和僑 (祥伝社文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784396343422

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    いやー、本当に面白かった!!
    この本に出逢えて本当に良かった!!と思える1冊。
    前作の「プラチナタウン」を読んでおらず、というより途中でこの作品が続編ということに気がついたが、前作を読んでいなくても充分に楽しめた。
    小説というジャンルだけではなく、ビジネス書としても為になる1冊だった。

    「プラチナタウン」という組織を元に、現在の高齢化社会が抱える問題だけでなく、その数十年後に日本の迎えるであろう将来について書かれたテーマ。
    決してSFチックではなく、今からでも容易に想定されるレベルの問題の大きさに、読んでいて耳が痛くなるというか、絶望感に苛まれてしまう・・・
    日本にはこんな残酷な将来が待ち受けているのかと思うとぞっとする。

    ただ、この物語は悲観論を語るところで終わらない。
    「いま現在の自分たちの生活」を考えている人が多い中、還暦を越えて尚「将来の日本国民たちの生活」に目を向けて奉仕する山崎鉄郎という人物に物語のスポットは当てられている。
    既存のビジネスモデルや人間関係のしがらみが多い中、どうやって将来迎えるであろう難局を打破するのか。
    自分の損得以上に未来に目を向けて活動してくれるこのような人物が、果たしてこの世にはどれほどいるのだろうか・・・
    少なくとも、自分は山崎のような視点には到底なっていないなと赤面の至り・・・・

    バイタリティと正義感あふれる山崎が主人公のこの物語は、池井戸潤の作品のように読んでいて非常に爽快感ふれる良書だった。
    良いシーンが多かったが、個人的には壁にぶち当たった山崎を奮起させる父親とのやり取りが、一番読んでいてグっときた場面だった。
    当たり前だけど、父と子はいくつになっても親子なんだなぁ。

    自分の仕事柄、「華僑」をそっくりそのまま真似ることはできないが、これからの時代を生きていくにあたり、島国根性を捨てて海の向こうに目を向けなくてはいけない。
    そう思う今日この頃です。



    【あらすじ】
    地方だからこそ、できることがある――
    メイド・イン・ジャパン 「ローカル」を引っ提げて、
    出るぜ、世界へ! 示せ、ニッポンの底力!

    老人を集めて、豊かな老後と地方再生を――
    逆転の発想で大反響を呼んだ『プラチナタウン』刊行から7年。
    その構想は、現実に国が掲げる地方創生の切り札となった。
    そして今、この物語はネクストビジョンを示す!
    読めば元気になる、時代先取り小説!


    日本初の、豊かな老後がコンセプトの巨大定住型老人施設「プラチナタウン」を誘致、財政破綻寸前からV字回復した緑原町。
    Uターンする人々も増え、町は活気を取り戻していた。
    しかしその立役者で、元四井商事の町長・山崎鉄郎は、忍び寄る危機に気がついていた。
    ――高齢者人口も減少に転じる将来、この町はどうなる?
    もう一つの主要産業・農畜産業は、TPPや従事者の高齢化と後継者不足という難問を抱えたままなのだ。
    産業振興課課長の工藤登美子を相棒に、山崎の商社マンの血が騒ぎ出す!


    【内容まとめ】
    1.超高齢社会の展望
    「老人だらけの国になる」と騒いでいるが、それはあと30年の話。
    そこから先は、老人そのものの人口が減り始める。老人対象のビジネスが有効なのはそれまでの期間である。
    「介護は有望な産業だっていってんけどよ。そんな言葉に乗せられて、これから介護産業に乗り出して来る経営者は、学生なみの頭しかねえってことの証だぜ。今しか見てねえってことだ!」

    2.人が押し寄せるようになったらもう終わり。美味しいとこなんて残ってない。
    誰も手をつけてないビジネスを、リスクを冒して手がけて成功させた者が、美味しいところを全部かっさらう。

    3.総合商社の実態
    商社マンは、自ら飯の種を探し、自分の食い扶持はもちろん、仕事を支えるスタッフの分まで稼いで来ることを宿命づけられている。
    要は、大看板を借りた中小企業の寄り合い所帯。
    利に聡い連中が、鵜の目鷹の目で飯の種を探している。

