ビジョンとともに働くということ 「こうありたい」が人と自分を動かす (単行本)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396617837

作品紹介・あらすじ

「問題がわからない時代」のビジネス戦略

ビジョンを掲げ、創業300年の奈良の小さな老舗を
全国規模に成長させた中川政七商店。
いかに「取り組むべき問題」を明確にし、浸透させ 、
実践すればいいのか?
「意味がある」をどうつくるか?

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◎なぜ、ビジョンが大切なのか?

ビジョンは経営資源であり、
自分を守る武器にもなる

●社員にビジョンを理解してもらうために何が必要か
●マーケット・インからビジョン・アウトの時代へ
●ビジョンは時代や社会への違和感から生まれる
●長い時間軸のなかでブレないビジョンをつくるには
●なぜビジョンが建前になってしまうのか
●「ビジョン型」リーダーが少ない日本企業
●ビジョンを定める、ビジョンを磨く その方法
●一人ひとりがビジョンとともに働くということ
(本書より)

感想・レビュー・書評

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  • ビジョンの作り方について学んでいる中の集大成に読んだ一冊。

    これまで読んだ下記3冊と比べると、
    著者二人の対談として話が進んでいくのですが、
    とても読みやすい上に、著者の一人の中川さんの実例と
    山口さんの抽象的な総論が上手い具合にミックスされていて、
    個人的には一番しっくりきました。

    ※2030 経営ビジョンのつくりかた
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4532322898#comment

    ※THE VISION
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4023317519#comment

    ※ザ・ビジョン[新版]
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4478109834#comment

    (中川さんの経営していた)中川政七商店がB2Cなので、
    B2C寄りの話ではあるんですが、B2Bにも十分役立つ話が満載です。

    会社のビジョンを作る経験なんて、
    そうそう経験できないことではありますが、
    自分の人生のビジョンを見つけるという意味では、
    誰もが必要なことなので、
    そういう視点でこの本を読んでみても、
    面白いと思います。

    また、冒頭、山口さんのいつもの理論がコンパクトにまとまっていて、
    山口さんの本をあまり読んだことのない人も
    この前書きを読むだけで、
    山口理論を知れるお得な一冊だと思います。

    あと、中川さんの本は前々から読んでみたかったので、
    他の本も読んでみたいです。

    ※経営とデザインの幸せな関係
    https://booklog.jp/item/1/4822235807

    ※日本の工芸を元気にする!
    https://booklog.jp/item/1/4492502874

  • ◯なぜビジョンが必要なのか
    ・これまで評価されていたのは「与えられた問題に対して、早く正確な答えを出せる」こと。しかし、今は早く正解な答えがそこら中に転がっている。正解が過剰になり、問題が希少になっているので、問題を提示できるほうが優位になっている。
    ┗ 世界はこうあるべきではないか?という問いが重要
    ・豊かな世界になった。豊かになったということは足りているということであり、飢えていない。飢えてないのであれば、答えを出すことが難しいビジョンで飢えさせないといけない。
    ・VUCAな時代になり、スピードが早い世界になった。経済予測や3年計画が一瞬で崩れる。ビジョンのために仕事をすることで折れない指針ができる。
    過去から変わらず必要と言われているが、昨今は「パーパス」という言葉が登場したことに注目したい。さらにSDGSなど周辺分野の言葉も増えていて、ますます「意味」が求められる場面は増えた。
    時代的に必要性は増した証拠である。

