なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか(祥伝社新書226)

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  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396112264

感想・レビュー・書評

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  • 心に残った言葉。

    村上春樹の1Q84からの引用で、「(大麻が)依存症になるから危険だと司法当局は主張しているけど、ほとんどこじつけだね。そんなこと言ったらパチンコのほうがよほど危険だ」
    たしかに。

    パチンコ依存症で苦しむ人には…
    「人間は転ぶことが恥ずかしいのではなくて、起き上がれないことが恥ずかしいのです。」
    「日本人は、転ぶことを恥ずかしがり、起き上がるまで時間がかかる傾向があります。転ぶことを恥ずかしがらずに、一日でも早く起き上がることが大切です。」
    との言葉。なんかわかる気がする。

    しょっぱな韓国のパチンコの説明があるのだが、日本と大きく違うのは「玉」がないということ。改造機で液晶のリーチアクションだけ残しコインをいれて作動させるものらしい。それってパチンコじゃないじゃんととおもった(笑)
    だから、一概に韓国と日本と並べて考えるのも(そのパチンコ賭博の歴史が異なるので)できないなと感じた。

    私の友人も大手パチンコホール運営会社の本部にいるし、地元のつながりでも関係者は多い。みな普通に生業として企業努力している。一言でパチンコ=悪とはいえない。なにしろ、「中毒になるほうが悪い!自己責任!」というのも当たり前の意見だと思う。
    その一方でこの本が主張するように政治家・警察・パチンコ企業、そしてマスコミの相互依存関係が深刻な社会問題を無視させているというのも事実なのだろう。

    最近、若手議員がパチンコ撤廃の声をあげ始めたとニュースで見た。
    パチンコ中毒者にパチンコ撤廃の話をすると「ぜひ撤廃してほしい」と回答する人も多いとのこと。自分の力じゃやめられないからということらしい。
    根が深いテーマですね。

  • タイトルで惹かれない人はいないと思うのだけれど。アジアカップが終わった今だし。今こそ宣伝!って流れが普通なんだと思うけれども…。
    2011年1月20日5刷発行ってあるからそこそこ売れてるはず。
    なのにメディアになんも出てないってことはこの内容そのままなんだ、と実感。恐ろしい…。
    でもパチンコ依存症とされる人々が本当に「有望な若者」や「家計の足しにと始めた真面目な主婦」なのかな、と疑問も湧く。
    パチンコに行く人ってどこか怠惰でさぼり癖があって元から依存傾向があるけれども、それに気付いていないし、そもそも考えることをしない人、というイメージが拭えないし。ついでに美意識もないんじゃないかなっていう人。
    依存症とされる人の掘り下げが足りない気がします。
    だからこそ、そういう人達にこの本の中にある情報が届くテレビや雑誌、新聞の何もしないという行動は「大罪」と言っていいと思う。
    ……ほんとにどこも取り上げてないの?

  • 本書「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか」は、日本よりも一時はパチンコが普及、いや蔓延した韓国におけるパチンコ全廃の歴史を通して、日本の権力の腐敗ぶりを告発する一冊。