    4.日本の農業における農協の役割は、かつて山崎が在籍した総合商社の機能と極めて似ていることに気がつく。
    かつて総合商社は輸出入、売り買い、そして物流で食ってきたが、情報網や流通網が進化するに従って、その役割は不要のものとなった。
    商社不要論がまことしやかに語られるようになって、危機感を覚えた商社マンは活路を投資に見出した。
    環境変化にいち早く対応したからこそ、いまを以てして尚、世界に類を見ない企業形態を維持しているのだ。

    5.ビジネスモデルは永遠不滅のものではない。
    時代の流れに対応できなければ淘汰されるのが世の宿命だ。
    そして、メリットが見出せなくなれば、人は離れていく。ましてよりよい環境を提示してくれる人間が現れれば尚更のことだ。

    6.世界に目を転ずれば、今後人口は爆発的に増えていく。
    つまり、否応無しに海外に目を向けざるを得なくなる。
    そうした時代がやって来るのは間違いないことなのだ。

    7.「華僑」と日本人の比較について
    世界中のどこの国にも中国人がいる。それも町を作るくらいの規模。
    「商売を追い求めて、華僑となって世界を彷徨い歩く。それが中国人。」という訳だけではない。
    そもそも、中国人が世界各地に行くのは、自分の国だけを信じていないという側面がある。
    歴史上、幾つもの王朝が現れでは消え、離合集散を繰り返してきた国。それも、その度に国が乱れ、大変な血が流れた。中国の赤は血なのである。

    そのため、資産どころか家族を各地に分散し、仮に移り住んだとしても、身内がいればゼロじゃないため、生活の目処も立てやすい。
    まして身内が世界中に散らばっているとなれば、各地の精度の高いフレッシュな情報が常に入ってくる。ビジネスやリスク管理の点からも理にかなっている。

    ところが、日本人は滅多なことでは国を捨てようとしない。
    土地を離れると言っても、都市部に出るのが精々。国が沈没すれば、一族郎党運命を共にする。
    「本人はもづろん、その子供の代になっても、この国が今まで通り、何の不足もなぐやっていげる保証なんがどごさある?」

    8.「プラチナタウン」創設時のプロセス
    いきなり問題点を論っては前に進まない。
    大きな仕事を手がける時には、まず夢を共有する。
    それができれば、後はいかにしてそれを実現するかに知恵を絞るだけ。
    そうすれば、乗り越えなければならないハードルが自然と見えてくるものだ。
    策を考えるのは、それからでいい。


    【引用】
    p21
    「施設を拡張するのは簡単だ。新たに入居者を募集すれば、これだけ注目を浴びてんだ。人を集めるのもそう難しい話じゃないだろう。」
    「団塊の世代がこれからどんどん引退するんだ。プラチナタウンのような定住型老人介護施設の需要は高まる一方だろう。」
    「問題は、その需要がいつまで続くのか。肝心の入居者がいなくなっちまったらどうすんのかってことだ。」
    「世間じゃ超高齢社会がやって来る、老人だらけの国になるって騒いじゃいるが、そんなもんあと30年かそこらの話だ。そっから先は、肝心の老人そのものの人口が減り始める。ピークに合わせてばんばん施設を造りゃ、日本中の老人介護施設は空きだらけになっちまうじゃねえか」
    「それより深刻なのは介護士だ。これから現場に入って来る若い世代は、それこそ40年以上も働くことになるんだぞ。40代、50代を迎えたその時に、『入居者がいません、よって施設は閉鎖します』なんてことになってみろ。人生で一番金が必要な時に、職を失ってしまうことになるじゃねえか!」
    「介護は有望な産業だっていってんけどよ。そんな言葉に乗せられて、これから介護産業に乗り出して来る経営者は、学生なみの頭しかねえってことの証だぜ。今しか見てねえってことだ。」


    p23
    「人が押し寄せるようになったらもう終わり。美味しいとこなんて、残ってねえんだよ。誰も手をつけてねえビジネスを、リスクを冒して手がけて成功させたやつが、美味しいのころを全部かっさらうんだ。」


    p40
    「町長はTPPが始まれば、日本の畜産業が大きなダメージを被ることになると懸念していらっしゃるんでしょうが、もしそうなれば、特に加工食品向けの比率が圧倒的に高い豚や鶏が、壊滅的打撃を受けると見ておくべきです。牛にしたって、これからの日本は高齢者が激増するんです。価格もさることながら、サシの多い和牛の消費は格段に落ちることは間違いありません。」
    「ブランド肉の競争は、ますます激化する。その中で、どうやって生き残っていくか?左助のように、緑原産の農畜産物を専門に扱う店をいかにして多く確保するか。その一点にしかないと思うんです。」


