六花落々

著者 :
  • 祥伝社
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  • / ISBN・EAN: 9784396634537

感想・レビュー・書評

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  • 雪の結晶の美しさに…純粋な尚七は…

    文化十年(1813)。下総古河藩八万石土井家の下士・小松尚七(なおしち)は、藩の重臣で先手物頭の鷹見十郎左衛門忠常にその探究心を認められ、世継ぎ土井利位(としつら)の御学問相手に抜擢される。のちに利位は、幕府の老中首座。雪の結晶の研究を行い「雪の殿様」の異名で知られる。

    【六花邂逅(りっか かいこう)】
    文化九年(1812)。小松尚七が雪を見ていると、藩の重臣、鷹見忠常が何をしていると。六弁の花の形をした雪の花を探していると。尚七が「何故なに尚七」と呼ばれている事を思い出し、他人に何と言われようと、考える事をやめようとしない姿に感銘を受ける。尚七は、文化十年(1813)。三河土井家から養子に入った世継・土井利位の御学問見習を務める。

    【おらんだ正月】
    尚七は、古河藩御側医で二百石の箕輪宗智(そうち)の養子に入る。そして跡継・利位の御学問見習として、仙台藩お抱えの蘭医、大槻玄沢(げんたく)の芝蘭堂で開かれる「おらんだ正月」に連れていかれて。さんざんに恥をかき、逃げ出そうとした時に。天文方の佐野関蔵の娘・多加音(たかね)に、蘭学に触れるということは恥を恐れてはならないと…。

    【だるま大黒】
    尚七が、跡継・利位の御学問相手となり。藩の用人に出世した鷹見に連れられて、漂流してロシヤから帰ってきた大黒屋光太夫に、ロシヤの話を聞きに行くと。幕府、書物奉行を務める近藤重蔵と会い。その帰りに、五弁の白い花は清楚だが、うっかり手を伸ばすと棘がある野茨(のいばら)のような多加音に…尚七は「私と一緒になってくれませんかと」。

    【はぐれかすがい】
    文政七年(1824)。尚七は、多加音を娶って10年、子を二人授かり。跡継・利位の御学問相手として、雪の形を顕微鏡で観察し。同じ六花(雪の結晶)でも20の違う形を写生する。利位は、雪の結晶を「雪華(せっか)」と命名する。そんな頃に、藩の用人、鷹見忠常の長男が亡くなり次男が跡取りとなるが、あまりにも大きな父の後を継ぐことを思うと身が縮み…。

    【びいどろの青】
    文政九年(1826)。4年に一度行われるオランダ商館長の江戸参府に、同行した蘭医シーボルトと会った尚七は、雪の結晶の模様を40個書き留めたことを話す。その時に、幕府天文方高橋景保(かげやす)が、伊能忠敬(ただたか)が描き高橋が完成させた「大日本沿海興地全図」を渡した所を同行した間宮林蔵が見ていた。この事が後のシーボルト事件と結びつく。

    【雪の華】
    20年に及ぶ六花の研究が「雪華図説」として本になります。古河は、米が凶作となり金のないなか。その本を始め雪華の文様を表した種々の高価な道具を贈り物として将軍家などに送られる。尚七は、家老に出世した鷹見忠常に訴え、ついに殿に御学問相手の職を辞すと、殿は「尚七わたしを一人にするのか、尚七がいたからこそ今日まで土井家で頑張ってこれたと…」

