プリズム

著者 :
  • 実業之日本社
3.28
  • (7)
  • (22)
  • (59)
  • (9)
  • (0)
本棚登録 : 172
感想 : 30
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408533674

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 面白く読めたが、やっぱり結論はイマイチ。すっきりしない。

  • クラスの人気者ミツコ先生が殺された。
    犯人はだれ?

    著者の意図の通りの結末に、私的には不完全燃焼でしたが、仕方ないのでしょうね。

    ミツコ先生の関係者ばかりが登場する話でしたが、みんなが謎解きに一生懸命で、ミツコ先生がいなくなってしまったことを悲しんでいる感じではないのが違和感だったし、ミツコ先生が気の毒。
    結果的には、ミツコ先生の良さもあまり伝わってこず、残念でした。

  • 2016.1

  • 容疑者が多いため、何通りもの推理があって真相への期待が大きかったが…
    結末にはガッカリ!作者の企図は分かるが読者は望んでいないと思う。読後はモヤモヤが残ります。ストーリーが面白かっただけに残念でした。

  •  小柄で愛くるしい容姿の小学校の女性教師が自宅で死んでいた。事件か事故か、関係者それぞれの角度から真相をつかむための謎解きがなされる。
     本編では犯人は名指しされず、読者にゆだねられた。

     4つの章から成っていて、章ごとに主人公が変わっていく。主人公の推理に「なるほど」と思わせられるが、章が変わり、主人公の視点が変わるごとにに新しい事実が加わるため、「何だって~??それで、それで?」と興味をそそられる。

     女性教師のイメージが何となく小林麻耶っぽいなぁ~と思いながら読んでいた。
     結局犯人は分からなかったけど、わたしとしては、妹杏子があやしい気がする。無自覚な天真爛漫さに振り回されるのは他人の比じゃないような気がするから。(別に小林麻耶ちゃんが嫌いなわけではない。)
     同僚の桜井先生が純粋無垢な彼女と付き合う中で、自己嫌悪に陥る気持ちは何となく分かる気がする。そして何となく気疲れしてしまう気持ちも。
     「純真潔白でありたい」と願う気持ちはあるが、その反面姑息な行動を取ってしまったりする。その間で揺れ動いてるんだろうなと思う。
     願わくば、最終的には少しでも純粋無垢な方へ傾いていたい。

  • うゎゎ。結局犯人わからず。誰もが怪しい。もやもやするわりに読後感は良かった。

  • 各人が筋道を立てて、ある誰かが犯人じゃないかと考えていく。結局は山浦先生は事故死っぽいけど…。いろいろな見方ができる、不思議なミステリ。

  • 「結局、真犯人は誰なの?」

    作者もあとがきで書いてるが、本書は、衝撃的な結末よりも、推論の構築と崩壊を念頭に書かれている。

    一人暮らしの女性教師がアパートの一室で殺され、そこから誰が真犯人なのか?という展開が始まるのだが、生徒、同僚、生徒の父、被害者のもと恋人・・・それぞれの視点からの推理が述べられている。
    それぞれが推理を構築しているが、崩壊・・・。
    あとがきに述べられているように、十通りの仮説が構築されているが、そのどれもが、綻びを見せる。

    ただ、最後の推理だけは、判断を読者に委ねるような記述で、スッキリした結末を望む読者には、少々、物足りないかも・・・。

    個人的には、最後の仮説が正解だとすると、飛び道具的な結末ではあると感じるが・・・。

  • 真相などどうでもいい。真犯人が誰でもいい。殺された山浦美津子に関わる人々それぞれの中でそれぞれの結着がつきさえすれば。それぞれの心の平穏の為に。それほどまで被害者は魅力的であったのだ。子供からは慕われるよい先生、男性からは我が儘で奔放な女王。女性からは悪気なく周囲を振り回す憎い相手。会うたびに別人の彼女に皆取り憑かれていた。幾重にも重なるそれぞれによる仮説と結着。描かれている以上の結論はいくらでもあるのだろう、それを読む度幾度も楽しむことのできる推理小説。

  •  このタイトルのすばらしさは、2つあると思う。1つ目はもちろん、人間が多面体であるという意味。あとがきでも触れられているし、本作を読めばそれはわかるのだけれど、これだけ印象の違う人物が一人の人間だという事実は、認識しているようでいてしていないものだ。

     もちろん、AさんとBさんの前で見せる顔が違うように、自分でもいくつかの顔を持っていることはみな知っているだろう。しかし、そのAさんやBさんによって自分が増殖しているとは、意外に思っていないのではないだろうか。亡くなったひとりの女に関して27人の登場人物が回想を語る、有吉佐和子の「悪女について」でもそうだったが、27人の人に接すれば、人は27通りの見方をされている。つまり、自分が接した人の分だけ自分は存在するのだ。そう考えると、自分なるものを規定しようとする行為のくだらなさもよくわかる。

     でも、「プリズム」なるタイトルは「だったら自分ってなんなの? そんなものないなら生きている意味がないじゃん」とは思わせない。なぜなら、プリズムとは光を通して初めて乱反射するものだからだ。わたしたちの人生には、だれがなんと言おうと、どう見られようと、光が射している。生きることは光であり、人間関係はその光同士のぶつかり合いなのだ。

著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

貫井徳郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×