- Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396315870
作品紹介・あらすじ
信長、秀吉、康家を輩出し、近世から日本の歴史舞台の中心であり続けた尾張・三河。そして現代も日本経済の中枢である名古屋の地名や駅名には、歴史に埋もれたその土地の史実、風土、歴史秘話の痕跡が残されていました。本書は名古屋市内の駅はもちろん、名古屋鉄道の沿線にまで足を延ばし幅広く取材し、調べ上げています。名古屋の方には、身近な「名鉄」の駅名の由来を楽しんでいただき、名古屋以外の方には、本書を読んで著者といっしょに尾張・三河の歴史をめぐる旅をぜひ味わってください。
感想・レビュー・書評
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谷川彰英氏は、地名研究で有名な人。「駅名」の謎シリーズでは、既に「大阪」「京都・奈良」「東京」があり、本書は第四弾といふことになります。
本書にも断りがありますが、「名古屋」と言ひつつ、市外の尾張や三河、果ては岐阜県の美濃まで範囲を広げてゐます。これは、「名古屋鉄道(名鉄)」の沿線範囲を考慮した結果のやうです。
わたくしは地元ですので、登場する駅名はすべて存じてゐますが(冒頭の「駅名検定」は当然満点を取りました)、その由来については知らない事も多く、中中興味深いものがあります。最近、他県から来た人に「何でこんな地名になつたの?」と聞かれる事も増えてきてゐまして、本書をカンニングペーパーにしやうといふ魂胆もあります。
例へば―
・栄(かつては「サコ」と発音)と栄生(サコオ)の関連は、ああやつぱりといふ感想。
・黒川が人名(黒川治愿氏)に由来してゐたとは知りませんでした。
・鶴舞(ツルマ&ツルマイ)問題は、由来からすれば「ツルマ」なんでせうが、名古屋人が発音すれば「ツルマ」も「ツルマイ」も「つるみやあ」になるので、地元では余り拘泥してゐないとか。
・豊川市の「国府(こう)」は最近よその人にも知られる事が多くなりました。豊田市駅で、東北弁の男性二人組の会話をぼんやり聞いてゐると、一人は国府を正しく「こう」と読み、もう一人の男性は「へえ、あれをコウと読むのか」と路線図を見上げながら感心してゐました。国府高校(こうこうこう)もあります。
・わたくしの好きな駅名「前後」は、元元「東海道に向ひ前の郷=前郷」から前後に転じたさうです。豊明市には「阿野」「前後」の二駅がありましたが、豊明の中心駅として期待を込め「阿野」を「豊明」に改称しました。しかしその後、案に相違して「前後」周辺が開発され、実態としてはこちらが中心駅となりました。予想が外れた形ですが、「前後」が残つて良かつた喃。
あまり専門的に深く踏み込んでゐない分(踏み込まれても素人には困るが)、門外漢にも気軽に読め、ここで仕入れた知識を周囲にひけらかして、刹那的な(つまり外交辞令的な)尊敬を受けることも可能であります。
それにしても地名は面白いですなあ。
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名古屋の駅名や地名の由来を研究・解説したエッセイ。
地形由来、神社から取った名前、合併に寄って複合的につけられた名前、など様々。
普段何気なく聞いている地名に意味があるのを知って面白く読んだ。