    ◯ビジョンづくりで意識すること
    ・事業との繋がりが見える
    ・社会との繋がりが見える、共感される
    ・会社が目指す最上位の概念
    ・建前にしない
    ・問いでもあり、答えでもあるようなものにできればベスト
    ┗ 経典のテキストはそうなっている。答えを求めて読む人もいれば、そこから何かの問を投げかけられている感覚になる人もいる
    ・WILL、CAN、MUSTが重なり合うところを探す
     WILL(合議ではなく一人の熱い想い):一番重要。経営者の覚悟であり、経営者のすきなことから根掘り葉掘りすると良い。これまでの文脈・歴史を汲み取り、お客様に媚びないことも重要。そして何よりテンションが上がること
     CAN(背負い切れるギリギリの範囲にする):無理ではあるけど、無理じゃない、できる範囲ぎりぎりを攻める。動詞にすることも重要。そこに向かって前進していくというイメージになる
     MUST(社会課題と連結する):社会との繋がりが見えないと共感されづらい。これが意識されていると、メディアインタビューなどで話が広がりやすかったり、採用力に繋がる
    ・理知に訴えるのではなく情に訴えかける

    ◯ビジョンのリスク
    ・やれないことがでてくる
    ・会社がデカくなり事業が増えれば増えるほど、整合性がとれなくなってきたり、抽象化してわからなくなってくる
    ・くそビジョンマンがでてくる。ビジョンだビジョンだと盛り上がっていると、ビジョンの下部構造=事業や組織がうまくまわせないリーダーがでてくる。物事には順序があり、まずは率先垂範できる能力と部下との関係構築ができてからのビジョンである。
    →いきなりビジョン型で成功したリーダーはいない。みんな能力→ビジョンと発達している。ビジョンは万能ではなく、正しい体系の上で効果を発揮する。言葉の上っ面だけに反応してはいけない

    ◯ビジョンの流行らせ方
    ・何度も何度も話をする
    ・パーパスなし→パーパスあり・共鳴なし→パーパスあり・社員共鳴→パーパスあり・ステークホルダー共鳴。要は、最初は共感なくて当たり前ということ
    ・社外経由で社内に伝える。そもそも社長を含む偉い人の話なんて聞かれていない。インタビュー記事などの社外の語り部から通すと伝わりやすい。こういうときにも「社会課題との連結」が重要になる
    ・逃げてもいいというオプションを持つこと。何が何でもビジョンを達成させるんだという強迫観念をもつ必要はない。ビジョンはゴールを決めているだけなので、そこにいたるプロセスは大切ではない。一瞬逃げるのはあり
    ・組織のビジョンから個人のビジョンを派生させられれば最高
    ・階層性を意識して語る。ビジョンにしてもパーパスにしても、組織全体のこととして語られている。個人のビジョンも、部署単位のビジョンを考えることにも意味がある。そういう積み重ねがあってビジョンは機能する

    ◯ビジョンの効能
    ・ビジョンはコンパス。地図がなくてもコンパスがあれば前進できる。ビジョンがなければ、地図を見ながら目的地を探すことを毎回行わなくてはいけない

    ◯事業づくりの考え方の変遷
    プロダクト・アウト:買い手のニーズよりも企業側の理論を優先させること。 「作り手がいいと思うものを作る」「得意とする技術を活かした製品を作る」「作ったものを売る」。製品やサービスが良いものであれば売れるという考え方がベース。

    マーケット・イン:顧客が求めているものを調査し、それに基づいた製品を企業が開発・提供していくこと。いいものを作れば何でも売れるわけではなく、売れたものが良いものという認識に変わった。

    プロダクト・アウト:マーケットインは当たり前で、その上でプロダクトアウトだよね、という考え方。

    ビジョン・アウト(になるかも):市場起点ではなく、自分たち起点。

    ◯ビジョンとかパーパスとかミッションとか
    ・どう呼ぶか、どれを上位とするかの議論は頭悪い
    ・ミッションを一番上にしたり、ビジョンを一番上にしたりするけど、どれでもいい。定義がないってことだから、自社で決めるしかない
    ・「ビジョンやミッションは古い、これからはパーパスだ」と主張する人もいるが、これまた不明
    ・定義が曖昧なバズワードは経営判断の罠になる。楠先生曰く「飛び道具トラップ」。ビジョンは実現したい状況や姿のことなので古いとか言われても意味わからん。ミッションもやらなければいけない使命の概念を指すので、新しい古いと論じる人は飛び道具トラップにはまっている
    ・いろんなビジネス書を読んで、ビジョンミッションパーパスの違いを一生懸命に理解しようとしても無駄
    ・ビジョンパーパス議論の背景にあるのは「お金を儲ける以外にも、人々の共感を引き出せるような崇高な目的や理念が必要だ」なので、そこさえ踏まえれば何でもいい

