- Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
- / ISBN・EAN: 9784394102533
感想・レビュー・書評
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角田喜久雄、1938年発表の小説。元禄の江戸を舞台にした伝奇小説。
両親に死なれ一人暮らす貧しい武家の娘、徳川家の血をひく美貌の素浪人、鎖がまを操る狂気の殺人鬼、伝説の大盗賊、怪しい豪商、妖艶な女掏摸、男勝りのお姫様・・・将軍綱吉や時の権力者柳沢保明も巻き込んでの、財宝の在処を示すという「髑髏銭」争奪戦。とても面白いです。
だんだん同じ所での堂々巡りみたいな話になって来るのと、ラストが悲しすぎるのが一寸難点。
同時代の土師清二作「砂絵呪縛」には劣りますが傑作時代劇だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
角田喜久雄の代表作であるところの「髑髏銭」。善悪入り乱れ、運命の糸はもつれにもつれ、登場人物の意外な関係や過去の因縁が伏線として絶妙に配されている。
私は「花太郎呪文」を先に読んでいたので、なんとなく展開が大まかに予想でき、謎の登場人物の見当もついたけれど、それでも読ませてしまう道具立てや謎解き。解けると見せて絡み合い、会えると見せてすれ違う。手に汗握る展開はやはり角田節全開! -
生類憐れみの令がだされた徳川綱吉の時代。お小夜が見知らぬ男から手渡された包みには猫の死骸が入っていた……。
類型的な人物造形や、偶然の多用、雑な謎解きと気になる点も多々あるものの、美剣士、美少女、女スリ、盗賊、姫君、殺人鬼etc、多彩な登場人物が織りなす善悪入り乱れた“どくろ銭”の争奪戦に大興奮。もともとが新聞連載のためか、続きへの期待をふくらまさせる見せ場もたっぷり。これぞ大衆文学の醍醐味。