近衛文麿と日米開戦――内閣書記官長が残した『敗戦日本の内側』 (祥伝社新書)

著者 :
制作 : 川田 稔 
  • 祥伝社
4.40
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本棚登録 : 58
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396115906

作品紹介・あらすじ

昭和史の貴重な記録を読み解く
日本が太平洋戦争に突入していく重要な時期に国政を担った、第二次・第三次近衛文麿内閣。その内閣書記官長を務めた富田健治によって、戦後に書かれたのが『敗戦日本の内側――近衛公の思い出』である。そこには、近衛らが緊迫する国内外の情勢にいかに対応したかが、当事者しか知りえない舞台裏と共に、息づかいまで感じられる筆致で綴られている。解説は、昭和史研究の第一人者である川田稔名古屋大学名誉教授。会話などからも歴史的価値を見出し、読み解いていく。はたして、日米開戦は不可避だったのか、それとも――。


・はじめに――『敗戦日本の内側』の史料価値(川田稔)
・解説(川田稔)
・敗戦日本の内側――近衛公の思い出(富田健治)
・おわりに――家族から見た富田健治(富田重夫)

感想・レビュー・書評

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  • 近衛文麿と日米開戦 川田稔編 祥伝社
    具体的な歴史資料に基づく
    揺れ動く肌感のある日米開戦前後について
    知ることができた

  • 近衛文麿とルーズベルトが会談してたら?
    ドイツがソ連に攻め込まなかったら?
    外相が松岡じゃなかったら?
    そんな事を考えながら読んだ。

  •  第二次、第三次近衛内閣という歴史的に枢要かつ重要な時期に内閣書記官長を務めた富田健二が、戦後に書いた手記の内、近衛内閣時代および大東亜戦争期の部分を収録した本である。
     日本近代史において近衛文麿が果たした役割というのはマイナスのイメージが強いが、本書においては、近衛自身が意図していたものとは違った方向に事態が進んでいく場面もあり、この手記により近衛に対する評価をあらためて再検討する必要があると感じた。
     解説は陸軍および昭和政治史に多くの論文や著作がある川田稔氏である。本書の1/5にわたって書かれた解説部分は、非常にわかりやすく纏められているだけでなく、既存の先行研究等も明記されているので、これから詳しく調べるには有用である。
     富田が手記の中でしばしば指摘するのは、大東亜戦争に至った経緯について、単に軍部や当時の内閣等の責任だけではなく、政治家の責任も重大であった点である。これは私も驚きであった。
     本書は、支那事変以降から敗戦までの政治的動向を調べている方にはぜひ読んでいただきたい。

  • 東2法経図・6F開架:210.75A/Ka92k//K

  • 大変重要な本。太平洋戦争に至る過程が、内閣書記官長という当事者しか分からない内情によって明らかにされている。当事者であるが故の自己弁護や人物評の偏りはあるかもしれないが、それを差し引いても余りあるリアリティ。

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著者プロフィール

1947年生まれ。名古屋大学大学院法学研究科博士課程単位取得。現在、日本福祉大学教授、名古屋大学名誉教授。法学博士。専門は政治外交史、政治思想史。『原敬 転換期の構造』(未来社)、『浜口雄幸』(ミネルヴァ書房)、『浜口雄幸と永田鉄山』、『満州事変と政党政治』(ともに講談社選書メチエ)、『昭和陸軍全史1~3』(講談社現代新書)、『石原莞爾の世界戦略構想』(祥伝社新書)など著書多数。

「2017年 『永田鉄山軍事戦略論集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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