  • これからの時代のビジネスは、「目標」を定めることが大事であることがわかる本です。
    ビジネスは本来、誰かの「困りごと(問題)」を解決することで、その対価として売上が立つシステムです。
    価値観の多様化が進む中で、これまである程度普遍的だった「問題」も多様化し、その解決方法も多様化しています。
    問題とは、あるべき姿(目標)があって、そこと現状の差になりますので、目標がわからないと、問題が何かがわかりません。
    そんな時代の中で、「ビジョン」を持つことの重要性が高まっていること、ビジョンを考える上での注意点などを教えてくれます。
    これまでのビジネスモデルがうまくいかなくなって悩んでいる方や、新たにビジネスを立ち上げたいがその方向性などで悩んでいる方などが読むと、その解決のヒントが見える1冊ではないでしょうか。

    【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】

    「『問題』とは『望ましい状態』と『現在』に『差分』があることだが、『望ましい状態』が定義できないと、問題を定義できない。そもそも、私たち自身が『世界はこうあるべきでは』『人間の暮らしはこうあるべきでは』ということをイメージする構想力の衰えが、『問題の不足』という問題を招いている。」
    「詳細で正確な地図があっても、どこに向かって歩くべきかは書いていない。そこは自分で決めないといけない。探検家は、方角を示すコンパスがあれば進んでいける。自分のビジョンを持つのは、進んでいく方向を示すコンパスを持つのと同じ。ビジョンがなければ、地図を眺めて行き先を探すしかない。」
    「大きなビジョンがあるからこそ、引けるときもある。ビジョンはゴールを決めるものなので、そこにいたるプロセスは重要ではない。ビジョンそのものを見失いさえしなければ、いったん退却してもかまわない。ビジョンを持たないと、プロセスに囚われてしまう。」
    →目標がないと、それに対して何が問題なのかがわからないので、解決しようがありません。これまでは、目標がある程度普遍的なものが多かったのかもしれませんが、多様性が広がる中で、それぞれの目標とそれに対する問題も多様になっています。まず、目標を定めてみないと、進むべき方向、やるべきことが見えない時代です。ビジョン、ミッション、パーパスと、言葉は多様ですが、まずはどの形でも、目標を決めることを大事にしていきたいです。

    【もう少し詳しい内容の覚え書き】

    ・これまで「与えられた問題に対して、早く正解を出せる」だけの人材が高く評価されてきたが、生活が豊かになる中で、誰も問題を与えてくれない中、正解が過剰になり、急速にその価値を失いつつある。
    ・「問題」とは「望ましい状態」と「現在」に「差分」があることだが、「望ましい状態」が定義できないと、問題を定義できない。そもそも、私たち自身が「世界はこうあるべきでは」「人間の暮らしはこうあるべきでは」ということをイメージする構想力の衰えが、「問題の不足」という問題を招いている。
    ・価値の源泉が「正解を出す力」から「困る力」にシフトする。問題を持っていないということは、「社会(会社)をこうしたい」というビジョンがない、ということ。ビジョンを持たない人は困っていない、困ってない人は周囲にどれだけ資源があっても活用できない。
    ・人の生み出す成果の大きさは「モチベーションの量=意味合い」によって大きく変わる。経営資源とされるヒト・モノ・カネのうち、ヒトだけには導くリーダーの意味の与え方により、「可変性」を持つという特徴がある。リーダーがビジョンを示すことで仕事に意味が生まれ、その意味がヒトという資源から大きな価値を引き出す。重要なのは、経営資源としての人の能力を動的にとらえるセンス。
    ・資本主義の「次」のあり方はわからなくても、一経営者として今の時代のあるべき会社について考え、実践することはできる。その一歩がビジョンを定める。良いビジョンは会社の向かうべき未来を示し、そこに至る道のりがどうあるべきかまで規定してくれる。ビジョンを定め、信じ、歩んでいけば、必ず道は開ける。