    オビより
    韓国では、往時にはパチンコ店が1万5000店、売上高は日本円にして約3兆円にのぼった。それが、2006年の秋に全廃され、いまは跡かたもない。だが、その事実を伝えた日本のメディアはなく、それを知る日本人は、いまもほとんどいない。
    目次
    一章 なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか
    韓国のパチンコ全廃を報じなかった日本のマスコミ
    タクシードライバー、キム氏の話
    韓国人向けカジノ「江原ランド」のその後
    玉は弾かない韓国独特の「メダルチギ」
    法案成立の翌月には、パチンコ台一〇〇万台を没収
    政府高官にまで逮捕者が出た「パダイヤギ事件」
    韓国首相による国民への「お詫び談話」
    製造、販売業者にも及んだ徹底した不正の追及
    抵抗勢力による妨害はなかったのか?
    韓国で起こったパチンコによる事件、事故の数々
    読む者の胸を打つ「朝鮮日報」の社説
    日韓共通のパチンコによる家庭崩壊
    「数千人の利益のために、数百万人を泣かせる」業界
    廃止後の闇営業も徹底摘発する韓国
    日本のパチンコは、どこでおかしくなったのか?
    なぜ韓国人は、自国でパチンコが流行していたことを知らないのか?
    小沢氏に、パチンコの規制緩和を持ちかけた李大統領
    パチンコ全廃による経済効果とは?
    韓国CBS放送の取材を受ける
    二章 なぜパチンコは、廃止されねばならないのか
    パチンコ店店員も依存症になる世界
    ターゲットは、年金生活者と主婦
    月一〇〇万負けるのは、珍しくもなんともない世界
    パチンコ店にATMという恐怖の光景
    店内は、まさに賽ノ河原
    母を殺し、金を盗ってパチンコ店に行った息子
    パチンコの害を批判する韓国、しない日本
    業界が「依存症対策セミナー」を開く偽善
    自動販売機に規制がかからない不思議
    客が絶対に勝てない、恐怖の「顔認証システム」
    警察に対する業界の涙ぐましい心づかい
    主婦を直撃する貸金業法の改正


    パチンコ店のイベントに、天下の横綱がやってくる
    「子ども手当」もパチンコ台に消える
    裕次郎が草葉の陰で泣いている
    パチンコ問題に目を瞑るマスコミの責任
    パチンコ業界を告発した記事がボツになる国
    一円パチンコで、問題の解決にはならない
    法律には必ず抜け道が用意されている国・日本
    家族まで巻き添えにする、パチンコ悲劇の深刻さ
    三章 なぜ日本は、パチンコを廃止できないのか
    パチンコ業界のアドバイザーに名を連ねる政治家たち
    民主党による呆れはてた「パチンコ支援プロジェクト」
    業界を代弁して国会で恫喝する民主党議員
    パチンコ業界の損失に、国家賠償を要求
    今も相次ぐパチンコがらみの殺人事件
    パチンコ被害者に光明を与える訴訟事件
    韓国では、カジノ被害者の原告勝訴
    韓国にあって日本にはない、判断のスピード
    車内マナーでも韓国に負けている日本
    正面切ってパチンコ賭博を合法化しようとする政治家
    パチンコ問題に集約される日本の病根
    なぜ大新聞が、パチンコの全面広告を掲載するのか
    金に目が眩み、口を封じられたマスコミ業界
    大阪市議から届いた一通のメール
    地方から産声をあげるパチンコ反対運動
    パチンコ店の出店を認めた最高裁の判断
    元警視総監が会長を務める「保通協」とは?
    警察官が生活安全課に行きたがる理由
    北朝鮮への献金の実態とは?
    規制をかいくぐって生きのびるパチンコ業界
    韓国にできて日本にできないという恥辱

    それでは、なぜ韓国ではパチンコを廃止できたのか?

    急速に蔓延したおかげで、社会問題が顕在化したということもあるだろう。韓国の「パチンコ禍」は劇症にして急性。それだけに対策の方もすばやく進んだというのは、エボラ出血熱のような劇症で急性な感染症の方がかえって犠牲者の数が少ないことを彷彿とさせる。

    それに比べると、日本のそれは劇症度が低いかわりに慢性度が高く、問題は一段と深刻だと言える。法による規制が規制という名の保護になり、取り締まるはずの警察にとっては貴重な天下り先であり、マスメディアにとっては上客であり、そして今や漫画家やアニメーターにとっては欠かせないパトロンである。

    韓国のパチンコ中毒は、市民レベルどまりだった。

    日本のパチンコ中毒は、業界レベルなのである。

    立法や行政どころかマスメディアまで抱き込んでいるという点においてイタリア・マフィアを彷彿とさせるパチンコ業界ではあるが、もはや誰にも止められないのだろうか?