    【白炎(びゃくえん)】
    天保5年(1834)。土井利位が幕命により大阪城代となり、尚七も鷹見忠常とともに大阪に赴く。尚七は、元大阪町奉行与力で陽明学者の大塩平八郎の私塾・洗心洞で学ぶが。尚七の自由な考え方に合わずに洗心洞をやめる。その時に大塩は「学問は決して、論じるものでも愛でるものでもない。世に役立ててこその学問ぞ。それだけは、忘れてくれるな」と言った言葉が心に響きました。
    天保8年(1837)飢饉の困窮のなか大塩平八郎が、救民のためにと立ち上がったが。烏合の衆の集まりであった大塩の乱は、大阪城代土井利位により鎮圧される。尚七は、救民を唱えて戦う大塩と一緒に動きたい気持ちと、大阪の治安を預かる土井家の家臣としての間でゆれていた。土井家の家老・鷹見忠常は、尚七に「おまえは、そのままでいろ」と…。

    【この本を読むきっかけ】
    この本を手に取ったのは、音読で読んだ西條奈加さんの「善人長屋」「まるまるの毬(いが)」がよくて西條奈加さんの大活字本を調べたら4冊でています。地元図書館に取り寄せている間「夕映え天使」を読んでいました。「六花落々(りっか ふるふる)」、「銀杏(ぎんなん)手ならい」と続けて読んで行きます。

    【読後】
    展開が面白く、先へ先へと気が向いて行きます。尚七の純粋な、真摯な、ひたむきな姿が眩しく。そしてなぜ、なぜと探求していく姿に…。振り返ると、その気持ちが忘れているのに気が付きあらためて何故、何故と考える気持ちを思い出します。

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    【音読】
    2022年7月10日から18日まで、音読で西條奈加さんの「六花落々(りっか ふるふる)」を大活字本で読みました。この大活字本の底本は、2014年12月に祥伝社から発行された「六花落々(りっか ふるふる)」です。本の登録は、祥伝社で行います。大活字文化普及協会発行の大活字本は、第1巻~第3巻までの3冊からなっています。
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    六花落々(りっか ふるふる)
    2019.11大活字文化普及協会発行。字の大きさは…大活字。
    2022.07.10~18音読で読了。★★★★☆
    六花邂逅(りっか かいこう)、おらんだ正月、だるま大黒、はぐれかすがい、びいどろの青、雪の華、白炎(びゃくえん)、の連載短編7話。
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  • 六花落々・・なんという趣、響きそして余韻を持った題名なのだろう!雪の結晶が見事な華を披露し、その姿に魅せられた人々を軸に描かれた幕末の歴史小説。著者初読みにも拘らず、平易な文章に乗せた言葉の美しさ優しさ鋭さが心の襞に自然と染込む。さらに比喩の斬新さ(自分では絶対浮かばない表現好き嫌いは別として)にも感動。主人公尚七、用心忠常、古河藩主利位の三者の設定も抜群、織り成される会話にも箴言、格言、教訓の宝庫。まるで開国の門戸を叩く悪魔の声に抗するかの如く。間宮林蔵、シーボルト、大塩平八朗と西條さんの新解釈も痛快。

  • 冬の日、雪の結晶の形を調べていた下総古河藩の下士・小松尚七は藩の重臣・鷹見忠常(のちの泉石)に出会う。その探究心のせいで「何故なに尚七」と揶揄され、屈託を抱える尚七だったが、蘭学に造詣の深い忠常はこれを是とし、藩の世継ぎ・土井利位の御学問相手に抜擢した。やがて江戸に出た主従は、蘭医・大槻玄沢や大黒屋光太夫、オランダ人医師・シーボルトらと交流するうちに、大きな時代の流れに呑み込まれていく…。

  • 実在の人物を題材にした作品とは知らずの作者読み(笑)

    最初に登場の下級武士の尚七。
    「なぜ何尚七」って(笑)
    時を忘れて雪の形を探す姿がほほえましい。
    そんな彼が出会ったのは藩主の覚えめでたい鷹見忠常。
    この人、年齢は尚七とあまり変わらないのだけど、
    有能なだけでなく、大人物の風格。
    かっこいいぞ。

