- Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
- / ISBN・EAN: 9784393333020
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知の巨人、松岡正剛著の連塾シリーズ第三巻(最終巻)。このシリーズ、内容は難解だと思うが、講演会を書き下しているので、読みやすいし、理解を多いに助けている。二巻目は未読だが、この最終巻が内容的にも関心が高いテーマであったので迷わず購読。
連塾のテーマは「日本という方法」。今回は江戸、幕末、維新、太平洋戦争と近現代をテーマとしており、自らの問題意識に重ね合わせて読むことができた。特に西郷隆盛が維新日本の「すべての負」を背負った、とする考察は唸らせる。
また、本著の後半では、最終巻に相応しく松岡氏の生い立ちから現在に至るまでのキャリアの変遷が取り上げられており、とても興味深い。
(引用)
・この時期、日本はなんら日本の民族についての議論を突き止めなかったということですよね。曖昧になったままだった。「一国民族」でも「混合民族」でもなくて「多民族」になったのは、実はアイデンティティを突き詰めるのはかなり苦手だということです。だからこそ、のちのちの「5族協和」という漠たるところに結びついてしまったんです。
・・・結局、彼(小熊氏)の結論は何かというと「日本を単一民族だとしたのは戦後である」ということです。ですから明治・大正・昭和の半分を通じて、日本はまだ「何が日本人か」というのが見えてなかったのに、戦後の民主主義社会になってから「日本単一民族説」というものを国民の意思として作っていったんではないか、というのが小熊さんの仮設なんですね。
・このことは以前からしばしば「加工がうまい日本」というふうに言われてきましたが、たんに製造面の加工がうまいだけじゃありません。社会文化を含めて編集力があった。これは、日本に資源が少ないこと、季節の変化が目に見やすいこと、長らく海外からの侵略を受けてこなかったこと、ユニークな日本語を使ってきたことなどが大いに関与しているかもしれません。
・「日本の本来と将来をつなぐ日本流の視点」
①日本語という文化・・・真名と仮名・ルビ・述語性
②多神多仏の信仰風土・・・神話・神仏習合・廃仏毀釈
③侵略と鎖国・・・秀吉の計画・国産実学
④開国・開化・併合・進出・・・シーレーンと満州
⑤敗戦と戦後憲法・・・戦争責任と民主主義
⑥自衛隊と日米安保資本主義・・・アメリカの傘
⑦象徴天皇制・・・天皇の行事
⑧日本列島の多様性・・・当番と席衆
⑨負の想像力・・・地震と枯山水
・「人間というものは、自分のことを自分の記憶だけで埋めようとはしていない。自分にとって憧れたいもので自分を埋めようとしている。だからこそ、自分を超えた何かを求めるのであり、だからこそ自分という人間は世界でいちばんフラジャイルなのである」(ルイス・トマス) -
勝手に師匠と思っている松岡正剛氏の連塾シリーズ第3巻(最終巻)を読了。このシリーズを読み始めたきっかけは「日本とは何か」「この精神性はどこから来たのか」など、日本らしさについて知りたくなったから。3冊読んで、その一端は知ったような気になったが、何せ自分の無知さ加減を改めて認識させられる事ばかり。神代の国の頃から近現代史まで、知らずにいた事が多すぎる。こりゃ1巻から再読ですわ。