    p51
    「契約農家は販売先が確保できる上に実入りは増える。仕入れる方は、市場よりも安い価格で良質な原材料が手に入る。既存流通をスキップすることで、両者ウィンウィンの関係を構築したってわけか。」
    いや、西山はしかるべき利鞘を抜くのだ。それを考えれば両者じゃない、三者だ。
    生産農家は一旦流通ができさえすれば、オーダーを右から左に流すだけ。そこから先は労せずして日々金が入って来る。
    これぞ、まさにネットビジネスの醍醐味だ。


    p65
    大組織は官僚化し、動きが鈍い。
    おそらく金井は、四井もまたその例に漏れないという、大企業に対するステレオタイプのイメージを抱いているに違いない。

    しかし、総合商社の実態はそのイメージとは程遠い。
    なぜなら商社マンは、自ら飯の種を探し、自分の食い扶持はもちろん、仕事を支えるスタッフの分まで稼いで来ることを宿命づけられているからだ。
    要は、大看板を借りた中小企業の寄り合い所帯。利に聡い連中が、鵜の目鷹の目で飯の種を探している。
    それが総合商社の実態なのだ。


    p107
    「確かに、日頃赤身ばかりを食べている人たちには、霜降りのお肉なんてたくさんは食べられないでしょうね。まして、健康志向の高いアメリカ人ともなると・・・」
    「もちろん、国が違えば嗜好も違う。実際、中国人には和牛は大人気だからね。だから、どの国のどんな層をターゲットにするのか、もう一度市場ってものをよく分析する必要があると思うんだよ。日頃慣れ親しんだ味ってもんは、そう変わるわけじゃない。」
    「でも、勘違いしないでくれよ。君の発想は正しいし、ゴールもはっきりしている。だから、どうしたら失敗しないかを考えるべきだと思うんだ。そのためには、考え得る問題点を洗い出して、ひとつひとつ潰していくしかないんじゃないかな。」
    工藤の顔に笑みが浮かんだ。
    この切り替えの早さと、あくまでも前向きな姿勢が彼女のいいところだ。


    p130
    日本の農業における農協の役割は、かつて山崎が在籍した総合商社の機能と極めて似ていることに気がつく。
    かつて総合商社は輸出入、売り買い、そして物流で食ってきたが、情報網や流通網が進化するに従って、その役割は不要のものとなった。
    商社不要論がまことしやかに語られるようになって、危機感を覚えた商社マンは活路を投資に見出した。
    環境変化にいち早く対応したからこそ、いまを以てして尚、世界に類を見ない企業形態を維持しているのだ。

    ビジネスモデルは永遠不滅のものではない。
    時代の流れに対応できなければ淘汰されるのが世の宿命だ。
    そして、メリットが見出せなくなれば、人は離れていく。ましてよりよい環境を提示してくれる人間が現れれば尚更のことだ。


    p159
    「世界中のどごの国さ行っても中国人がいんべ?それも町を作るくれえの勢いで、外さ出て行ぐ。あれはなすてだが分がっか?」

    「商売を追い求めて、華僑となって世界を彷徨い歩く。それが中国人ですからね。」

    「そいづあ少す違うな。」
    「あの人だづが外さ出て行ぐのは、国なんか信ずでねえがらだ。」
    「幾つもの王朝が現れでは消え、離合集散を繰り返してきた国だもの。それも、その度に国が乱れ、大変な血が流れた。中国の赤は血の赤だど、中国人自身が語っからね。」

    「資産も分散しれているわけだす、移り住んだどすても、身内がいればゼロがらやるわけでねえがらね。生活の目処も立てやすがすべ。」

    「まして身内が世界中に散らばっているとなれば、精度の高いフレッシュな情報が常に入ってくるでしょうからね。ビジネス、リスク管理の点からも理にかなってますね。」

    「身内ばりでねえ。中国人は必ずコミュニティを作る。そこで集めた情報をやり取りすぎら、次はどこの国さビジネスチャンスが生まれっか、あの人だゔは鵜の目鷹の目で探してんだな。要は、国さば執着しねえ。生きるためにはどごの国が一番いいが、常に考えてんだよ。」