    そんな忠常の取立てで、藩主の学問のお相手となった尚七。
    家格がどうので、養子になってからの出仕とか、
    武士って面倒くさい感じだけど。
    でも、養家がいい家でよかった。
    学問好きのお殿様も魅力的。
    藩政よりも学問が好きでも、立場上それを貫くわけにはいかず、
    そういう意味では自由な立場の尚七をうらやんだりするのも
    人間くさくていい。

    途中で、大黒屋幸太夫が出てきて、「あっ!」と思った。
    この人、「おろしや国酔夢譚」の?
    名前には自信がなかったので検索、検索。
    やっぱり、そうだ。
    もう20年も前の映画なのに、よく覚えてたな、私。
    もっとも、私の中では、なぜか、西田敏行さんの映画、
    という刷り込みになってたけど(笑)
    (思い出したら、また観たくなって、ツタヤディスカスに
    登録しちゃった。)

    尚七のロマンスが素敵。
    どっちも不器用なんだもんなぁ。
    なんだか、可愛い。

    その後も、実在の人物が出てくる、出てくる。
    中でも、驚いたのが大塩平八郎の人物像。
    歴史の授業でさらっと習った時には、武士でありながら
    庶民のために乱を起こした正義感の強い人のイメージ
    だったのだけど、すごくあくの強い人だし、
    乱を制圧する側だからかもだけど、忠常の規って捨てる
    ような人物評もなんだか納得できたりして。
    これは小説なのだし、実際の大塩がどういう人で、
    どういう意図を持って乱を起こしたのかは分からない。
    でも、こういう小説を読む面白さの一つに、
    作者ごとの人物造詣があること。
    どれが正しいのかは分からない。
    どれも正しく、そして正しくないのかもしれない。
    だから、面白い。
    読者がそれぞれの想像を膨らませる余地もあるということだから。

    鷹見忠常と藩主の繋がりを描いた他の作品も
    発見したので手を出してみるつもり。

  • タイトルは「りっかふるふる」と読みます。六花は結晶の形からくる雪の異称です。
    下総国古河藩を舞台に、幕末に向かって動き始めた文化・文政から天保時代(1813~1835)を描いた本格歴史小説です。
    主人公は藩主・土井利位(後の老中首座)の御学問相手で軽輩出身の小松尚七。そしてもう一人重要な登場人物が古河藩家老となる鷹見十郎左衛門忠常。後書きによれば著者の西條さんがこの鷹見忠常に興味を持った事がこの作品が書かれるきっかけなのだそうです。
    鷹見忠常は私にとって未知の人物だと思っていましたが、実は渡辺崋山の代表作(鷹見泉石像/国宝)の人物だそうで、この絵は良く目にしていました。広く世界を知ろうとした蘭学者であり「土井の鷹見か、鷹見の土井か」と言われるほどに有能だった人物です。
    その為、当時を代表する知識人が次々に登場します。蘭学者の大槻玄沢や渡辺崋山、『おろしや国酔夢譚』の大黒屋光太夫、北方探検の近藤重蔵や間宮林蔵、シーボルト。そして土井利位が大阪城代として赴任中に乱を起こす大塩平八郎。
    ただ、残念なことに綺羅星の如き登場人物も現れては消える感じで、物語のスケールは大きくはありません。それは鷹見忠常では無く軽輩の小松尚七を主人公に置いたせいでしょう。一方で「何故なに尚七」と呼ばれた主人公の世俗から浮き上がる学者肌も十分に生かしきれておらず「狭いけど深い」という感じでも無いのです。
    小松尚七が御学問相手として出仕し始めた時から藩主・土井利位、家老・鷹見忠常と共に雪の結晶を顕微鏡で観察しまとめた『雪華図説』の完成で物語は閉じられます。

  • ノンフィクション『幕末の女医楠本イネ、シーボルトの娘と家族の肖像』を、読んだ直後のこの本だったので、より強烈な印象を持った。江戸幕府がその寿命を終えようと加速する時期。外国との交易と情報入手は、知ること以上に国力に寄与することだった。国際という視点で地球上にある色々な情勢を知ることは、国の行く末も知ることに相違ない。

