〈生きる意味〉を求めて

  • 春秋社
3.88
  • (19)
  • (22)
  • (22)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 299
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393364192

作品紹介・あらすじ

繁栄のさなかに広がる虚無感、セックス、スポーツ、出会い、そして死-。現代人の荒涼とした精神に"生きる意味"という光の回復を訴える"逆境の心理学"フランクルの熱いメッセージ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 精神科医であり心理学者でもあるヴィクトール・フランクル。現代の若者が抱える、人生に対しての虚無感やさみしさを解き明かす、逆境の心理学書。『人生の意味を問う前に人生から意味を問われている』フランクルの残したこの言葉の意味が、少しずつわかってきた気がする。【印象的な言葉】①幸せを目指せば目指すほど、私たちは幸せをつかみそこなう。②幸せは結果として得られるものであって、追い求めて得られるものではないのである。通り過ぎただけの過去は、もう過ぎ去ってしまった。けれど、生き抜かれた過去は、やってくる。

  • 豊かな現代社会に広がる虚無感、増える若者の自殺…。精神科医V・E・フランクルが、人生に苦悩する現代人に「生きる意味」とは何かを語る書籍。

    著者が提唱する心理療法「ロゴセラピー」は、「意味による治療」を行うものである。

    人は、「意味」というものを絶えず探し求める存在である。悲劇に直面していても、そこに意味を見いだせば、幸せと感じる。一方、社会的に良好な人でも、人生が無意味だと思えば、自ら命を絶つことがある。人生が生きるに値するかどうか。これを判断することが、真に重大な問題である。

    人は、高い意欲や目標を含むレベルから自分を見なければ、本来のレベルよりも低い所に落ち着いてしまう。ゆえにロゴセラピーでは、人間を高く評価する。人の潜在力を最善の形で引き出すには、それができるとまず信じなければならない。

    生きる意味を見いだそうとする「意味への意志」は、成功や幸せ、そして人の生存に関わってくる事柄である。自分の人生が「何のためのものか」という方向性を持つ人は、どんな状況にあっても生き残ることができる。

    意味は自分自身で探求し、自分自身で見つけるものである。そして意味の発見は、自分が直面している状況に関して、必要とあらばその現実を変えていくために、「自分のなしうるものは何かを発見する」ということだ。

    人生は豊かな意味で満たされている、しかも、無条件に。たとえ自分の力で状況を変えることができなくても、自分の在り方を変えることができれば、人は苦しみや死の中にさえ、意味を見いだすことができる。

  • ■意味の意思

    A.生き残れるかどうかは、この苦しみ、この人生が「何のためのものか」という方向性、あるいは「誰のためなのか」という方向性を持っているかどうかにかかっている。

    B.満たさるべき意味、出会うはずのもう一人の人間、自分自身を差し出すべき理由、あるいは愛する人に向かって生きて初めて、人は人間として生きられるということである。

    C.探求すべき意味さえ見出すなら、敢えて苦しむことも甘受し、犠牲に身を捧げ、そしてもし必要とあらば、そのためにみずからの命をも捧げる覚悟をする。

    D.人生は無条件に意味がある。

    E.悲劇に直面していても、幸せな人はいる。苦しみにもかかわらず存在する意味ゆえに。癒しの力は、意味の中にこそある。

    F.伝統や伝統的な価値が人にどうすべきかをもはや教えてくれるわけでもない。現代人は、こうした方向を指し示してくれるものが欠けた状態の中にいて、自分が何をしたいのかが、時折わからなくなっているのである。その結果はどうだろう。ほかの人達していることを自分もするという画一主義か、さもなければ、他の人が自分に期待することをするという全体主義を生み出しているのではないだろうか。

    G.人生の意味、人生の価値について人が問うた瞬間、人は病む。

    H.苦しみが自分よりよい自分に変えてくれるのなら、苦しみにだって一つの意味がある。

    I.気に懸けるべきは、自分が幸せがどうかではなく、自分に幸せになる理由があるかどうかなのである。

    J.自殺の危険は、その人の自殺衝動の強さに関係しているのではなく、自殺衝動に対する、その人の人間としての態度に関係している。そして一方その人の態度はというと、基本的には、その人がたとえ辛くとも、何か生き残る意味を、そこに見ているかどうかにかかっているのである。

