日本王権論

  • 春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393482063

作品紹介・あらすじ

天皇制とは何か?それはというものの深層を問う時不可避に浮かび上がってくる問題である。なぜそれは現在に到るまで存続しているのか。果たしてそこに「一貫性」はあるのか。社会のどの層がどのようなしかたでそれを支えてきたのか。そして他のさまざまなと比較した時そこにどのような共通性・特殊性が見えるのか。記紀神話のイデオロギー分析、中世非農業民との特殊な結び付き、幕府という武士政権との関係、のダイナミズムの中での変容、民俗コードによる受容、そして近代資本主義における位置などの問題をめぐって、歴史学、民俗学、構造主義社会学の最新の成果を踏まえ、社会構造・民衆の世界観の変遷を探りつつ、日本精神史の深部を探る白熱の討論。

感想・レビュー・書評

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  • 網野日本史学、宮田民俗学という独自の学を作り上げた両巨匠相手に、若き上野千鶴子が構造主義という理論の刃一つで立ち向かう。
    構造主義の徹底と普及をライフワークとする上野の論理の切れ味の鋭さを見よ!
    不婚の皇女が所有する荘園構造の謎を、レヴィ=ストロースから学んだ「交差イトコ婚」論理で読み解き、母系親族の発言を封じ込め、荘園を男系継承するためのシステムだと喝破する。
    こんな指摘をした日本史家はいただろうか?
    本書はインターディシプナリーの醍醐味を余すところなく示す。
    それにしても、上野の傍若無人の切り込みに、ちょっとタジタジとしながらも真正面から受けて立つご老体の対応も見事。
    後醍醐天皇に天皇制の断絶を見る網野、民俗学に天皇制の基底を探る宮田と、構造主義社会学者の上野が、最後は<如何に天皇制をつぶすか>で意見が一致していくところが面白い。

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著者プロフィール

1928年、山梨県生まれ。1950年、東京大学文学部史学科卒業。日本常民文化研究所研究員、東京都立北園高校教諭、名古屋大学助教授、神奈川大学短期大学部教授を経て、神奈川大学経済学部特任教授。専攻、日本中世史、日本海民史。2004年、死去。主な著書:『中世荘園の様相』(塙書房、1966)、『蒙古襲来』(小学館、1974)、『無縁・公界・楽』(平凡社、1978)、『中世東寺と東寺領荘園』(東京大学出版会、1978)、『日本中世の民衆像』(岩波新書、1980)、『東と西の語る日本の歴史』(そしえて、1982)、『日本中世の非農業民と天皇』(岩波書店、1984)、『中世再考』(日本エディタースクール出版部、1986)、『異形の王権』(平凡社、1986)、『日本論の視座』(小学館、1990)、『日本中世土地制度史の研究』(塙書房、1991)、『日本社会再考』(小学館、1994)、『中世の非人と遊女』(明石書店、1994)。

「2013年 『悪党と海賊 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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