    場所は渡良瀬川周辺古河藩。
    小松尚七という、貧乏な下士であり、世の中の理をなんでも知りたい『何故なに尚七』という別名も知られていた。
    何にでも興味を持ち、雪の結晶を見ようと2時間も四苦八苦していると、この本の主題でもある、鷹見忠常と出会う。

    その出会いが、尚七の運命を変える。
    江戸に上京し養子となった新しい若君の御学問相手として、召し抱えたいと言われる。

    ここから、世にいう「シーボルト事件」や「大塩平八郎の乱」や天候不順な時代での大きな飢饉がおこる。
    天才でありたゆまぬ研究も続け、野心もあり政にも、長ける鷲見との2、30年の月日を描く。

    江戸文化、歴史的事件も臨場感あふれる一冊になっていて、読みごたえは十分です。

  • なぜ?
    疑問を持つ必要のないものに対して疑問を持ち、なぜ?と人に問い、調べる。
    周りからは、意味のないことに対して疑問を持つ尚七は疎ましく思われる。

    尚七の純粋な知識欲が眩しく感じた。
    女性が知識を持つことが疎まれる時代に、自分を持ち続けようとして壁に当たる多加音の姿が悔しく、切なかった。

  • 六花とは雪のこと。その雪の結晶を見たいと考えている若い武士が主人公の話。剣術はだめだが、学問は好きで、知識を得ることを望んでいる。やがて、その才を見込まれ藩主の跡取りの学問相手として用いられるようになり、雪の研究も出来るように。
    雪の結晶の研究を進め、本まで著すようになる武士の人生を描いているが、硬くなくて面白かった。

  •  大塩平八郎への、こういう見方もあるのかと。
     その乱が結びの章にあることで、やや苦味が。

  • 「何故なに尚七さん」のお話。
     厳しい人なのかもしれませんが、鷹見さまはすごい人なのだと思う。
     図書館に行き、渡辺崋山が描いた肖像画を探して、見ました。
     土井の殿様も素敵な方だと思う。

  • 面白かった。小松尚七って実在なのかな。調べてもよくわからなかった。でもとても惹かれる人物だった。多加音だけでも1冊の物語になるよなあ。
    涅槃の雪の時代背景や人物すこしかぶってる。あのときも、ここまで調べあげて、なぜ鳥居耀三を主役に描こうとしなかったのかな、とちょっと思ったけど、これも、この物語でなぜ鷹見泉石を主軸に描こうとせず尚七の視点になったのかな。作家とはそういうものかな。鳥居耀三とか、鷹見泉石とか、知ればしるほど生き様に感銘を受ける。土井の鷹見か鷹見の土井か。知恵者だったんだなあ。
    学者と政治家の立場の違いなんかも考えさせられた。鎖国という政策についても、浅い目線でしかみていなかったことを気づかされた。渡辺崋山、大塩平八郎、大黒屋光太夫、シーボルト、間宮林蔵、、、歴史の教科書に刻まれるような人物もたくさん出てきて、読み応えあった。
    この方の、実在の人物が絡めてある江戸期の物語はほんとすき。みずみずしくて。いまいちばんご贔屓の作家さん。

