彼女が追ってくる (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
3.76
  • (22)
  • (71)
  • (37)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 439
感想 : 53
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396340391

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 碓氷優佳の倒叙ミステリー3作目。面白かった。
    証言、そして犯行現場でのちょっとした手がかりから犯人を瞬時に見抜くその洞察力が凄い。普通は気づかないと思う。さらにはそこから犯人と被害者との関係も推察できている。あっという間に読み終えた。殺害動機がちょっと弱いとか思ってたが解決編でひっくり返された。そして結末にも驚いた。

  • 碓氷優佳シリーズの第三弾。
    倒叙ミステリーは犯人が完璧(だと本人は思っている)な計画を何も知らない被害者がはまってしまうというのが定石だが、今回はそんな思い込みを利用したミステリー作品だと感じた。夏子が完璧な計画を立てたつもりが姫乃がそれを凌駕した計画を立て、自分が死のうが生きのころうが関係なく夏子が破滅するように仕組んでいたところに女の執念を感じた。そして最後のシーンはそんな彼女の執念が最大限に現れていて凄い後味を残したと感じた。

    今回の小説をアニメ化したときの声優陣を自分なりに考えたので読むときの参考にしてください。
    碓氷優佳:沢城みゆき
    堀江比呂美:雨宮天
    中条夏子:悠木碧
    黒羽姫乃:上坂すみれ
    山縣一二三:中田譲治
    山縣邦恵:井上喜久子
    花村哲子:くじら
    花村良太:斉藤壮馬
    寺田善行:安元洋貴

  • 受動的又はダイイングメッセージを辛うじて残す被害者は多いですが、攻撃的なメッセージを絡めていった被害者はそれ程多くないと思います。

    攻撃的被害者って造語を作りたいくらいです。

  • 2022年7月読了。

    横浜レアメタル・花村貿易・寺田商会の3社が集まり、例年行われる『箱根会』
    古い友だった3社の社長が、創業当時から定期的に箱根に集まり、互いの成果を報告し合う交流の場。

    元・横浜レアメタルの社員だった女性が2人。
    『中条夏子』と『黒羽姫乃』
    互いに独立し、別々の会社の代表となった2人も古巣の社長からの誘いで箱根会へと参加し、久々の再会を果たす事となった。
    同僚時代に切磋琢磨しあった仲であったが、1人の男性を巡る愛憎の末、夏子は姫乃の殺害を心に決めた。
    予定通り殺害を決行した夏子だが、またもその場に居合わせる『碓氷優佳』の推理により犯行が暴かれる…。


    碓氷優佳シリーズ3作目。
    今作も安定の倒叙ミステリだが、女性が女性を殺害する初の展開。
    またしても碓氷優佳の鋭過ぎる観察眼が事件をあっさりと解決してしまう。
    正直途中まで、3作目ともなると若干飽きてきたかと思ったが、ラストの締めくくり方が好みだったので高評価。

    シリーズはあと3作発表されているが、手元に無いため追うかは悩みどころ。
    巡り合うことがあれば、読みたいと思う。

  • 犯人も動機も方法も全て提示されている。
    だけど、たった1つのカフスボタンが物語を面白くする。
    少しの情報をもとに組み立てられた推理には、いつものことながら戦慄いてしまう。
    むしろ徹底的に追い詰められることに快感すら覚えてしまっているから、このシリーズは恐ろしい。
    最後まで気が抜けないところも良い。

  • 起業して成功した女社長の復讐の話。トリックと伏線の回収の仕方がうまく、なるほどー、という感じで読める。ただ、ちょっと心理描写がトリックのための要素になっているところが気になった。ミステリー好きの方はおすすめ!

  • 「…どちらかといえば、〇〇さんの計画が成功してほしかった気もします。その方が、美しいから」という言葉にゾッとした。

    犯人に感情移入こそしないけれど、「あなたの方が死ねば良かった」と言っているに等しい、碓氷優佳の冷たさに痺れた。早く他のシリーズも読みたい。

  • 倒叙モノ3作目。帯裏のコメントが秀逸。「被害者と犯人の濃い関係は被害者の死後も生き続ける。」前作と同じく、犯人と被害者の戦いにもかかわらず、今回は死後の被害者と戦うことになる。死んだ被害者と生ける犯人、お互いがお互いにもう知りようのない二人の目論見を、完全なる他者である探偵が論理的思考で合理的に解釈する描写は今回も文句なし。その場だけで集めた情報から答えを導き出す様子は今回が一番綺麗だったかもしれない。どちらにも転びうる「ダイイングメッセージ」とはまたなんと斬新なネタを思いついたものだ。

  • 覚えていなかったけれど、どうらや再読のようだ。
    最初から犯人が分かっている殺人事件の犯人探しを、犯人の視点で描くという珍しい趣向ながら、細かい事実から背景を考察する推理合戦は如何にも石持作品らしい。

  • 碓氷優佳シリーズ第3作。”彼女”の残した物を巡り予想外の展開になることで、倒叙に別の愉しみ方を加えている。しかし、第1作と比べるとサプライズ感は少ない。犯人があまり頭が回る人に見えないのは構成上仕方ないが、元々逃げるつもりがあったのかよく分からない。

著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石持浅海の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×