自己正当化という病 (祥伝社新書 670)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396116705

作品紹介・あらすじ

社会にはびこる病、その原因と処方箋


うまくいかないことがあるたびに「私は悪くない」と主張し、
他人や環境のせいにする。
やがて、周囲から白い目で見られるようになり、
自分を取り巻く状況が次第に悪化していく……。
このような「自己正当化という病」が蔓延している。

精神科医として長年臨床に携わってきた著者が
「自分が悪いとは思わない人」の思考回路と精神構造を分析。

豊富な具体例を紹介しながら、根底に潜む強い自己愛、
彼らを生み出してしまった社会的な背景を解剖する。

この「病」の深刻さに読者の方が一刻も早く気づき、わが身を守れるように――。


◆目次

はじめに

第1章 自分が悪いとは思わない人

第2章 なぜ自分が悪いとは思わないのか

第3章 強い自己愛

第4章 安倍晋三元首相銃撃事件

第5章 社会的背景

第6章 自分が悪いとは思わない人を変えるのは困難

終 章 対処法

おわりに

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  • 自己正当化という言葉
    の意味するところは、

    そうとは言い難い状況
    で自己を正しいとする
    ことですよね。

    誰もが、あの人が悪い
    よね、と思ってるのに

    当人だけ、いやあれは
    仕方なかったでしょう
    と思い込んでる。

    端から見て痛々しいし
    まわりから人が離れて
    いきます。

    じゃあ、どうすれば?

    答えは客観的な視点を
    持つことだと思います
    が、

    はたして百パーセント
    自己愛を排した視点を
    持てる人がいるのか。

    私を含め多くの人たち
    が自己愛を多分に含む、

    それはちょっと客観的
    な視点とは言い難いん
    じゃないかな?

    という客観的な視点?
    でときどき己の言動を
    振り返り、

    そして微かに、ほんの
    微かに自分の落ち度を
    感じ取り、

    まあ私にも反省すべき
    点はあるかな、と思う。

    というのが、現実かと。

    誰しも多かれ少なかれ
    自己正当化という病質
    を抱えてますよね。

    だからなに?とも思い
    ますが、

    そんなことも自覚して
    ときどき自己点検する
    ようにしようかなと。

  • 「自己正当化」という病はもはや「現代病」と言えるだろう。
    要因は①強い特権意識②過去の成功体験③想像力の欠如④甘い現状意識
    対処法。①気づく②孤立しない③観察眼と分析力を養う④距離を置く⑤戦うのを避ける⑥面倒臭い奴と思わせる⑦好かれる必要なし

  • ●自己正当化をする時は、①利得②自己愛③否認、の動機から。
    ●要因は①強い特権意識②過去の成功体験③想像力の欠如④甘い現状認識。
    ●プーチン氏も自己愛が人一倍強い。
    ●悪い事は何でも他の誰かのせいにする責任転嫁は恥ずかしげもなく平然とやってのけるられる。罪悪感や羞恥心は欠如している。ゲミュートローゼ。精神病質人格。
    ●山上容疑者。経済的困窮も犯行を後押しした可能性が高い。
    ●「例外者」自分には例外を要求する権利があると言う思いが覚信尼まで強まっている。だから、法律あるいは世間一般の常識では許されないようなことでも、自分だけは許されると思い込みやすい。
    ●自分が悪いと思わない人を変えるのは難しい。うまくいったのはタマタマで、幸運のおかげと言う自覚がない人を変えるのも難しい。 
    ●森元総理。早稲田に入れたのは、父親がラグビー部監督に紹介状を書いてくれたから。しかし、わずか4ヶ月でラグビー部を退部している。
    ●自分に迷惑をかけているのに、自分が悪いとは思わない人は、私にとって本当に大事な人だろうか?その人に好かれる事は、私にとって本当に必要だろうか?と考えれば、好かれる必要は無いとわかる。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/787264