    ○ビジョンは経営資源
    ・いまの世の中でいちばん希少なのは、衣食住ではなく「生きがい」。生きがいを与えてくれるところに人が集まる。都市部からも企業からも遠心力が働いて人が離れていく中、「こうすれば世の中はもっと良くなる」という本質的な豊かさを提案するクリティカル・ビジネスに人が集まる時代ではないか。
    ・共感できるビジョンには求心力が働いてしまうので、経営資源が集まる。言葉を掲げるだけでゼロから経営資源を集めてしまうだけの力を持っているのが、ビジョンのすごいところ。いま一番希少な経営資源は働くためのモチベーションなので、企業が競争力を高める上で、これからはビジョンがもっと重要になる。

    ○「意味がある」をどうつくるか
    ・ものづくりの価値観はこれから、「役に立つ」より「意味がある」のほうへ大きく変わる。本来社会全体で負担すべき責任である、地域社会や伝統文化を守ることなどに貢献すること自体である「CSV(Creating Shared Value 共通価値の創造)」が、会社の競争力になる。
    ・「役に立つ」より「意味がある」に転換するためには、日本全体も、それぞれの地方も、自分自身に対してどんな眼差しを向けるかが大事。自分たちの良さを見極めるのは簡単ではないが、何に対してブランドを感じるかという点で「安心」「憧れ」は前近代的で、今は当然のこととなった。
    ・商品やサービスが「役に立つ」かどうかは客観的に判断されるが、そこに「意味がある」かどうかは関係性の中で立ち上がるので、受け取る側が与える側と同じ意味を感じてくれないと、ブランドにはなり得ない。最初から他者にどう見られるかを意識しすぎても独自性は生まれにくいが、自己への眼差しと他者への眼差しのキャッチボールの連続でブランドができあがっていく。
    ・社会というのは、鉄道や街などのインフラという大きな枠組みのなかに人々の社会生活があり、その生活の中にいろいろなモノやコトがある。「社会インフラ」「生活社会」「モノ・コト」の3層でレイヤーができている。新しいものづくりやイノベーションを考える時、多くは一番下の「モノ・コト」をよくすることだけを見がちだが、本当はその上までの全体を、ひとつの整合的な世界として把握しないといけない。
    ・いま存在感を持っているビジネスの多くがクリティカルなものになっているのは、時代や社会に対する違和感を共有できるブランドにお金を払いたいと思う消費者が増えているからではないか。なので、時代や社会に違和感を持てないと、ブランドとして成功するのは難しい。ビジョンをつくるのは、広く共有されるであろう自分たちの違和感を言葉に落とし込んでいく作業かもしれない。

    ○ビジョンとは何か(すべてはここから始まる)
    ・ビジョンは最上位の概念だからこそ、そこを常に見定めることで目線が上がる。日々の数字は足元の話なので、狭い視野、低い視座、近い視点となってしまう。ビジョンやミッションを考えると地平線に目が向き、広い視野、高い視座、遠い視点になる。事あるごとに会社全体がそこに立ち返るのは重要。
    ・ビジョンは上から下までつながっているはずなので、それが不明確だと何もできないのでは。掲げたビジョンを分解すると、個々の事業が生まれる。ビジョンがなければ、ブランドのコンセプトも生まれない。
    ・ビジョンで答えを与えると、そこで終わってしまう。従業員たちにインスピレーションを与える「問い」になるようなビジョンにしたい。
    ・ビジョンは必ず特定の人物から出てくるが、それをつくった人に依存せず、ビジョンそのものにみんなが依存するようになれば、継続性が生まれる。
    ・ビジョンをしょっちゅう変えるのは、本来の意味から考えるとおかしいし、どんなビジョンでも組織に浸透するのに2〜3年はかかるので、ようやく浸透して現場が動き始めたところで振り出しに戻る感じになるので、ある意味で戦力の逐次分散投入と同じ。大きいほど、実現に時間もかかる。「背負えるギリギリの大きさ」で考えてみるとよい。
    ・本音と建前が一致していて、ビジョンがあけっぴろげになっている会社じゃないと、完全な情報のオープン化はできない。SNSが発達した現在は特に、使い分けてコントロールするのは困難。