    K.幸せは結果として得られるものであって、追い求めて得られるものではないのである。

    L.ずっと意味のなかった人生、つまり無駄に過ごしてきた人生にさえも、最後の瞬間にその状況にどう立ち向かうかという、まさにその態度によって、なお意味を与えることが出来るのである。

    M.人類は足りなくて飢えることと、満たされて退屈することという、2つの極の間を永遠に揺れ動くよう運命づけられている。

    N.人間は無意味感に圧倒されたと感じた時に、最も殺意を抱きやすい。

    O.人は他者と競争し、打ち勝とうとすればするほど、自分の脳力を発揮できなくなる。逆に、成功や他者に勝つといったことをあまり気にせず、自分のベストを尽くすことだけに集中すればするほど、より早く、より簡単に、成功という王冠を抱くことができるのである。

    P.真の選手は、自分だけを相手に戦う。

    Q人生とは、生涯にわたる問と答えの繰り返しである。そして、答えに関しては、生涯をかけて答えていくことだけが可能なのだ。このようにして人生に「応えていく」ことこそ、自分の人生に対して「責任を持つ」ということなのである。

    R.人生のほうはまだ、あなたに対する期待を決して捨ててはないはずです。あなたを必要とする何か、あなたを必要としている誰かが必ずいるはずです。そして、その何かや誰かはあなたに発見されるのを待っているのです。

    S.プレッシャーが強すぎるからではなく、よい意味での本物のプレッシャーがない世の中だから、人々の心が脆弱になっている。

  • 実存主義の時代の古い表現の心理学
    実利的な部分もある点では今も通用する
    発達障害とかコミュ障とか自認する人や疑念を持ってる人たちが読むべき本だと感じる

    意味のない人生など存在しない
    人生には無条件に意味がある

    神経学 精神医学 の教授
    アウシュビッツ強制収容所で生き残った体験談は「夜と霧霧」で有名

    生きる意味があると言い切れるのは
    人生には必ず 愛情や苦しみや成果などが残されるからだ
    ホモバチエンス 苦しみに耐える人
    豊かでも自殺する人はいる

    ロゴセラピー の手法
    実存分析 実存主義の時代に著作を発刊
    ウィーン第三学派

    大衆神経症の三点セット
    1. 抑鬱症状 自殺
    2. 攻撃性 スポーツ 人間性心理学
    3. 依存症、嗜癖 無意味感に由来する 薬物関与

    意味への意志 には、マズロー が根源的な関心
    深層心理学 に対し 高層心理学 を提示

    高い目標があってやっと正常な目標に到達できる
    しかし高い目標がないものが過小評価されるとダメになってゆく
    高い目標 : 意欲 とは意味への意志だ
    これに気づけば意味を呼びあつめ動かせる
    意味への意志の欲求不満の有無
    「意味への欲求」は他の諸々の欲求から独立している 食欲や金銭欲などとは別だという
    マズローの欲求五段階とも別なのだろうか
    人間の人間らしさをまさに表してるという
    人の生存にも関わる事だという
    これをアウシュビッツで学んだ教訓と言われる
    いつの日か見えない中でも、未来に向かって生きることができる人
    この人生が何のためか 誰のためか という方向性を持っていること 「自己超越性」とはこうした自分のことだ
    捕虜収容所に関する精神医学的調査からも同じ結論を得ているとする
    自分の外側に心を集中させることなのだ
    自己実現を目標にすることは破壊的なことだともいう
    ここではマズローの五段階理論に対しても問題点を突きつける
    人は 自己実現を求めるが、それをやめて外に目標を求めるのが あるべき姿ということになる
    集団としても共通の目的、共通の意味を持つことで連帯強化される
    以上が 動機理論だ

