ポリヴェーガル理論入門: 心身に変革をおこす「安全」と「絆」

  • 春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393365540

作品紹介・あらすじ

常識を覆す画期的理論、初の邦訳。哺乳類における副交感神経の二つの神経枝とトラウマやPTSD、発達障害などの発現メカニズムの関連を解明し、治療への新しいアプローチを拓く。「安全である」と感じることが社会行動、生理学的状態に及ぼす重要性とは。

感想・レビュー・書評

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  • 内容はとても知りたい事だったので読んで良かったが、読み易くはない。
    年1度位の頻度で起こる謎の不調が迷走神経反射という現象なのだと30代になって知り、40代になってポリヴェーガル理論というものを知った。
    安全かどうかは私の意識の中ではかなり重要だったが、考えれば考えるほど現実は安全ではない様に思われた。
    しかしこの本では、意識で“安全”かどうかを判断する事ではなく、無意識が“安全と感じられる”かどうかについて着目している。

  • トラウマとは、「安全ではない状況に適応した、自律神経の誤作動」であるというポリヴェーガル理論を対話形式を交えて明らかにする。誤作動には、戦ったり逃げたりするための反応だけでなく、死んだふりをするための反応もある。
    個人的に重要だったのは、音楽を聞かせることで自閉症や聴覚過敏を緩和するリスニングセラピーについての記載があった点。

  • これから私が、心理の何を学ぶかについて考える上で、とても大切な本となった。

    私が人とうまくいかないのは?人の目を見れない、頭が真っ白になるのはなぜ?などなど

    ぜーんぶ私の身体が安全と感じていなかったから。
    しかも、意識ではなく無意識の感覚神経レベルで。
    これが明確にわかっただけでもよかったし、これから私の身体の反応を肯定的に感じることができる。

    私の中でもう一つ大切な知識。自閉症的反応という考えを知った。たしかに「目を合わせない」ってほんとに該当する。

    私は私の回復と成長のプロセスで、今までは回復に重点を置いてきた。
    これからは成長に重点をシフトしたい。

    対人関係について、「自律神経」、「社会交流システム」、「安全」をキーワードに学びと練習で私を成長させたい。
    もっと身体の声を聴き、今では適応的でない身体の反応を少しずつ適応的なものにする。

    ポージェス博士の愛のある言葉に励まされました。
    ポリヴェーガル理論についてさらに理解を深めたい。

  • 「心身に変革を起こす「安全」と「絆」」というサブタイトルを見て、心理的安全性に関する本かと思ったのですが、出てくる事例は、トラウマとかPTSDとか・・・もっとヘビーな感じでした。

    安全である、と感じるかどうかがいかに重要か。
    そして、ストレスとなる出来事の特徴よりも、我々の身体的な反応の方がより重要であること。だからこそ、自分自身の身体の反応をよく聞き、また相手の身体の反応を尊重し、安全な環境を見つけ、信頼できる人間関係を作り上げることができるようにしていかなければ。。

  • 安全を定義する。
    認知ではなく反射。
    認知治療でトラウマと向き合う前に、
    安全だと思える迷走神経の反射に対する環境や社会関係が必要なことが見える理論。
    聴覚過敏や自閉症を高周波によるプログラムされ音声で中耳の筋肉を刺激する話がおもしろい。
    神経の解明が進み始めているだなとわかる。

    個人的には迷走神経反射を体験したことがあるので
    不随意な反応を人間が持っていることはわかる。
    内蔵にしろ心臓にしろ呼吸にしろ、
    体の反射で結構変わるものかもと思えた。

    対話形式なのでわかりやすいが、インタビューまとめなのでけっこう同じ話が繰り返えされる。
    歌うことも呼吸につながるようで、参考になる。

    生まれつき耳が悪い人は安全性に対する感度が違うのかも。
    あと、音でどこまでビックリするか怖がるかで原始的反応か切り分けできそう。
    認知の世界が流行ってるからこそ知っておきたい知識。

  • 非常に面白かった。
    特に、身体感覚から脳の機能を考えるところになるほどと思った。

    トラウマなどで人との交流が持てなくなってしまっていることも、自分の体が最適に対応した結果と考えるとクライアントの精神状態が改善するのも納得した。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001155490

  • 紹介
    常識を覆す画期的理論、初の邦訳。哺乳類における副交感神経の二つの神経枝とトラウマやPTSD、発達障害などの発現メカニズムの関連を解明し、治療への新しいアプローチを拓く。「安全である」と感じることが社会行動、生理学的状態に及ぼす重要性とは。(版元ドットコムより)

    https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393365540.html

  • 交感神経と副交感神経という単語は聞いたことがある方は多いと思いますが、この本は副交感神経の下位システムとして迷走神経がある、としたうえで、迷走神経と人間の心理的/社会的行動を結びつけている本になります。
    本のタイトルは「複数の(ポリ)迷走神経経路(ヴェーガル)」から来ています。迷走神経の働きにより、人が恐怖を感じた時に体が動かなくなる、などが引き起こされるとされています。
    トラウマや自閉症などについて、迷走神経が影響していることが説明されており、乗り越え方についても一石を投じています。問題が起きた時に上手く行動できなくなることも多いですが、迷走回路による生物として自然な行動かもしれません。
    仕事などでも上手く動けない場合に、本人の努力不足などに焦点が当たることも多いです。しかし、本当は迷走神経による体の正しい反応で動けなくなるかもしれません。本書は迷走神経の観点から「安全」であることの重要性も説いています。本書を読むことで、これまで経験則に理解していた心理的行動が神経系の話と結びつき、新しい知識とともに強い納得感を得られました。

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著者プロフィール

Stephen W. Porges, PhD.(ステファン・W・ポージェス)

インディアナ大学名誉研究者で、インディアナ大学キンゼイ研究所トラウマティックストレス研究コンソーシアムを指導。ノースカロライナ大学精神医学教授、イリノイ大学名誉教授(ブレイン-ボディ・センターを指揮)、メリーランド大学名誉教授。精神生理学学会前会長および行動・心理学・認知科学連盟会長。邦訳書に『ポリヴェーガル理論入門――心身に変革をおこす「安全」と「絆」』(春秋社)がある。

「2023年 『ポリヴェーガル理論 臨床応用大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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