9・15 リーマンショック (祥伝社新書174) (祥伝社新書 174)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396111748

作品紹介・あらすじ

二〇〇八年九月十五日、米投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻した。世界経済は、一夜にして未曾有の危機に陥った。日本経済も深刻なダメージを受け、多くの企業は、いまだ先の見えないトンネルのなかにいる。世界同時不況下、トップたちは、何を考え、どう動いたのか。七人の証言は、金融危機の本質に迫り、資本主義の行く末を探るための重要な手がかりとなるはずだ。

感想・レビュー・書評

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  • 金融、産業、学界など、7人の有識者がそれぞれのリーマンショックを語る。先行き不透明な時代。いかにリスクマネジメントに取り組むかが今後も問われることとなる。松下幸之助の言葉が紹介されている。「かつてない困難からは、かつてない革新が生まれ、かつてない革新からは、かつてない飛躍が生まれる」。リーマンショック後も業績を伸ばしている企業がある。

  • リーマン・ショックにどのように日本の経営者が対応したかを、経営者自らが語るインタビュー集。金融経済側と実体経済側の二者の立場が興味深い。

  • 2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが倒産してからもうすぐ2年が経過しようとしています。今から記憶をたどると、2008年前半までは絶好調の景気だったので、それまでアクセルを全開にしていた各企業はブレーキをすぐにかけることができず、リーマンショックの悪影響が出始めたのは2009年1月からだったように思います。

    少なくとも私の勤めている会社の受注量に影響が現れたのはそうだったと認識しています。この本は、リーマンの倒産を耳にしたときに企業の要職にあった7人の人達がどのように感じたのかをまとめたものです。

    危機を感じ取ることのできた人の考え方やセンスを今後の社会人生活に活かしていきたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・リーマンショックの影響が少なかったJPモルガンは、SIV(特別目的会社)を通じた運用を一切認めなかった、ゴールドマン・サックスも2007年12月の段階で、トップダウンの決定で、サブプライムローン関連の商品を売り始めた(p30)

    ・無借金経営を 目指して借入を少なくしてきた企業が、逆に資金繰りの余裕がなくなった、バランスシートの綺麗な企業ほどリスクに晒された(p35)

    ・りそな銀行が早目の決断ができた理由として、1)公的資金を受けているため過大なリスクをとるのに慎重であった、2)海外業務から撤退したので情報源が限られていたので海外案件は慎重であった(p37)

    ・JFEは資源高に対処するために、国内鉄鋼大手4社、伊藤忠、韓国ポスコと共同で、ブラジル資源会社のナミザ社を買収した(p52)

    ・2002年の川崎製鉄との合併前の粗鋼生産量は合計2650万トン、2基の高炉を停止したにも拘わらず2007年の生産量は3050万トン、生産性の向上により生産能力および収益力が上がった(p60)

    ・リーマンは投資銀行であり、決済システムを有していないので、基本的にはマーケットの中で処理すべきものであるが、一方の商業銀行は決済システム機能不全から他の金融機関への波及を防ぐために救済する必要がある(p73)

    ・アメリカのFRBがAIGとリーマンとの対応に違いが見られるとすれば、「AIGには資産があった」のでネットで債務超過になっていないということ(p74)

    ・本当のリーマンショックの発端は、9月29日、米下院議会が緊急経済安定化法を否決して、公的資金投入案を否決したことにあった(p77)

    ・成長しているときは、普通の人が普通にやれば食べていける、低成長経済下では新しいビジネスモデルを考えつく賢い人でなければ、生活は苦しい、なので成長する社会にすべき(p91)

    ・日本が成長するために、1)法人税の引き下げ、2)オープンスカイ、3)東京大学の民営化、が必要(p92)

    ・アメリカ自動車市場の最前線からは、2008年5月頃から、どんなに販売努力をしても売れないという声があった、ピックアップトラックや大型SUVは3月頃迄は売れていた(p100)

    ・2008年度開始直後から、緊急VA(バリューアナラシス)活動、経費削減活動、設備投資抑制を開始した、VA活動は15年ブリのこと(p105)

    ・アメリカではほとんど100%の人がローンで自動車を購入する、トヨタ車の場合、トヨタローン利用ケースが4割、残りが銀行ローンであった(p108)

    ・昔であれば1,2年かけて生産調整をするが、現在ではジャストインタイムは世界的に普及しているので、一気に生産がストップできる(p127)

    ・リーマンの社債は、直前の金曜日まではA格付けがされていた、週末の間に破綻に追い込まれた(p146)

