現実の向こう

著者 :
  • 春秋社
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本棚登録 : 68
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393332283

作品紹介・あらすじ

ブッシュ・ドクトリンやネオコンの論理、リメイクされた松本清張原作のドラマ『砂の器』の詳細な解析を通じて炙りだされる国際社会と戦後日本の隠されたメカニズム。平和憲法の現代性、あっと驚く北朝鮮問題の処方箋、「おたく」の定義、「他者」と「未来」の共通性、偽記憶を生みだす心の仕組みなど、手品のようにくりだされる意表を突く分析と提言の彼方に、現在の大沢社会学の到達点が啓示される。

感想・レビュー・書評

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  • 2004年におこなわれた三回の講演をもとにした本です。

    第1章「平和憲法の倫理」は、戦後の日本においてアメリカが「第三者の審級」の役割を果たしてきたこと、さらに近年になってそのアメリカの存在感が低下してきたことが指摘されています。そのうえで著者は、平和憲法のもつ可能性を追求するような提言をおこなっています。

    第2章「ポスト虚構の時代」は、著者が見田宗介から引き継いだ「理想の時代」と「虚構の時代」という時代区分にもとづいて、松本清張原作の『砂の器』の二回にわたっておこなわれたドラマ化が、それぞれの時代のありようを反映していることが論じられています。

    第3章「ユダとしてのオウム」は、オウム真理教の信者たちに対する提言というかたちをとっていますが、オタク的心性の持ち主が開かれたコミュニケーションへいたるための道筋を示した論考として読むことも可能であるように思います。

    講演がもとになっているので比較的読みやすく、大澤社会学の入門書としての役割も果たす本なのではないかと思います。

  • 現実の向こう

  • 逆接の民主主義、不可能性の時代、虚構の時代の果て
    の総括的な一冊
    講演録なので読み易い。

  • 大澤真幸の入門書的存在。講演を文章にしたものなので、大変読みやすい。ウロウロしながら喋ってたんでしょう。

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著者プロフィール

大澤真幸(おおさわ・まさち):1958年、長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。思想誌『THINKING 「O」』(左右社)主宰。2007年『ナショナリズムの由来』( 講談社)で毎日出版文化賞、2015年『自由という牢獄』(岩波現代文庫)で河合隼雄学芸賞をそれぞれ受賞。他の著書に『不可能性の時代』『夢よりも深い覚醒へ』(以上、岩波新書)、『〈自由〉の条件』(講談社文芸文庫)、『新世紀のコミュニズムへ』(NHK出版新書)、『日本史のなぞ』(朝日新書)、『社会学史』(講談社現代新書)、『〈世界史〉の哲学』シリーズ(講談社)、『増補 虚構の時代の果て』(ちくま学芸文庫)など多数。共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』(以上、講談社現代新書)、『資本主義という謎』(NHK出版新書)などがある。

「2023年 『資本主義の〈その先〉へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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