- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396340391
感想・レビュー・書評
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碓氷優佳の倒叙ミステリー3作目。面白かった。
証言、そして犯行現場でのちょっとした手がかりから犯人を瞬時に見抜くその洞察力が凄い。普通は気づかないと思う。さらにはそこから犯人と被害者との関係も推察できている。あっという間に読み終えた。殺害動機がちょっと弱いとか思ってたが解決編でひっくり返された。そして結末にも驚いた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2022年7月読了。
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横浜レアメタル・花村貿易・寺田商会の3社が集まり、例年行われる『箱根会』
古い友だった3社の社長が、創業当時から定期的に箱根に集まり、互いの成果を報告し合う交流の場。
元・横浜レアメタルの社員だった女性が2人。
『中条夏子』と『黒羽姫乃』
互いに独立し、別々の会社の代表となった2人も古巣の社長からの誘いで箱根会へと参加し、久々の再会を果たす事となった。
同僚時代に切磋琢磨しあった仲であったが、1人の男性を巡る愛憎の末、夏子は姫乃の殺害を心に決めた。
予定通り殺害を決行した夏子だが、またもその場に居合わせる『碓氷優佳』の推理により犯行が暴かれる…。
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碓氷優佳シリーズ3作目。
今作も安定の倒叙ミステリだが、女性が女性を殺害する初の展開。
またしても碓氷優佳の鋭過ぎる観察眼が事件をあっさりと解決してしまう。
正直途中まで、3作目ともなると若干飽きてきたかと思ったが、ラストの締めくくり方が好みだったので高評価。
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シリーズはあと3作発表されているが、手元に無いため追うかは悩みどころ。
巡り合うことがあれば、読みたいと思う。 -
犯人も動機も方法も全て提示されている。
だけど、たった1つのカフスボタンが物語を面白くする。
少しの情報をもとに組み立てられた推理には、いつものことながら戦慄いてしまう。
むしろ徹底的に追い詰められることに快感すら覚えてしまっているから、このシリーズは恐ろしい。
最後まで気が抜けないところも良い。 -
起業して成功した女社長の復讐の話。トリックと伏線の回収の仕方がうまく、なるほどー、という感じで読める。ただ、ちょっと心理描写がトリックのための要素になっているところが気になった。ミステリー好きの方はおすすめ!
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倒叙モノ3作目。帯裏のコメントが秀逸。「被害者と犯人の濃い関係は被害者の死後も生き続ける。」前作と同じく、犯人と被害者の戦いにもかかわらず、今回は死後の被害者と戦うことになる。死んだ被害者と生ける犯人、お互いがお互いにもう知りようのない二人の目論見を、完全なる他者である探偵が論理的思考で合理的に解釈する描写は今回も文句なし。その場だけで集めた情報から答えを導き出す様子は今回が一番綺麗だったかもしれない。どちらにも転びうる「ダイイングメッセージ」とはまたなんと斬新なネタを思いついたものだ。
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覚えていなかったけれど、どうらや再読のようだ。
最初から犯人が分かっている殺人事件の犯人探しを、犯人の視点で描くという珍しい趣向ながら、細かい事実から背景を考察する推理合戦は如何にも石持作品らしい。 -
碓氷優佳シリーズ第3作。”彼女”の残した物を巡り予想外の展開になることで、倒叙に別の愉しみ方を加えている。しかし、第1作と比べるとサプライズ感は少ない。犯人があまり頭が回る人に見えないのは構成上仕方ないが、元々逃げるつもりがあったのかよく分からない。