    「ところが、日本人は滅多なことでは国を捨てようとしない。土地を離れると言っても、都市部に出るのが精々。国が沈没すれば、一族郎党運命を共にする…」

    「本人はもづろん、その子供の代になっても、この国が今まで通り、何の不足もなぐやっていげる保証なんがどごさある?」


    p169
    「日本人は、サービスはタダだど思ってると語られっけんども、それは素晴らしいごどだど思うんだよね。アメリカだば、人さものを頼めば大抵対価が発生すっからね。無償の奉仕が当たり前、お客様は神様だどいう考えが染み付いている日本人と、そうでねえアメリカ人との差を、客は敏感に感ずんだよな。」

    世界に目を転ずれば、今後人口は爆発的に増えていく。
    つまり、否応無しに海外に目を向けざるを得なくなる。
    そうした時代がやって来るのは間違いないことなのだ。


    p171
    「肝心な部分だけど、いきなり具体論に入るのも何だかなって思ってさ」
    その時、山崎の脳裏に浮かんだのは、プラチナタウンを立ち上げた際のプロセスだ。
    いきなり問題点を論っては前に進まない。
    大きな仕事を手がける時には、まず夢を共有する。
    それができれば、後はいかにしてそれを実現するかに知恵を絞るだけ。
    そうすれば、乗り越えなければならないハードルが自然と見えてくるものだ。
    策を考えるのは、それからでいい。

  • プラチナタウンの後の話なのですが、プラチナタウン読んでません。(またやってしまった)

    でも、話はわかりました。

    プラチナタウンができた後、町は軌道に乗って良くなるかと思いきや、新たな問題が出てきます。

    多分、これはこの先の日本でも起こりうる問題だと思います。

  • ここ最近、自分の仕事系の本ばっかり読んでいたので、
    ちょっと一息ついて楡さんの小説を読んでみました。

    かなり昔に読んだ「プラチナタウン」の続編にあたる本ですね。
    もう昔の話過ぎて、すっかり内容を忘れていました。
    まぁ、忘れていても安定的に楽しめるような作りにはなっていますが、
    それでも連続で読んだ方がより楽しめるかもしれないですね。

    プラチナタウン
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4396336896#comment

    今回は、町長としてプラチナタウン誘致を成功に導いた主人公が
    今後の人口減少に伴う町の衰退に抗うべく次の手(海外マーケットの開拓)を打っていくというストーリー。
    アメリカでのソース販売で大成功した日本人をモデルにした人などが小説内に出てきたりして、
    思わずニタニタしながら、物語を楽しむことができます。

    地方創成の疑似ケーススタディーとしても、優れており、
    プラチナタウンと共に読むとアイデアが広がると思います。

    ストーリーに劇的な展開が訪れる訳ではありませんが、
    それでも楽しく経済社会小説が読める一冊だと思います。

  • プラチナタウンは成功を収めることになったが、やがて老人の人口も減少に転じることが確実な中、主人公は町長を辞めて地元産の畜産・農産物を海外向けに販売する事業を始める。⇒地方再生のモデルケースとなるのか?という話
    本作のように事業を展開するには力強い特産品と販路が必要であり、簡単なことではないが、一つの地方創生ストーリーとして筆者は投げかける。老人の人口減少は老人ホーム事業の停滞と農業の担い手不足という2つの大きな問題を生み出すこととなる。一次産業を建て直して若者を地方に戻し、地方再生を!

  • プラチナタウンの続編。
    大手商社の部長だった主人公が故郷の町長になり、財政破綻と過疎化対策として介護付き高齢者住宅を誘致して起死回生をはかったのが前作。
    今回はすでに町長も2期目、プラチナタウン頼りの町の現状や農業の担い手不足がテーマ。高齢者は増えたが若者がやってこないと町の存続が危ない。それの解決策として農家が安定収入を得られる仕組みを作る。しかも販路は海外へ。アメリカで飲食業で成功を収めている町出身者と組んでB級グルメをアメリカで販売、テストマーケティング後、本格的に冷凍食品として輸出する。それらの材料は全て地元のもの。
    農業と食、今後の世代への新しい選択肢、これらが相互に作用して物語が構成されている。