    ○ビジョンを定め、磨く(「WILL」「CAN」「MUST」の重なるところにビジョンがある)
    ・ビジョンは、第一に「会社の存在意義」そのもの。そして、競争力など「会社の力」に関わってくる。「ブランド価値の時代変遷」という状況の中で、お客様も会社のビジョンに注目し始めていると考えないといけない。最後に、ビジョンがしっかりしていると、「経営が楽になる」。「求心力をつくる」上でも大事。
    ・「WILL」「CAN」「MUST」という3つの概念の重なり合うところにビジョンがあるが、一番大切なのは「WILL」。考える上で、「合議ではなくひとりの熱い思い」「これまでの文脈を読み取る」「お客さんに媚びない」「テンションが上がる」の4つが考えるポイント。「CAN」は「動詞にする」「背負いきれるギリギリの範囲にする」、「MUST」は「社会課題と連結」することが大事。

    ○ビジョンを実現するためにどう行動するか
    ・ビジョンに沿った行動を取らないと意味がない。ビジョンを掲げた以上は、有限実行で本気でやるべき。抽象と具体を紐付けることができていないことは多い。自分で選ぶことの重要性はわかっても、選択肢を知らないと納得できないことになかなか気づかない。納得できれば、それが本音になる。

    ○ビジョンとともに働く(ビジョンはコンパスでもあり、自分を守る武器になる)
    ・詳細で正確な地図があっても、どこに向かって歩くべきかは書いていない。そこは自分で決めないといけない。探検家は、方角を示すコンパスがあれば進んでいける。自分のビジョンを持つのは、進んでいく方向を示すコンパスを持つのと同じ。ビジョンがなければ、地図を眺めて行き先を探すしかない。
    ・大きなビジョンがあるからこそ、引けるときもある。ビジョンはゴールを決めるものなので、そこにいたるプロセスは重要ではない。ビジョンそのものを見失いさえしなければ、いったん退却してもかまわない。ビジョンを持たないと、プロセスに囚われてしまう。

  • 全ての出発点、全ての拠り所、ビジョン。
    これが不明瞭、もしくは無いのは辛い。
    必要に迫られたり、どこかから指示を受けたりしてどうにかこうにか仕事を繋いで来てしまった会社。
    進むべき道、向かう先を自ら考える機能が欠損している今、余計に強く響く。

  • 足元ばかり見てないでビジョンを描くことが大事だよと言う対話。「まずは、『どんなものが好きですか』と聞くことが多いですね。漫画でも小説でも映画でも何でもいいから、好きなものを、たくさん挙げてもらう。そこから『なぜ好きですか』『どの登場人物に自分を投影していますか』『どんなシーンでテンションが上がりますか」「問いでもあり答えでもあるようなビジョンがいちばんいい」「中間管理職になったときには、そのチームが何を成し遂げようとしているのかを自分の言葉で語ることが大切(中略)せいぜい10文字前後で端的に語る」

  • ビジョンとは?
    ビジョンは会社が目指す最上位の概念。
    登山の山頂のイメージ

    ビジョンは背負えるギリギリの大きさにすること。
    あまりに大きすぎると、ボヤけてしまうため。
    例えば『日本のみんなを元気にする!』ではなく、『東京都のこの地域を元気にする』みたいな感じ