  • 〖本から〗
    自己正当化 三つの動機 ①利得 ➁自己愛 ③否認

    こじらせる四つの要因
    ①強い特権意識 ➁過去の成功体験 ③想像力の欠如 ④甘い現状認識

    自分にとって不都合な事実や思い出したくない出来事が意識からすっぽり抜け落ちる現象を、フランスの神経学者k、シャルコーは「暗点化(scotomiwqtion」と呼んだ。

    「無自覚型のナルシスト(Oblivious Narcissist)
    1 他人の反応に気づかない
    2 傲慢で攻撃的
    3 自己陶酔
    4 注目の的でいたい
    5 ”送信器”はあるが、”受信器”がない
    6 他人の気持ちを傷つけることに鈍感

    ヒトラーもプーチン氏も「ゲミュートローゼ」
    「ゲミュート」とは、思いやりや同情心、羞恥心や良心を意味するドイツ語であり、そういう高等感情が欠如している人が「ゲミュートローゼ」

    自分を悪いと思わない人を変えるのは困難

    他責的傾向と表裏一体

    「物盗られ妄想」

    常識が通じない人は一定の割合で存在

    うまくいったのは幸運のおかげという自覚がない

    痛い目に合わないと変わらない

    戦うのは極力避けるべき
    面倒くさいやつだと思わせる
    好かれる必要はない

  • 自分にとって見たくないことや都合の悪いことは見えなくなっていることがある…
    他人とのやりとりで『え?』と感じるとき、双方のどちらかに『暗点化』というものがあるのかも
    『例外者』『ゲミュートローゼ』『歪んだ特権意識』なるほどと思いつつ自分は大丈夫か?

  • 誰にでも正当化したくなる時はあるけれど、例に出てくる人たちはちょっとレベルが違うと言うか、世の中にはかなり拗らせている人がいるんだなと思うのと同時に、幸い身近にはここまでひどい人はいないことを有り難く思う。

    本書で一番納得したのは第5章の社会的背景。著者が指摘しているように、現在の日本においては、「自分は不利益を被っている」という被害者意識・不満を多かれ少なかれ抱いている人がほとんどではないだろうか。だからこそ、近年特にやたら人を叩きたがったり、怒りっぽい人が増えているのだと思う。正直自分も例外ではない。

    怒ってもどうにもならないし、スッキリするのは一瞬だけで、怒れば怒るほどイライラは増えるだけであるから、イラッとした時こそ冷静にならなければと改めて思った。また、もしこういう人に出会ったら、とにかく関わらないのが一番。残念だけれど、人を変えるなんてできない。

  • 具体的な事例を示されて、自分を正当化する人の分析をしており、よく理解ができました。
    過去を振り返って、最近の傾向として、このような人が増えているのかどうか、そういった分析もあればなお良かったかと思います。

  • 社会が悪い、国が悪い、政府が悪い、誰でも自己正当化する部分はあると思うが、本書はそういう自己を変えるのではなく、自己正当化する人への対処法を述べている。少々、自己責任論的とも言えなくもないし、産業医の立場で書いているという点にも留意する必要がある。
    自己正当化する人を批判している自分は自己正当化していないだろうか、という客観的・相対的な視点が必要なのではないのかと気づかされる。
    なんでも、環境や他人のせいにするのもどうかと思うが、時には納得のイカナイ事に対して声を上げることも必要だろう。もちろん、合法的な手段で行う事は言うまでもないが。

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著者プロフィール

1961年生まれ。大阪大学医学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。専門は精神医学、精神分析。フランス政府給費留学生としてパリ第八大学でラカン派の精神分析を学びDEA(専門研究課程修了証書)取得。精神科医として臨床に携わりつつ、精神分析的視点から欲望の構造について研究。日生病院神経科医長、人間環境大学助教授を経て、現在、神戸親和女子大学教授。著書に『オレステス・コ
ンプレックス—青年の心の闇へ』『17歳のこころ—その闇と病理』(共にNHK出版)『分裂病の精神病理と治療7—経過と予後』(共著、星和書店)など、訳書に『フロイト&ラカン事典』(共訳、弘文堂)などがある。

「2005年 『攻撃と殺人の精神分析』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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