    ・2009年9月29日に下院で緊急経済安定化法が否決されてから翌30日から10月1日にかけてはユダヤ教の新年にあたる日であり議会は休会、修正案の可決は10月3日(p150)

    ・時価評価が株価の下落を加速している、時価会計は「金融の理論」であり、実際の損益は売買したときに発生するので、期ごとの評価と実際の最終損益は一致しない、株価が暴落した場合は、実体以上に損益を悪化させて、自己資本が毀損することになり融資の拡大もできなくなる(p181)

    2010/08/29作成

  • リーマンショックを起業経営者や学者やその他ステークホルダーの視点から見た現状をリアルに記してあり、その内容は実に興味深い。
    リーマンショックを少し異なる視点から考察するのにもってこいの一冊。

  • [ 内容 ]
    二〇〇八年九月十五日、米投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻した。
    世界経済は、一夜にして未曾有の危機に陥った。
    日本経済も深刻なダメージを受け、多くの企業は、いまだ先の見えないトンネルのなかにいる。
    世界同時不況下、トップたちは、何を考え、どう動いたのか。
    七人の証言は、金融危機の本質に迫り、資本主義の行く末を探るための重要な手がかりとなるはずだ。

    [ 目次 ]
    はじめに-九月十五日の悪夢
    1 危機から何を学ぶか(細谷英二)
    2 高炉停止の決断まで(林田英治)
    3 危機を乗り越える力(竹中平蔵)
    4 市場回復に備えて(木下光男)
    5 市場の神様の鉄槌(斉藤惇)
    6 新たな成長モデル(上田良一)
    7 誰もがダンスを踊った(堀新太郎)
    おわりに-変化はすでにはじまっている

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 2011/1/30読了。
    2008年9月15日のリーマンショックを、最前線にいた7人の証言で振り返る。

  • 2008年のリーマンショック。
    そして、その後の金融危機という世界不況。
    その中で、財界トップはどう考えたのか。
    7人の経営者のインタビューをまとめた聞き書き。

    正直な話、ただのぺーぺーの俺には、あまり共感する
    所はありませんでした。結果論でしかないような気もするし。
    事情があって、十分攻めきれていなかったから傷が
    浅かっただけじゃないのとも思えてくるような話もあるし。

    ただ、ビジネスマンとしては、無計画に仕事を進めるんじゃ
    なくて、リスクマネジメントの観点でのチェックを欠かしては
    いけないんだなということだけは再認識。
    そういった意味で、中国のバブルって大丈夫かな。

    とりあえず、ちょっとしたうんちく話のネタには使えるとは
    思います。

    http://teddy.blog.so-net.ne.jp/2010-02-02

  • 金融ビジネスはリスクとリターンのマネジメント。過去におきたリスクは必ずまた起きる。金融は血液、血液がなければ人間は生きられない。
    BRICsをいかに取り込むか。今や世界最大級の翔被告だから。
    日本には技術、資本、貯蓄、人材が十分にあるから立ち直る力は十分にある。
    日本企業はコア事業がグローバルに最大の利益をあげるような仕組みを作らなければいけない。地域単位でマーケットを見る必要がある。

  • 弟の本棚にあったので読む。経営トップにリーマンショックについて振り返るインタビューを行った本。結局みんながみんな相当はやい時期から「アメリカでは異変がおきている。このままだと危険だ」と確信していた、にもかからず何も出来なかったということらしい。

  • トヨタ、JFE、三菱商事、東証の経営陣が、昨年のリーマンショックとその後の対応につき振り返る。
    どれだけ早く情報をキャッチしContingency Planを洗い出しておくか、Crisisが起こったときにどれだけ早く対応するか、という点で非常にためになる。

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著者プロフィール

片山 修(カタヤマ オサム)
ジャーナリスト
愛知県名古屋市生まれ。経済、経営など幅広いテーマを手掛けるジャーナリスト。鋭い着眼点と柔軟な発想力が持ち味。経営戦略、マネジメントにも造詣が深く、長年の取材経験に裏打ちされた企業論、組織論、人事論、時代論には定評がある。2001年から2011年まで学習院女子大学客員教授を務める。
『時代は踊った――オンリー・イエスタディ‘80s』(文藝春秋)、『ソニーの法則』『トヨタの方式』(以上、小学館文庫)、『本田宗一郎と「昭和の男」たち』(文春新書)、『ふるさと革命――“消滅”に挑むリーダーたち』(潮出版社)、『社員を幸せにする会社』『技術屋の王国――ホンダの不思議力』『豊田章男』(以上、東洋経済新報社)など、著書は60冊を超える。

「2021年 『山崎正和の遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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