さくらの丘で (祥伝社文庫 し 19-2)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396338459

感想・レビュー・書評

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  • 小路幸也さんも大好きな作家さんの一人。
    この本が16冊目。

    無くなった祖母に”一本の鍵”と”さくらの丘の西洋館”を託された満ちる。
    祖母と少女時代を共に過ごした友人二人も孫娘に同様の遺言を残していた。
    満ちるたちは戦後の厳しい時代を生き抜いた祖母たちの足跡をたどることになり…

    優しい文章のなかにも厳しい時代を感じる…
    さらさらと読みつつも、ふと考えさせられる…
    そんな本でした。

  • 戦後まもない頃に少女時代を過ごした祖母。
    その祖母から故郷の西洋館と古びた鍵を遺された孫娘。
    戦後と現代、祖母達が隠した秘密を孫達は受け取ることができるのか…。
    戦争で男は命を失ってしまったけれど、女は子供を産み育てて命のバトンを繋ぐ。
    戦後すぐの時代が苦しくて辛いけれど、誠実で頑張るミッちゃん達の姿がとても暖かかく、そして切ない話でした。

  • 畳み方が性急な印象。
    文庫じゃないんだけどこれしかないぞ。
    そして再読なんだが前回履歴も消えちゃったのか。
    [図書館·再読·4月8日読了]


  • 亡き祖母が遺した一本の鍵と、祖母が輝かしい時を過ごした西洋館。
    孫娘に残された遺言。そこには、祖母の友人二人の孫にも遺されていた。
    一体何故、土地を遺し、両親ではなく孫なのか。
    ミステリ要素はあるものの、小路氏らしい優しさに溢れる。
    戦後、時代に翻弄された人々。
    日本人もアメリカ人も、国の為の名の下に。
    戦争期の表現になると、事実、心荒むが、物語の展開上触れながらも、主にならないように運ぶ筆力は小路流。
    命を生むことの尊さ、命を紡ぐことの尊さを柔らかく表した一冊でした。

  • 文章の柔らかさ、優しさがとても好みでした!そして、お話も優しかった!

    おばあちゃんが残した謎を解く、その明かされ具合も絶妙でした!交互に描かれる2人の語りで明らかになる、謎の組み立て方が心地よかった。

    おばあちゃんの語りが、ただの答え合わせになるんじゃなくて、「あれ?現代とつじつまが合わないぞ、どういうことなんだ?」と更に謎が生まれるつくりになっています。もう少し読みたいところで、満ちるの語りに切り替わる。先におばあちゃんの語りで知っていた部分の秘密をほどいていくから「そうそう」って気持ちで見ていると、まだ語られていない謎が出てくる。どういうことだ?もっと読みたいと思ったところで、またおばあちゃんの語りに戻る..っていう感じ。

    戦争直後のお話で、脱走兵に、村から追われたお嬢様に...緊迫しそうなのに、誰も悪い人はいなくて、こんな柔らかい話になるなんて、衝撃でした。

  • 悪い話ではないのですが、物足りなさを感じます。
    柔らかさ、温かさは如何にも小路さんらしく。しかし、それだけしか無いのが残念です。
    小路さんにアクを求める訳では無りません。ただ、苦しみや悲しみを余りにサラリと曖昧にぼかし過ぎたために物語が弱くなっています。マイナスがあってこそプラスが映えるといった様な手法を取れば、もっと力強い話になったと思います。中学生位を読者に想定し、ネガティブは見せない、そんな感じで書かれているように見えるのです。

  • わたしが生まれてから死ぬまでに経験する“人生の物語”は時の流れとともにいつかは風化してしまうかもしれない。
    けど、わたしという人がいたっていう事実を遺すために、
    今を大事に生きよう、必死にもがこう
    そんなことを考えさせられた一冊

  • やさしくあたたかく切ない
    小路さんの作品はやっぱり登場人物がみんなやさしくてあたたかい
    みんなが全力で大切なひとたちを守ろうとしていたんだな。
    西洋館の謎が少しずつ解かれていくのがわくわくした。

  • 【読間】(3分の1時点)
    小路幸也が好きすぎるぅ~
    ・・・・な状況になりつつあるという(苦笑)。

    3人の孫たちは祖母の残した西洋館にたどり着き、あちこちと調査をし始めた。この先、どんな展開が待っているのやら。楽しみ、楽しみ♪
    (2019.02.14.書)


    【読了】
    “ちょい混み”な通勤電車の扉近くに立ちながら読んでいて・・。
     こらえ切れずに落涙。目の前を通って下車していく女性に、2度見されてしまった(恥)。