    次は 意味の理論 ロゴセオリー だ
    還元主義は意味を奪うものだが 本当に奪うことなどできない
    意味は伝統的価値の影響も受けない
    自分自身で見つけてゆくものだからだ
    遺伝的なものですらない
    意味を発見するということはゲシュタルトを知覚する過程だという
    人は通常、作物を刈り取った畑 目の前の生活 を見ている
    収穫した作物 過去の成果 愛されてきた愛情 乗り越えてきた苦しみ を見ていない
    悲劇を勝利に変える 最高の形を見つめることだ
    苦しみや死からも意味を見出せる

    心身論の問題
    選択の自由の問題

    ◆心身論の問題について
    条件反射などは閉鎖系の例だ
    ハイデガーは人間であることを世界的内在という言葉で特徴づけた
    実存の持つ自己超越性
    閉鎖系と開放系は両立する

    ◆選択の自由の問題について
    自由と決定論
    人間的な自由とは制限された自由だ

    ◆ 人間は条件の制限を乗り越えて行ける
    制限に屈服する事も、人間の次元に入る事も責任の余地が残されている

    自殺も殺人もパラノイアや鬱病もコンプレックスも原因は生化学的なところにあるとしている

    精神病を主張する犯罪者もいったん判決が言い渡されれば心理規制や条件反射の犠牲者と見られたくはない
    罪を克服するのも人間の責任だ

    ◆ 不安を感じている人は自分の動機を分析しようとする
    これはHPSに違いない コンプレックスだ グレーゾーンのADHDだ 男根願望だ 去勢不安だ

  • 自由は最後の切り札ではないし、全てでもない。
    人間は生まれたときに現実になるのではなく、むしろ死ぬときに現実になる。
    心に刻みたい言葉がたくさん出てくる本だ。フランクルのロゴセラピーは賛否別れるらしいが、知っておくと楽になることもあるのではないだろうか?

  • <本から>
    繰り返そう。悲劇に直面していても、幸せな人はいる。苦しみにもかかわらず存在する意味ゆえに。癒しの力は、意味の中にこそあるのである。

    私が伝えたかったのは、「人生は豊かな意味で満たされている、しかも無条件に」という人生の秘密についてである。こんなことが言えるのも、人生に意味を見出す第三の可能性、つまり苦しみや死の中にさえ、意味を見出す可能性があるからにほかならない。」

    しかし強制収容所では、この逆こそが真理であった。人々はますます、その多様さを際立たせていったのである。獣性がが正体を現し、そして同時に聖なるものも姿を現してきた。

    私自身は、人間は決してそのような内的な均衡状態にではなく、常に何かあるいは誰かといった外の世界に、主な関心を持つ存在だと考えている。

    選手は”自分自身の最良のライバルになろうとする”時、全力を出せるのである。

  • 読了

  • 心理学等のある一定の知識がないと理解しにくい。私にはまるで意味が入ってこず、半分ほどで断念。。

  • フランクルはこの著書で、精神科医として、科学的な分析を試みつつも、「ロゴテラピー」を提唱、一貫して、それを超える人間の存在の奥深さと、人間は意味がなければならない存在であるということを訴える。
    それを根底に、反映のさなかに広がる虚無感、セックス、スポーツ、そして死について考察がなされている。

    「意味」を求めることについての発想の転換は見事である。
    自己実現と呼ばれているものも、自己超越によってもたらされる意図せざる効果であり、意図せざる効果のままにとどまっていなければいけない。自己実現を意図的な目標にしてしまうことは破壊的であると同時に自滅的である。
    同様に、幸せなるのを邪魔しているのは、まさに「幸せを追求すること」それ自体なのである。


    人生というものの深みを提示してくれる一冊。

  • それでも人生には意味がある。心強い言葉だ

全19件中 1 - 10件を表示

ヴィクトール・E.フランクルの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
遠藤 周作
デールカーネギ...
宮部みゆき
ヴィクトール・E...
ヴィクトール・E...
ヴィクトール・E...
エーリッヒ・フロ...
ヴィクトール・E...
ヴィクトール・E...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×