ホケツ!

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 212
感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634582

感想・レビュー・書評

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  • 12年前に父親は家を出て、6年前に母は病死。いまは独身の伯母・絹子と二人暮らしの高校三年生の宮島大地。サッカー部では後輩に抜かれレギュラーになれないけれど、楽しくクラブ活動をしている。
    良い話なのです。如何にも青春物語。クラブ仲間との友情があり、適度な恋バナも有り。自分よりも周りへの気遣いが優先する「縁の下の力持ち」的な主人公が前へ飛び出す勇気を発揮する最後のシーンなど、涙腺を刺激します。
    導入部は少しモタモタしましたが、後半は一気読みでした。
    しかし・・・。
    これまで読んだ小野寺作品の私の感想から、主人公についての記述を拾い出してみると
    『今日も町の隅で』力の抜けた不思議な肯定感です。
    『ひと』主人公・聖輔は他人に思いが及ぶ人です。
    『縁』辛い状況にあっても酷く嘆いたり、怒ったり、恨んだりせず、どこか淡々と受け止め、日常生活にキチンと戻って行きます。
    『ライフ』大学を出てバイトで暮らす頼りないけれど善良な青年が主人公。
    『本日も教官なり』どこか気力乏しく漫然と生きている主人公 
    この作品の大地君もそうですね。
    苦しい事も淡々と受け止め、他人に思いが及びすぎて自分が引っ込んでしまい、悪く見れば気力に乏しい。
    やっぱりチョッと類型的過ぎるかな。

  •  中学時代から高校3年までレギュラーどころか公式戦出場すらない、サッカー部補欠選手が主人公。

     両親の離婚、親権者である母の病死、伯母の扶養に入る生活。周囲の負担になったり心配をかけたりしないよう、気配りしつつ過ごしている。
     そんな主人公が徐々に自分と向き合い、自分のための一歩を踏み出すまでを丁寧に描いている。

  • 大地、フリーキック惜しかったなー!
    残りの時間も頑張れ!
    真乃の姉さんと仲良くして、でも尻に敷かれそうですね?

  • 中村憲剛さんが帯に載っていたので手に取りました。
    読んでいて、かなりドラマチックに書かれている作品です。

  • 最後の10ページくらい。
    危うく泣きそうになった

  • 読んでいると何故か高校時代のことが頭に浮かんできた。甘酸っぱいと言う言葉がぴったりのあの時代。過去に戻れるなら?と言われたら、一番戻りたいあの時代。
    あたたかく、爽やかな、気持ちに心が満たされる一冊。小野寺さんの描く人物像はいつも心の奥まで染み込んでくるなぁ。

  • 爽やかな青春小説だったなぁ。
    バリバリのレギュラーではなくって万年補欠の高校生にスポットがあたっているのがいい。
    様々な想いを抱えながらも腐ったりせず、今の自分にできることを精一杯楽しんでいる姿に感動。
    ラストは胸に込み上げてるものがあった。とても好きなお話だった。

  • 最初、主人公に覇気が感じられず、読み進めるのが辛かった。
    色々と抱えているものはあるんだろうけど、自分の意見もなくただなんとなーく生活している感じ。
    サッカーは好きだけど、特別上手くないから万年補欠。レギュラーにはなりたくないわけじゃないけど、周りを見てなれないのはわかっているから、なんとなくそのまま。頑張ってない訳ではないけど、努力をしているようには見えない、みたいな。
    青春小説ぽいので段々成長していくんだろうなとは思ったものの、なかなか読み進められず…。

    なんとか読み進めたが、読むにつれ、彼が周りを見つめる力と芯には強く優しい力を持っているのが見えてきた。

    身近な人ともきちんと話し、向き合っていって、まさかあの覇気の無さから、ここまでハッキリ言うべきことが言える子になるとは…(というより、この主人公はずっと何かを秘めていたんだろう。)なかなか爽やかな前向きなラストで良かったです。

  • 母の死により伯母と一緒に生活する大地。特に冷たいわけでもないし、よくしてくれているが自分自身遠慮してしまう。彼には大人になってわかる高校時代の重要さ。その貴重さをわかっていないため、控えめにしてしまう気持ちがわかってしまいます。ちょっと私にはつらい一冊でしたが、綺麗にまとまっている一冊でもありました。
    離婚、結婚、恋愛、友情。いろんな人と触れ合い、行動し、考えることで成長する彼の姿に「青春」といった甘酸っぱさを感じました。こういうの現実にほしかったです(笑)。舞台の上で輝いている人物もいますが、それだけではない彼の姿に涙です。
    ただ、情緒が穏やかで女性の扱いも慣れている大地。…なかなか良い男だと思ったので、将来が怖いです(笑)。
    ちょっと気になるのは表紙。もっと現代的な表紙だったらもっといろんな方に読んでもらえたのかもとは思いました。表紙では読むようなタイプではなかったので、この小説の楽しさに驚きました。タイトルの文字体もなぁ…と。

  • 高校3年生、サッカー部ホケツ。こんなに客観的に自分を見れるば、凄いね。好きな話しだ。 2015.5.20

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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