    哀しいけれど爽やかな感動。
    切ないけれど心地よい読後感。

    (ちょっと失礼かも)もっと大手の出版社からの刊行だったなら・・・もっと大勢の人の目に留まったであろうということが、残念。

    より多くの人に勧めたくなる。たくさんの人に読んでもらいたい物語。

    文句なしの
    ★5つ、9ポイント半。
    2019.02.15.古。





    ※「・・・バンドワゴン」のような語り口。
    過去パートでならもちろん何一つ文句はないのだけれど・・・・
    現代パート。ヒロインは20代半ばの女性。そんな彼女の一人称語りにしては、口調や感情が少々“ババっぽい”というかなんというか・・・。

    上品なおばあさん、みたいな印象と作中年齢とのギャップに少しだけ、少~~しだけ、違和感を感じていた。

  • 亡くなったおばあさんから一本の鍵と“さくらの丘”を遺すという遺言書を受け取った主人公の満ちる。
    同じくおばあさんの友人二人の孫も鍵を託されていた。
    鍵を遺された3人が祖母たちの残した想いを紐解くために3人はさくらの丘へ…

  • 小路幸也の小説は、

  • すこーし、恩田陸っぽい。

  • さくらの丘を受け継ぐ話。

    戦争で失ったものがたくさんある中で
    残った人出会えた人が大切なんだ。

    小路小説の温かい世界で生きたいです。

  • 少しノスタルジックでハートフルという小路作品の既定要件の1つを満たしているものの、些かパワー不足。
    いい話だけど期待値が高いだけに星4つは付かないか。

  • とある洋館を舞台にした、終戦後と現在の娘3人、合計6人を主人公にした物語。

    小路作品にしてはちょっと小粒かな?楓さんの扱いかなんかが特にそうだったんだけど、なんとなく「もうちょっと頑張れるやろ」的な物足りなさを感じてしまいました。

    それでも、戦争はいかん。戦争は大嫌いだ。っていうメッセージは痛いほど伝わってきます。安部さんの靖国参拝、ヘイトスピーチ、ネトウヨ…。確かに周辺諸国のやりようには多いな不快感を感じるけど、だからと言って、このまま負の感情をダダモレに流してしまっては絶対にアカン。戦争するなんて愚の骨頂。

    国を愛する心は大事だと思う。だけど「国を愛するのなら」という理屈で戦争に向かう考え方は絶対に間違っていると思う。国が大事なら国を疲弊させ滅ぼすかも知れない戦争を肯定するなんてあり得ない選択でしょ。

  • あらすじは・・・
    亡くなった祖母から一本の鍵と<さくらの丘>を遺すという
    遺言書を受け取った満ちる。
    そこには、ともに少女時代を過ごした祖母の友人2人の孫も持ち主となるとあった。
    なぜ祖母たちはその土地を所有していたのか、どうして孫三人に
    譲ることにしたのか。その疑問を解くために、満ちるたちは、
    <さくらの丘>へ。そしてそこで待っていたものは___。
    次世代に語り継ぎたい感動の物語。

    戦争の話を現代と(孫) 昔(祖母)と交互に話が進んでいって
    あっという間に物語が進んでいく感じで、重い話なのにサラっと読める
    最後はもうちょっとガツンと来るのかと思っていたので、案外サラっと終わって
    しまってちょっと物足りなさを感じてしまいました・・・又、帯でハードルが上がっていたということもあるかも知れないけど・・・・

  • 二つの時代の女性のお話でした。
    ドロドロした部分もあるはずなのですが、それが気にならない文章のやさしさがありました。

    長くないので、あっさりした読みごたえです。

  • 〈さくらの丘〉にある古い西洋館に秘められた過去が
    戦後間もない頃の若き日の祖母たちと、
    現在の三人の孫娘の話を交互にしながら紐解かれていく。
    ~私ね   戦争、大っ嫌いなの~
    出てくる人々が優しい人ばかりなのは小路幸也らしい。
    優しくも哀しい物語。

  • けい子さんとロンさんを守ろうとした理由が弱い気がした。
    でも実際そんなもんかもね!

    わたしも楓さんみたいに宝くじあてて、働かずに暮らしたい。
    当たったらアパレルとかで趣味としてバイトしながら、老後の心配とかせずに何も考えずにぼーっと日々を過ごしたい。まじで。

    戦争をテーマ(ここではサブテーマ的だけど。)にしてる小説って多い気がする。
    書きやすいのかしら??

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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