  • 殿様がオタクだったというお話。
    家臣への告白が身につまされる。
    実在の人物を描くのは難しいようだ。

    再読しても楽しめたので、1ポイントアップ。
    山田風太郎のように、教科書に出てくるような人物が登場。
    終わり方をもうひと工夫してほしい。

  • 百姓の子である尚七は頭脳明晰
    人が気にしないようなことが
    どうしても気になる。
    その性分を買われて殿の家庭教師に。

    蘭学を学んだり 気性の荒い女性
    (のちの妻)との出会いシーンが好き。
    今女性が勉強できるって普通だけど
    昔を恵まれてるよなぁと思った。

    しかし歴史が苦手なだけに
    後半は面白さを感じられなかった( ¯−¯ )
    自分の知識不足が残念

  • 疑問に思ったことはとことん調べずにはいられない小松尚七は、雪を観察している時に古河藩の重臣である鷹見忠常に出会い、探究心を買われて藩の世継ぎである土井利位の御学問相手に抜擢される。雪の話は少しだけで、多くは政治のお話。作者も、尚七ではなく尚七を通した忠常を描きたかったそう。シーボルトや渡辺崋山、大塩平八郎など有名人もたくさん出てきてわちゃわちゃ。

  • 鷹見泉石の足跡を,小松尚七という下級武士の目を通して描き,幕末のあちこちの漂い出した不穏な空気も,六花の研究に事寄せて語っている.尚七の素直な人としてのありようが,清々しくて気持ち良かった.

  • 江戸時代、天保の頃、「雪華図説」に携わった下総古河藩藩主・土井利位、その重臣・鷹見忠常(後の泉石)、下士・小松尚七の三人を描いた歴史物語。

    三人とも実在の人物とのこと。しかし、残念ながら誰一人として知らず、「雪華図説」についても本書にて初めて聞き知ったという私(汗)。でも、面白かったデス。鎖国のあの時代に、忠常のように、ここまで物事の視野を広く持っている人がいたんだなぁと改めて知らされ、感心。3人の中で、主人公を尚七に置いたところが◎。彼の庶民目線のおかげで、忠常の有能ぶりがより際立つし、人間らしく時に悩む姿も垣間見ることが出来た。尚七のキャラゆえか、固くもならず、さすがの西條さんらしい優しい文章に。ちょっと駆け足的なところもあったけど、最後まで安心して面白く読めた。この三人以外にも、有名な人物がゴロゴロ出てきて、その点でも楽しく読めた。

  • 江戸時代、まだ攘夷の嵐が吹き荒れる少し前、雪の結晶に魅了された人物がいた。下総古河藩の下士・小松尚七は、ただ学問に明け暮れるがゆえに、藩のお世継ぎである土井利位の御学問相手に抜擢される。尚七の人生の先々で、大塩平八郎、大黒屋光太夫、シーボルト、渡辺崋山などが尚七の脇をすり抜けていく・・・。尚七は主人公なのかと思うくらい、歴史の重要人物が出てきます。誰と絡んでも、尚七は尚七なところが面白いのです。
    藩の重臣、鷹見忠常がなぜ尚七を抜擢したのか、その深い政治的配慮と忠心には驚かされました。

  • 2015.5.6.雪の結晶に興味を持ち、同じ関心を持った領主と研究を重ね、本にまとめていく過程がとても面白かった。大塩平八郎の乱がこんな風に起こったのか…と大変興味深かかった。目先の優しさにとらわれる尚七に引きかえ、冷徹な鷹見忠常の大きな視点…特に、尚七になじられながらも六花図説をお助け米に変えてしまうところなど、が凄いと思い、人物像に興味を持った。

  • 実在した江戸時代の蘭学者、鷹見泉石の生き様を、おそらくは架空の部下、小松尚七の目線から語った物語。とは言ってもやはり主人公は小松尚七で、時代の流れに翻弄されながらも持ち前の実直さで真っ直ぐ生きていこうとするその姿には感銘を受けました。

  • 面白かったです。「何故なに尚七」という有難くないふたつ名を持つ小松尚七が、鷹見忠常と出会って、藩主の跡継ぎである若殿の学問相手となり、共に「雪華図説」を書く話です。尚七を通して忠常という人物が時代を渡っていくさまが、書かれています。尚七の素直に学問を探究していく姿に好感を持ちましたし、彼と若殿、土井利位(としつら)そして忠常の関係がいいと思いました。「六花落々」というタイトルも好きです。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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