    止められる。

    我々がパチンコ屋に行かなければいいのだ。

    パチンコ - Wikipedia
    『レジャー白書2010』によれば、パチンコの参加人口は1720万人、2009年の市場規模は21兆650億円で前年より6510億円減少した[4]。近年、急激に客離れが進み、市場規模が縮小している。パチンコチェーンストア協会によると、就業人口は約44万人であり、就業人口に対して売り上げが大きいとされる。現在は娯楽の多様化や、古臭いイメージによる若者離れ、高くなったギャンブル性と依存性が指摘され、ピークの参加人口からは年々減少し現在過去最低水準にある。
    パチンコ屋が強者に資金をばらまいているのは、彼らの危機感の裏返しでもあるのだ。サラ金と同じだ。

    そしてその資金を出しているのは、結局のところ中毒者たち。彼らが被害者であることに目覚めれば、あとはサラ金と同じ流れになるはずだ。

    404 Blog Not Found:なぜ特区に反対するのかがわかって怖くなった
    山手線内でさえ駅前のいたるところにパチンコ屋がはびこっているし、パチンコ屋の駐車場で子供が熱中症で死ぬのは今や夏の風物詩だ。それでいて、「ゲーム脳の恐怖」は出版されても「パチンコ脳の恐怖」は出版されない国、それが日本だ。
    パチンコで身を持ち崩すのは、自業自得ではある。

    しかしそれで子供たちが実際に死んでいることに、業界は何と申し開きをするのか?

    私自身は、パチンコの滅亡までは望んでいない。パチンコ特区の一つや二つあってもいいと思う。パチンコを排した韓国だって、外国人向けのカジノを運営しているではないか。そこに行って身ぐるみ剥がれても、それは自己責任というものだ。

    しかし、街角という街角にパチンコ屋があり、さびれゆく地方でそこだけが栄えているという今日が明日も続くことは、望まない。

    P. 215
    庶民は、正常な感覚を失っていないのである。政府は、庶民の声に耳を傾けるべきである。このままでいいわけがない。
    まずは、現状を知るべきである。

    その上で、はじめてこう言えるのだから。

    このままでいいわけがない、と。

    常識的に考えて、パチンコをする人にも何らかしらの動機があるに決まっている。彼らはパチンコによって何らかの欲求なり衝動なりが満たされると思うから、パチンコをするのだ。まったくもって当たり前の話過ぎて申し訳なさすら覚えるが、パチンコをする人とパチンコ屋の関係は、単純に需要と供給の関係なのであって、小作農と封建領主のような関係ではない。
    一言で言えば、「自業自得」ということである。

    しかし、数字を親身に見直すだけで、それは吹っ飛ぶ。裏を返せば、20兆円という数字をそれまでは上からしか見てこなかったということだ。

    パチンコ依存症からの克服
    パチンコ依存症を自覚している人が、遊技している人全体の30%もいらっしゃいます。また多重債務で苦しんでいる方が遊技客全体の0.5%となっております。
    パチンコ依存症の方は全国で100万人と言われておりましたが、この意識調査を元に考えますと、単純に参加人口が1380万人でその30%。つまり400万人の方が何らかの形で自覚されていることになります。
    このページ、なんと書いたのは「パチンコ店長」。要するに、「中の人」ですらパチンコの中毒性と危険性を注意喚起せずにはいられないというわけだ。

    < ビンボーの 原因は パチンコ >
    米国ラスベガスや中国マカオに常設された商業カジノの10倍も多く売り上げる 「 駅から歩いて30秒の賭博場 」 が、日本全国に林立する現況は絶対におかしい。
    市場規模 - カジノ・エンターテイメント - 楽天ブログ(Blog)
    同じく来年2011年、マカオが283億米ドル(2兆3420億円)、豪州が28億米ドル(2320億円)、韓国が25億米ドル(2070億円)となっています。
    どうみてもこれは「下流喰い」と呼ぶべきだろう。

    そろそろネット住民の反パチンコ論についてひとこと言っておくか - よそ行きの妄想
    パチンコ叩きの性根は、先般のエロ漫画規制に絡んで無駄に差別発言を連発していた某東京都知事とまったく同じである。要するに自分に理解できない価値を無価値だと断じているわけである。
    質も量も全然違う。

