知られざる「吉田松陰伝」-『宝島』のスティ-ヴンスンがなぜ? (祥伝社新書173) (祥伝社新書 173)
- 祥伝社 (2009年8月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396111731
感想・レビュー・書評
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宝島を書いたスティーブンスンは、ジキル博士とハイド氏の作者でもあった
そのスティーブンスンが、吉田松陰の伝記を残していたというお話です。
スティーブンスンの思いとしては、故国スコットランドがグレートブリテンに併合され、その圧迫下に置かれてきたことと関係があるようだ。
日本において、列国からの干渉から日本を守りえた吉田松陰を特別な人として映ったのではないか。
エジンバラにいたころ、松下村塾の出身者であった留学中の、正木退蔵から、吉田松陰の人となりを聞いて感激の中で、本に著したと聞く。
いっしょに学びましょうという吉田松陰の姿勢、日本をすくうために、欧米の文化を積極的に取得しようとした松陰に、スティーブンスンは何を見たのであろうか。
また、スティーブンスンは体が弱く、療養先のサモアでなくなっている。そのことは、米国のジャック・ロンドンや、中島敦にも影響を与えている。
国内で、吉田松陰の伝記をのこそうと、旧長州藩や、水戸学のメンバーが右往左往しているうちに、スティーブンスンが、世界で初めて吉田松陰の伝記である、「ヨシダ・トラジロウ」を出版してしまうのである。
目次
まえがき
序章 なぜ、世界最初の吉田松陰伝が英国で
第1章 スティーヴンスン作『ヨシダ・トラジロウ』全訳
第2章 誰が文豪に松陰のことを教えたのか
第3章 どうして伝記は密封されていたのか
第4章 松陰伝がサンフランシスコで執筆された理由
終章 スティーヴンスンが日本に残したもの
主要参考文献
ISBN:9784396111731
出版社:祥伝社
判型:新書
ページ数:224ページ
定価:760円(本体)
発売日:2009年09月05日 初版第1刷発行詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『宝島』、『ジキル博士とハイド氏』等の著者であり、中島敦が『光と風と夢』で書いた通り英国出身者でありながら、サモアにおける米英独の植民地経営に対して現地人と共に反対し続けたスティーヴンスン。
その彼が吉田松陰についての伝記を残していた。
といって、スティーヴンスン自身が松陰と面識があったのでなく、彼の弟子であり、東工大の前身である東京職工学校初代校長の正木退蔵から話を聴き、松陰の生き様に感動して書き残したのだという。
彼の出身地スコットランドはイングランドに併合された。それが列強を前にした日本の立場と重なり、その渦中で日本を外国と同等の立場に引き上げようと奮闘した松陰が眩しく感じられたのかもしれない。
また、犬吠埼灯台等明治期の日本に西欧式の灯台をもたらしたのは、スティーブンスンの父と叔父の会社スティーヴンスン兄弟社の協力を得た、お雇い外国人第一号のブラントンだという不思議な因縁も本書で語られている。 -
セルフサービスのおでん!を食べながら。(感想)吉田松陰のイメージが変わった。面白く読めた。でも、・・・と思うという著者の書き方が気になった。
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『宝島』で有名なスティーブンソンが、吉田松陰について綴ったことについて記述した一冊。
日本で吉田松陰伝が書かれるよりも早かったというのも興味深いが、何より彼が海外の文豪にまで届く偉大な人物であったということが誇らしい。 -
[ 内容 ]
スティーヴンスン研究家である著者は、ある時、文豪の書いた一行に目が釘付けになった。
そこには、彼がヨシダトラジロウの伝記を書いたと記されてあったからである。
だとすると、それは国内の誰よりも早く、世界で初めて書かれた松陰伝ということになる。
だがそれにしても、彼はいつ、どこの誰から松陰のことを知ったのだろうか。
そしてその内容とは。
またイギリス人の彼をして松陰伝を書かしめた動機とは何か。
そこに込めようとしたメッセージとは。
アメリカ、スコットランド、日本―著者の謎解きの旅が始まる。
[ 目次 ]
序章 なぜ、世界最初の吉田松陰伝が英国で―日本より十一年も早く業績が評価された理由
第1章 スティーヴンスン作『ヨシダ・トラジロウ』全訳―それは感動に満ちた内容であった
第2章 誰が文豪に松陰のことを教えたのか―維新の群像たちが求めていたもの
第3章 どうして伝記は密封されていたのか―松下村塾の秘密を解くカギはここにある
第4章 松陰伝がサンフランシスコで執筆された理由―文豪にとって、松陰は「勇気」であった
終章 スティーヴンスンが日本に残したもの―われわれに誇りを取り戻させてくれた
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
この本の面白いところは、吉田松陰というより、宝島を書いたスティーヴンスンが吉田松陰をなぜかくことになったか?結論はよく割らない本だが、スティーヴンスンの一生がすごくよく書かれていて、分かりやすかった。本の大半は吉田松陰の記事だが、こちらは中途半端。本の題と内容はほぼ乖離しているし、記述のほとんどが吉田松陰だが、作者は何を表現したかったのだろうか?よく理解出来ないが、スティーヴンスンのことがよくわかってよかった。宝島からワンピースへつながることから、すごく興味深かった。