    町が生き残るにはどうしたら良いか、根本のテーマはここ。創業者というのはこういう疑問を常に持っていてそれを解決したいと思っている人たちなんだろうなと思う。
    話全体はおもしろかったのだが、残念なのは和僑という考え方がそこまで深く語られていないこと。個人的には非常に共感する考え方なので、華僑というものに良い印象を持っていない人たちの考え方を変えるぐらいインパクトのある取り上げ方をして欲しかったので、タイトルが和僑なのがちょっと違和感ある。

  • かつて人口減に悩んでいた地方自治体の緑原町は、元商社マンの山崎町長がリーダーシップを取り、巨大老人定住施設「プラチナタウン」を開設。老人とその家族を定住させることで、町は人口増、雇用回復、活気を取り戻す。これで、緑原町は大丈夫、町長も一安心・・・、は束の間だった。

    今は元気な老人たちだが、やがては介護が必要となり、それを子が担うようになる。働き手が少なくなる緑原町は再び、活気を失うだろう。そして、プラチナタウンは町の不良債権となる。

    そんな未来を心配する山崎町長が選んだ次なる政策は、プラチナタウンの拡大ではなく、緑原町特産物の海外販売だ。

    新ビジネスや次なる町長選挙の展開があまりに都合良すぎるストーリーだが、成功に安堵せず、自分の次の時代にツケを残さないよう、行動を起こす山崎町長は、現代に求められるリーダー像だ。

    世の中に永遠不滅のビジネスモデルなどは存在しない。変わり続ける世の中に対して、常に対応し続けなければならない。

  • とてつもなく面白くて、夢のある話。

    和僑ってタイトルが妙に生々しく、胡散臭い感じですが、
    中身はプラチナタウン2です。
    (素直にこのタイトルのほうが売れたのでは?)

    著者のビジネス小説は、再生巨流から大ファンで、
    勿論前作のプラチナタウンも大好きです。

    ただ、現代の金持ち相手の姥捨て山だったので、
    スカッと感は程々でしたが、
    本作は未来に向けた世界進出の話なので夢がある!

    もう一気読みでした。

    池井戸潤や真山仁に匹敵するビジネス小説家だと思います。

    ビジネス小説が好きな人は是非!

    メチャおすすめします。
    (プラチナタウンは必ず先に読んでね)

  • とっても面白かった‼︎
    すごい人生だなって思った!
    こんなに色んなこと出来るの羨ましい!

  • プラチナタウンシリーズ。地方の生き残りを賭けた未来経済小説。

  • プラチナタウンの続編。前作より面白かった。
    恩田が山崎町長へかけた言葉「いまだ商社マンの血が体にたぎっている。人間、歳と共に情熱は失せ、理想よりも現実を見据える。どこか達観した気持ちになるものだが、そんな気配を微塵も感じない。」また父親の「商売は海のものとも山のものとも見えねえうちは誰も見向きもせんもんだ。ところがうまくいったとなれば、黙っていても人は集まってくる。」
    社会人経験を積み、役職について少し先が見えなくなっている自身に、いずれも心に刺さった言葉でした。そして、山崎町長の「夢は叶えるためにある」
    どのような環境下で働いても大切なマインドと思いました。最近、目先の事ばかり考えていた自分に気付かされました。

    今回は地方創生の産業振興、農業の輸出がテーマで知らないからこその学びとなり、楽しめました。農業に限らず、日本製品を海外に輸出するとなると、いいものは受け入れられるの発想では、絶対的に難しい。日本のあらゆるものの品質、安全性は世界でも群を抜いていると思うが、グローバルで戦えるかとうと話は別である。
    人口減少社会、少子高齢化はコロナの影響でこれまでの日本の推測値より加速度的に速まるのではないかと言われている。
    既に地方の人口が少ない町村では待ったなしとなっており、小説の世界ではなく既に私達はこの課題に直面している世代と認識すべきだと思った。

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著者プロフィール

1957年生まれ。米国系企業に勤務中の96年、30万部を超えるベストセラーになった『Cの福音』で衝撃のデビューを飾る。翌年から作家業に専念、日本の地方創生の在り方を描き、政財界に多大な影響を及ぼした『プラチナタウン』をはじめ、経済小説、法廷ミステリーなど、綿密な取材に基づく作品で読者を魅了し続ける。著書に『介護退職』『国士』『和僑』『食王』(以上、祥伝社刊)他多数。

「2023年 『日本ゲートウェイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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