愚者の毒 (祥伝社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396342623

感想・レビュー・書評

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  • この世は良い行いが報われる因果応報であると信じたいです。

    「無償の愛とか、母性とか、曖昧でとらえどころのないものは恐怖でしかない」
    「他人の見解に便乗して賢者になるくらいなら、むしろ自力だけに頼る愚者であるほうがましだ」

  • 悪い女が出てくる話は好きなのだが
    宮部みゆきさんの火車や東野圭吾さんの白夜行に比べるとパンチが弱いですね。
    後半に向けて、悪さが加速するのが私好みなので。
    途中から渡部さんの登場が多いので、何となく達也なんだろうなとは想像できました。

  • 入れ代わりに気がつき、それが確信となってからが面白かった。

    竹丈や希美の父、加藤のおぞましさ、邪悪さが物語を加速させていた。


    品よく笑い返してあげた。
     この人は、本当の貧しさがどんなものか知らないだろう。(略)生き抜くために恐ろしい決断をすること、心の底から絶望することがどんなことか―。

    このくだりが、素晴らしいと思った。

  • 愚者の毒
    宇佐美まことさん。

    おもしろかった!

  • なかなか読み応え有って一晩で読み切ってしまいました。映像化してほしい。

  • 図書館で借りた本。過去と現在が交互に表現されてる構成なので、途中でネタバレのような核心は分かる。だが、そこに至るまでの過去が壮絶でやりきれない思いが募るばかり。筑豊炭鉱の末期の劣悪な環境で中学生時代を育った男女。当時の計画的な殺人隠匿は2人が生きていく為にどうしようもなかったと思えるが、それは因果応報に繋がる。悲しいミステリー。

  • 序盤で何となく話の筋は読めてしまったが、炭鉱部落の壮絶な人生などストーリーは面白かったです。

  • 現在の章、昔の章があって、誰がどれだー?と思いながら読んだ。
    昔の章は、難しくて途中あきてきてしまったけど、全部繋がった時はおもろしかった。

    表紙がなかなか難しそうな絵とタイトルで、実際に購入するまで何度も見送り。

    最後、もうこのまま何もなく終わるかなぁって思ってたら、そういえば達也がいたーってなった。

  • 宮部みゆきの火車の方が好きだな

  • 現在と回想を行き来する構成なので、もっと疾走感が欲しかった。中々難度の高い方言が使われるし、読み進めづらい作品。

  • 作品レビューに惹かれて読んだ。確かに、東野圭吾の『白夜行』『幻夜』を思わせる内容だが、全体にもっとコンパクトで、分かり易い、というか、葉子が武蔵野の家に移り、ユキオが出てきたあたりから、大体の筋や先が読めてしまう。
    しかし、豊かで時に容赦ない描写が、武蔵野の森の美しさや、筑豊の廃炭坑の貧窮を浮かび上がらせ、まるで手を引かれるように、読了まで持っていかれる。
    3部仕立てのなかで、65年、85年、2015年と時代を行き来する場面も、転換がうまく、読み易さを感じた。
    自罰的で幸せを拒む男女に、サイコパスが執拗に迫り、更に新たな獲物を手にしようとする……という設定は、あまり新しい感覚はないが、優れた筆致で、読み手の心を深く抉り、忘れ難い痛みを残した。
    汚いもの、おぞましいものを率直に描く姿勢は見事。
    他の作品も読んでみたい。

  • 先生以外すべての主要な登場人物が直接的間接的に殺人に関わっている。読者の予想をどんどん覆す後半は、面白かったが、重いイベントをこれでもかと盛り込みすぎの感想を持った。自分には合わないと思った。同じ泥臭さを出す場合にも、読後感がもう少し軽いのが自分には合うと思った。

  • 話に引き込まれるし、ミステリーとしても良かったです。良かったんですけど過去の話を読み進めるのが辛かった。辛すぎました。理不尽なことへのやりきれなさ、無力感を抱くのも偽善のように感じるし、彼等に比べて私が不満を持つなんて許されないとまで思いました。
    それだけ伝える力のある小説ということです。
    良い作品ですが私には辛すぎるので星ひとつ減らしました。
    ごめんなさい。