    エロマンガの市場は、多めに見積もっても数百億円オーダーであるが、パチンコは腐っても二〇兆円。エロマンガの買い過ぎで多重債務者になったんて聞いた事がないが、パチンコのそれは少なく見積もっても8万人。そしてなにより、エロマンガは凶悪犯罪を増やしている証拠がないどころか減らしている可能性さえ否定できないが(「電波男」本田透に至っては、「なければ凶悪犯になっていた」とまで公言している)、パチンコは中毒になった本人のみならず、その周りの人々にまで被害が出ているのである。

    それでも私は、パチンコが悪だという見方はしない。

    ただ、危険なだけなのである。フグやF1と同様に。

    危険は即悪ではない。それを知った上でなお楽しみたいという大人には、コストを支払った上でスリルを味わう自由と権利があると私は考える。中毒の危険がある大人の嗜好品としては酒とタバコがあるが、酒の市場は4.5兆円、タバコのそれは1.5兆円。額面上はこの二つをあわせた三倍も、パチンコは危険だということになるが、そこまで危険であり続ける必然性がパチンコにはあるのか?

  • 韓国は世論の高まりや政策的な英断もあって2007年にパチンコを国から一掃した。韓国でパチンコが全廃されたというのは聞いたことがあったけど、それがわりと最近のことであることにまずびっくり。そしてそのスピード感にもびっくり(というか韓国ならこのくらいのダイナミックさは当たり前でもあるけど)。
    著者は、依存ともいうべき状態にある人たちやパチンコがからんだ事件・事故が多発しているにもかかわらず、廃止に向けた手立てを打たない・打てない日本を非難する。ちょっとご都合主義な書きぶりも散見されるけど、パチンコなんてべつになくてもいいんだから総論賛成!
    それにしても、日本ってセックス産業とかもそうだけど、こういう類のおかしいはずなのに解消されないことって多いよね。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/55976

  • 「パチンカス」は本人が悪いか・国が悪いか
    ・パチンコ業界のアドバイザー政治家の存在
    ・殺人・子ども放置死
    ・韓国のパチンコ全廃
    普通に存在するパチンコ店舗は外国から見れば異様である。
    依存症になる本人が悪いのかパチンコを許容する国・政治家が悪いのか。どちらかというと後者ではないか。
    全ては金絡み。


  • 未感想

  • 最初の韓国のパチンコ(メダルチギ)については勉強になった。
    パチンコ全廃を否定するわけではないが、著者の思いが強すぎて、分かりやすいデータや参考文献が少なく感想文を読んでいるようだった。

  • 一応先に言っときますが、僕は嫌韓ではないです。
    この本は韓流ブームがまだあった頃に書かれたのかな。韓国との比較で、日本と比較して韓国のパチンコ規制対応が素晴らしいと書くのはいいのだが、全体的に感情論が目立ち、よみ進めるうちに、わざわざ韓国にしぼるのは、単に韓流ブームに乗ろうとしているように感じた。
    日本がギャンブルに対し異常な国なのもわかったが、もっと客観的なわかりやすい例えが欲しかった。韓国に絞らずに諸外国のギャンブルとの比較の方が良い気がするし、
    せっかくタイトルに韓国を付けるなら、日本のパチンコ店はなぜ朝鮮系の人が多いのかという歴史なども載せてくれてたらもっと良いのに、純粋に疑問なので。

  • パチンコ依存症は怖い。パチンコの射幸性を制限するべきだ、という本。

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著者プロフィール

1940年、秋田県生まれ。
 トヨタ自動車のデーラーに19年勤務。メカニック、営業マン、営業所長を経験。営業マン13年で新車を1200台販売。独立後、自動車販売会社を経営するも3年で撤退。その後、損保の代理店を経営。選手として出場したスポーツは、スキー、ボクシングなど。ラリーにも出場。
 著書に『タクシードライバーほど素敵な商売はない』(エール出版)、『タクシードライバー千夜一夜物語』(K&Kプレス)、『失敗から学ぶ』『TAXI・ニューヨーク』(以上、花伝社)、『打ったらハマる パチンコの罠[PART1]』『打ったらハマる パチンコの罠(PART2)』(以上、社会批評社)、1998年夕刊フジに連載を執筆。
 http://www.wakamiyaken.jp

「2010年 『増補 打ったらハマる パチンコの罠(PART1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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