    ビジョンは
    会社の存在意義
    会社の力
    ブランド価値の時代変遷
    経営が楽になる

    WILL CAN MUSTが重なるところにビジョンがある。

    WILL
    熱い思い
    これまでの文脈を、汲み取る→過去を省みる
    お客様に媚びない
    テンションが上がる

    CAN
    動詞にする
    背負い切れるギリギリの範囲

    MUST
    社会課題と連結する



  • 中川政七商店の中川さんとの対談。ビジョンについての考え方、制定するためのステップなどを実践経験を交えての対話。実際にビジョンを考え、つくり、実践している中川さんの話には説得力があるし、それを聞いて補足し、他の事例を語り、解説する周さんがさらにわかりやすくしている。ブランドのビジョンを考えている人、組織のトップに立つ人におススメ。

  • 日本では現場と乖離した空中戦になりかねないビジョンもしくはパーパス。

    でも、そのビジョンが今必要なんじゃないかと思ってる最中に実戦に向けたヒントがたくさんありました。

  • ビジョンの前にまず実力を示してからビジョンを示す。
    政治家のビジョンは6文字

  • タイトルで気になった『ビジョンとともに働くということ』(山口周 中川淳)。

    あくまで「自分自身のビジョン」について考えようと思って手に取り読み始めたのですが…

    「経営者、そしてコンサルティングの人達はこういう事を見て考えてるのか」はもちろん、「ビジョンを考えるにおいて引用された様々な例」が面白かった〜

    後者の例としては以下のものに「おぉ…」ってなりました。

    ーーーーーーーーーーーーーーーー

    ●ピーチ・アビエーション
    ●新潟の竹所という限界集落に移り住んだドイツ人の建築家
    ●能の世界の【師を見るな。師の見ているものを見よ。】という教え
    ● GHQの総司令官だったダグラス・マッカーサーの海軍士官学校時代
    ● 「ごみを、ごみとして、終わらせない」というビジョンを掲げる石坂産業
    ● 京都の山科言親さんのいう「呪い」
    ●戦前生まれと戦後生まれの経営者の考え方
    ● ドストエフスキーの『地下室の手記』
    ● 問いでもあり答えでもあるようなビジョン【キリスト教】

    ーーーーーーーーーーーーーーーー

    今回の中川政七商店ビジョンの場合では、

    「ビジョンを決めるためのノウハウがあったわけではないんです。2〜3年ぐらい、思いついては紙に書き、書いては捨てる、を繰り返しながら悶々と考えていたのですが、あるとき天から降って湧いたのが「日本の工芸を元気にする!」というビジョンでした。」

    …と時間をかけて考えてらっしゃる。

    機動力というか、パッと動ける事は重要だけど、

    答えが出るまで時間をかける事もまた重要なのかもしれない。

    でも「その境目は一体どういう所に?」と考える。

    その物事によるのかどうか。

    とりあえず私は「自分が燃える事」が何なのかをもう一回チャリ漕ぎながら考えよう。

    「背中にビビッと来る」とか「映画を見てて感動して泣く」っていう事は過去に何回かあったんだけど、

    時が経つにつれて【映画:亡くなってほしくない人に限って他界】【音楽】以外にそれが何だったのか忘れてしまった。

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著者プロフィール

1970年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻、同大学院文学研究科美学美術史学修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、コーン・フェリー等で企業戦略策定、文化政策立案、組織開発等に従事した後に独立。現在は「人文科学と経営科学の交差点で知的成果を生み出す」をテーマに、独立研究者、著作家、パブリックスピーカーとして活動。現在、株式会社ライプニッツ代表、世界経済フォーラムGlobal Future Councilメンバーなどの他、複数企業の社外取締役、戦略・組織アドバイザーを務める。

「2023年 『新装版 外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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