- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396633240
感想・レビュー・書評
-
木造の古屋に暮らす、主人公と母親と祖母。
それぞれの“女”の部分と、娘や母という関係、立場との間を揺れながら、物語は進む。
ドライではないが、湿りすぎてもいない、心地よい空気を感じた。
食べるシーンがよい。普段使いの皿小鉢や、その人の箸使いが目に浮かぶよう。
それから人の訪い方のやわらかさ、会話の妙。
「楽しいことは、それを待っているあいだが、いちばん楽しい」
粋なおばあちゃんの言葉に同感です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久々に知らない作家の本を表紙とタイトルで図書館から借りて、しかも、結構楽しめました。娘と母と祖母の物語。淡々としていて、きちんと生活していて、出てくる食べ物も美味しそうで、物を大切にしていて、恋愛も出てくるけれどドロドロからは程遠くて、連作短編集なのですが、どれも楽しかったです。
-
板前だった父は錦糸町のパブで出会ったコロンビア人女性と出奔、彼女の子どもが待つ本国へと旅立った。そして母と祖母、私の三人がひとつ屋根の下に残された。祖母は血は繋がっていなくても、これからもこの家で女三人で暮していこうと提案した。それから七年。旅に観劇にと趣味に忙しい悠々自適の祖母、フットマッサージ店のやり手経営者となった母、そして商社をやめ児童館の指導員として毎日を送る私。私には、IT系広告会社の社長ユウジというフィアンセがいる。安達千夏が描く、女三人家族の日常。
-
東京下町の古い一軒家に、主人公は母と祖母と暮らしている。
離婚した父はコロンビアで新しい家族と暮らしていて、同居している祖母はその離婚した父方の人間のため母とは血がつながっていない。そのうえ出入りする母の妹は腹違い、という一見複雑な関係な女性たちは、気負うでもなく、自然体に共同生活を営んでいる。
意識しなくとも、それぞれ自分の生活をしっかりと持ち、恋もする女たちは「家族」なのだ。
絶妙な距離感で違いを思いやる関係性がいいなぁ、と思った。
女同士というのは血が繋がっていても厄介なことが多いのに、なんて気持ちのいい涼やかさだろう。
なんていうことのない日々が豊かな、素敵な女の物語だ。 -
予想より、ずっと面白かった。30代女子のメルヘン。
-
(200909)