- Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396767174
感想・レビュー・書評
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両親が突然事故死した主人公の朝は、実感もなく普通に高校生活を送る。同居することになった小説家の叔母槙生や、親友えみりとの会話とかから、簡単には言い表せないような自分の感情や感覚を模索してる様がすごく丁寧に描かれてる。
両親が死んで、小説家の叔母と同居して、軽音楽部員としては音楽に深みが出そうなものの、薄っぺらいままだということを悩み、そんな悩みもカッコ悪くて人に言えないというのがすごくリアルな高校生の心情だなと思った。
8巻に出てくる「エコー(=反響、影響)」のくだりは、きっと周囲の人たちとのやり取りがあって初めて自分の足元が少しずつ固まってくるということなのかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何よりも好きな漫画。
何回も読み返してて、最近やっと
たらいまわしと盥がかかってたことに気づいた。 -
人生でふとした時に思い返したくなるような言葉が散りばめられていた。
日記について、槙生ちゃんは
「誰が何を言って 誰が何を言わなかったか。あなたが今、何を感じて 何を感じないのか。」書いてみるといいと言った。
「今書きたいことを書いて、書きたくないことは書かなければいい。本当のことを書く必要もない。」とも言った。
それらの言葉に衝撃を受けた。日記は正直に、思ったことを全て書かなければいけないとなぜかずっと思っていたから。嘘を書いたとしても、将来見返した時に、自分がなんでそんな嘘を書いたのか、その時の苦しみも悲しみも全て受け止められる時がくるはずと思って日記に残すのも悪くないなと思った。
「言われたこと、感じたこと」に思いが囚われることはあっても、「言われなかったこと、感じなかったこと」は素通りしてしまうことが多かった気がする。誰かが自分のために飲み込んだ言葉、多くの人が感じるけど自分は感じないこと、もっと考えようと思った。 -
傑作。人生のバイブル。
高校生の頃等に出会っていたら深みを理解できなかっただろうと思う。 -
「さんかく窓の外側は夜」も面白い。
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「家族」という言葉がやんわりと示す温かみと窮屈さについて、「もっとゆるやかでいい」思わせてくれる。それから、人生を生きてゆく上で、「すこし変わった親戚のおばさん、おじさん、おにいさん、おねえさん」的な距離感の存在の人が与えてくれる世界の幅、生きていて大丈夫という感覚について、ふんわりと伝えてくれている。そして、一緒にご飯を食べることのパワーについても。
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ふだん読まないタイプの作品なのに1巻を電子書籍で見た後既刊を揃えた。何か刺さるものがあって。
この作品では「人はそれぞれ違ってて当たり前」がとても自然に描かれてる。人の心は孤独で、みんな違った孤独を持ってるけど、どこか重なったり、すれ違ったり、理解できたり分かり合えなかったりする。私は現代の人の関係や日常を描いた話は苦手なのだけど、この本は大丈夫だった。それぞれの人が丁寧に描かれていて、理想的で不思議な空気感のある作品。完結まで読み続けていきたい。 -
私たちは、言葉が交わせることでなまじ通じあっていると思ってしまう。
他人のことは、わからない。それが他人でも血縁同士でも。それでもなお、人に希望を抱かずには、自分を諦めずにはいられない。呪いに気づかせてくれる、他人の足を踏んでいることを教えてくれる本です。 -
『わたしは大抵不機嫌だしあなたを愛せるかどうかはわからないけど、わたしは決してあなたを踏みにじらない』
好きな漫画ベストスリーに入る、違国日記。
人はみんな違うこと、分かり合えないこと、同じ悲しみはなくて、それらを共有することはできないことを噛み締めながら読む -
ヤマシタトモコ節炸裂していてとても嬉しい。
「わたしは決してあなたを踏みにじらない」
両親が亡くなり不意に孤独になった中3の朝と
朝の母親の妹、槙生との同居生活のおはなし。
ヤマシタトモコの描く人の歪みと荒々しさ
それでいて憎めないような不器用な優しさが
大好きです。
会話がとても現実的で、台詞に間を持たせたり
するところが自然だなあとよく思う。
朝、15歳、子どもとも大人ともつかない
曖昧な時期を、自分の一言で思いがけず
傷つけてしまわないように手探りで、
しかし真っ直ぐに向き合っていこうとする
槙生の様子が見ていてほっこりした。