  • ミステリーの部分はまあ、割と早めにわかるんだけど、それでも読ませる。ここまでの偶然のめぐりあわせってのは無いとは思うけど。

  • 5歳の言葉を話さなくなってしまった子どもを抱えて
    葉子は職探しをする。ハローワークで知り合ったのは同じ誕生日の希美。
    希実が葉子に仕事を紹介したところから、
    2人の過去と今と未来が動く、と言うお話。

    1章で暗くて辛くて
    なんとか生きてほしいと思いながら読んだが、
    2章ではさらに辛くて
    沼にはまっていくようだった。

    全く別のものに着替えても
    自分は自分でしかない。
    それ以上でも以下でもなく
    自分のしたことが消えることもないのだ。

    終盤は伏線が綺麗に回収されて納まるが、
    難波先生の言葉がこんな形で発揮されるなんて。
    それは残念でならない。
    ノンとユウに終わらせてほしかった。

  • 暗い話で読んでて辛かった。設定はありがちかなー。
    ミステリー的には面白かったけど、だれにも共感できず、、、。って感じです。

  • 過去と現在を行き来しながら物語は進む。序盤は思わせぶりでまどろっこしい語り口に辟易したが、第一章の終幕から雲行きが一変し、三池炭鉱事故の史実に基づく第二章は非常に気が重くなった。最終章では全ての謎が綺麗に解けるが、この真相がまた重苦しく、折角見つけた光を己の手で葬ってしまった二人の罪悪感は筆舌に尽くしがたい。途中で筋書きは読めてしまうものの、最後の一行が終わると同時に流れるエンドロールが目に浮かぶ映画的な作品でもあった。哀しい物語だが、葉子と達也の紡がれなかった絆は何とも美しい。当然「白夜行」は連想した。

  • 4月-10。3.5点。
    暗い過去を持つ女性。しゃべれない甥っ子と金持ちの住み込み家政婦に。
    場面変わり、悲惨な炭鉱労働者一家。逃亡する男女。

    面白い。ラストもおー、そー来たかっと言う感じ。
    炭鉱労働者一家の悲惨さが、際立っていた。

  • 被害者である先生があまりにもいい人すぎる。ミステリでなく、達也との関わりで別ジャンルの話になっても十分読み応えがありそうな存在感だった。先生と達也と葉子の関係は、小川洋子の『博士の愛した数式』を思わせる静謐さがあってよかっただけに、ミステリになるとつらい。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。全ての始まりは一九六五年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは?衝撃の傑作!

  • 装丁イメージ通りの暗いサスペンス。
    過去と現在を行き来しながら、真実が明らかになっていくという構成。
    主人公は筑豊で生まれ育った、恵まれない人生を歩んで来た女性。実の父親を殺し、親友にも実父を殺させた過去を持ち、そのことで罪悪感に苛まれている。さらにそれを知る人物に脅され、故意ではないがたった一人の友人をも殺してしまうという、まーいい事なしの人生。
    そして夫は夫で共犯者として、罪の意識に苛まれて、ただ彼女のために生き、そして死を待つだけという…。
    どこもかしこも暗い!
    個人的にラストはこうなるであろう、こうあるべき、という終わり方だった。

  • 何というかすごく重たく、登場人物の暗い過去、というより、悲惨な人生を目の当たりに見せられた感に堪えない。本当にすごい人生だなあと思う。
    内容的には3部構成になっていて、第1章の陽、第2章の陰、そしてそれが繋がっていく第3章で前2章の伏線が解消されていくというミステリーなのだが、読んでいて凄く暗くなる。主人公二人。「葉子(ハコ)」と「希美(キミ)」のそれぞれの人生が酷似しており、二人の関わり合いが次第に悲惨な人生を生んでいく。それと、もう一人、ハコの義理の息子、「達也」の存在も絡み、より悲惨さを増幅させる。
    詳しく内容は書けないけど、これほどまで荒んだ人生を描き切った作者の感覚に驚かされた。
    ちょっと落ち込む話ではあるけど、是非、興味のある方は一読を。人間の「業」の深さをまざまざと思いおこさせる小説だと思う。

著者プロフィール

(うさみ・まこと)1957年、愛媛県生まれ。2007年、『るんびにの子供』でデビュー。2017年に『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。2020年、『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に、『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に選ばれる。2021年『黒鳥の湖』がWOWOWでテレビドラマ化。著書には他に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』『夢伝い』『ドラゴンズ・タン』などがある。

「2023年 『逆転のバラッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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