけど「勉強のあり方」とあとは「帰責性と応答性」については特に、NPO等の評価と結びつけて「帰責性評価と応答性評価」という形で考えてみたい。NPOの評価への忌避感は帰責性の言語への恐ればかりにとらわれているのが原因なのでは。主体者をエンパワメントする評価の可能性を現象学の方面から探っていたけど、応答性のキーワードも考えてみると面白そう。

  • 國分功一郎と千葉雅也の対談集。繋がりなく何回か行われた
    対談をまとめたものだが、二人の問題意識が言語を中心に
    しているせいか一冊の本として無理なく読み通すことが
    できた。

    意志と中断、無からの創造との関係・権威主義なき権威・
    勉強と孤独・自分の中に心の闇を囲い込むこと・エビデンス
    主義と言語の消失など興味深い論点に溢れているが、現在
    進行形で動いている言語と世界を相手にしているので、結論
    のようなものはまだこれから、ということだろう。

  • 具体と抽象のジェットコースターが気持ち良すぎる一冊。

  • ざっくばらんな勉強論(研究論ではなく)として楽しめました。研究ということばはなんかおこがましい、研究じゃなく、一生勉強し続けていたい、という考え方にとても共感。

  • 哲学する威力を思い知る。ラディカルな視点を提示しつつも、それで全て事足れりとはしないバランス感覚。対談が成功している稀有な本。

    ・依存症からの回復とは回復し続けること
    ・コロナ禍でのアガンベンの発言
    ・理系の数学、文系の言語

  • 2022/05/25 20:56

    うーん…つまりは、現在はあまりに直接的すぎる?それが故に、自身の意志なり意見なり、そしてそれを表すはずの言葉が、発酵しない?
    だからもっと、考えようぜということなのか?
    千葉さんの勉強の哲学も、国分さんの中動態の世界も、買ってはあるのにまだ読み始めていなかったから、どうもそれらを読んでくれていることを前提としたような対談のように思えるので、それぞれ読んでから、また読んでみようかな。

  • 対談形式は諸刃の剣みたいなもので、両者の対話がマッチしているとすごく良いが、そうでない場合はあっさりと読む気を失ってしまう。中間はあまりなくて、良いか悪いかどちらかに偏る傾向がある。
    本書はお二人の相性がよく、それぞれが良い味を出している前者の好例だと感じた。

  • それぞれ異なるテーマについての対談だが、言語が消滅しようとしているという危機意識がこの本の最も深いところで共有されている。個人的には最近言語から遠ざかってしまっていたので、このタイミングで読むことができて良かった。

  • 《孤独とは何かというと、私が私自身と一緒にいられることだ、と。孤独の中で、私は私自身と対話するのだとアレントはいう。それに対して寂しさは、私自身と一緒にいることに耐えられないために、他の人を探しに行ってしまう状態として定義されます。「誰か私と一緒にいてください」という状態が寂しさなんですね。だから、人は孤独になったからといって必ずしも寂しくなるわけじゃない。》(p.93)

    《千葉君の使った「英雄性」という言葉でアレントのある概念を思い出したんだけど、彼女の考える政治というのは言語の使い方に卓越した人間が勝つ一種のゲームですね。だからそこには残酷な側面がある。けれども、他方で、このゲームを通じて平均的なレベルがアップするという側面もある。
     そのことを説明するためにアレントは「平等」と「同等」を区別しています(『活動的生』)。平等は画一化に基づいている。それに対して、同等というのは、政治参加の権利を行使するのにふさわしいという目標と同等になることを意味する。この同等の観念が決定的に失われてしまっているのではないか。》(p.155)

    《(トランプ支持者やブレグジット支持者)は、自分たちがある目的志向性から排除されて、主体化できないことを不満に思っていて、主体化させてくれと言ってるわけですよ。》(p.170)

    《主権を求める人たちの声がなぜレイシズムに引っ張られてしまうかというと、主体化のモデルが敵に基づいているからだろうと思うんです。》(p.170)

    《まず大事なのは、自分が他のものに依存していることを認めることだと思うんですよね。いまの平等化は、みんなが自己権威化している状態になっている。個々人が小さな権威になってぶつかっているわけですよ。
     でも人間が思考するときには、必ずその素材なり何なりをどこかよそから持ってきている。常に他者依存的に動いている。これはラカンを持ち出すまでもなく、何らかの他者のイメージとか他者の言語を参照しないことには、主体化できないわけですよね。にもかかわらず、まるで自分が自分一人で存在しているような勘違いをしている人たちが多数いるのが現在の状況です。
     われわれが「権威主義なき権威」と言うことで何を呼び起こそうとしているかというと、われわれは常に何か、他なるものを参照してきているんだということ。根本はこれだと思います。》(p.175)

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著者プロフィール

東京大学大学院総合文化研究科准教授

「2020年 『責任の生成 中動態と当事者研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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