スローバラード Slow ballad

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536927

感想・レビュー・書評

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  •  弓島大シリーズ第4作。冒頭で前3作の内容を簡潔に紹介してくれているが、完結編という解釈でいいのだろうか。
     ダイ、ヒトシ、ワリョウ、淳平ももう50を過ぎ、それぞれに家庭を築いていた。過去の作品に顔を出していた人達も年を取り、次の世代が暮らし始めている。シリーズを読んでいる者には感慨深い。今回は、ヒトシの息子で高校生の智一の家出がきっかけとなり、ダイと三栖刑事が奔走する。真相は四人(と亡くなった真吾)が封印していた過去と関係していた。
     ご都合主義は相変わらず。ダイの直感は正しいし、三栖刑事のおかげで捜査情報は手に入るし、ハッカーまがいの若者のおかげでネット情報の入手もお手の物。人脈が絶妙というところだが・・・・
     ハードボイルドばりにマイルールで行動するのもよくあること。遵法が必ずしも正しいとは思わないが、あまりに多用されると倫理観が安くみえてしまい、つい、皮肉を思いつく。信念をもった善人ほどやっかいなものはないと。もちろん、主人公たちだから話はちゃんと落ち着くのだけれど。
     

  • ダイさんたち、50歳!
    あっという間にそんなことに。
    それぞれに、いろんなことがおきている。
    生きていれば、それは、当たり前。
    で、途中までは、いつもの小路先生の作品の雰囲気で、仲間の息子である高校生の智一の家出に動き回るし、その中で出会ったディビアンさんが、とっても魅力的だしで、作品世界を思いっきり楽しんでいたのだけど、、、
    瑠璃ちゃんの事件は痛ましいけれど、彼女を守ろうとする動きもしっかりあるようだったしね。
    それだけに、ダイたちの行った私刑、現在に行われた私刑と思われる事件。
    その2つにもやもやしてしまう。
    だって、そりゃ、中島は最低ヤローだけど!
    主人公たちたるもの、そこまでのことをやらかしておいて、なんであんなにあっけらかんなの?!
    魅力的なはずのディビアンさんがそういう人なのもショック。ああ、もう、なんでそうなるかな。
    清廉潔白たれとは思ってないんだけど。
    でも、そこはがっかりだけど、やっぱり、ダイと仲間たちは嫌いになれないんだよね。うん。

  • ★片づいたよ。全部終った。(p.331)
    ▶このシリーズは全編通すと結局のところ作者にとってのカッコいいというか理想的なトシの重ね方を描いたものかもしれません。
    ▶ヒトシの息子、智一の家出に端を発するできごとはダイたちの人生にひとつのけじめをもたらすものだった。▶智一。その先輩、ゲイバーで働く仁科恭夫。彼のことが好きだったらしい村藤瑠璃。彼らの間になにがあったのか、そして現在の居場所は。▶淳平の妻、花凜の前に現れた謎の青年と、生前の茜とダイたち五人が写っている記憶にない写真。▶かつての仲間四人が集まる。《怪しいことが起こるとここは賑やかになるね》と丹下さん(p.146)。
    ▶出てきた音楽は、エリック・クラプトン「SLOWHAND」/ビリー・ジョエル「ピアノマン」/ライ・クーダー/忌野清志郎「スローバラード」

    =======================

    ■弓島珈琲についての簡単なメモ

    【一行目 モーニング】葬儀が、終わった。
    【一行目 コーヒーブルース】ひらひらと一枚きり。
    【一行目 ビタースイートワルツ】ひらひらと一枚、二枚、三枚と桜の花びらが散ってきてテーブルの上に落ちた。
    【一行目 スローバラード】ひらひらと桜の花びらが一枚、カウンターの上に落ちた。

    【茜】緒川茜(おがわ・あかね)。皆が十九歳だったとき二十四歳のOLだった。かわいい感じの人だった。ダイが「パラダイス」でしでかしたほとんど唯一の失敗によって親しくなった。短大の頃バンドでボーカルをやっていた。淳平と恋人になった。交通事故で亡くなった。ダイたちの懐かしい人でもありつらい過去でもある。
    【明/あきら】美園明、ワリョウの息子。『スローバラード』でS大学の学生で弓島家に下宿している。ハッキングのスキルを持つ。アルバイトで花屋の配達をしている。
    【あやか】ダイが猫を捜してあげたらしい。
    【綾香】ワリョウの妻。明の母。
    【あゆみ】芳野あゆみ。後に加藤あゆみとなる。『コーヒーブルース』でみいなが捜している姉で千住若葉中学一年生。「ビタースイートワルツ」では大学生で弁護士を目指していて弓島珈琲の常連になっている。『モーニング』ではダイが結婚する予定になっている。ダイに対しずっと大好きビームを放っていたがなかなかダイは受け入れなかった。中学高校では水泳部。『スローバラード』では無事結婚し長女のさやかを産み弁護士を休業中。
    【生原堂】和泉お気に入りの和菓子屋。
    【和泉朋樹/いずみ・ともき】ダイが働いていた会社の同僚でコピーライター。
    【いちこ】ヒトシの長女。地元の信用金庫に勤めている。一度一人暮らしを体験したいということで今は市内のマンションで暮らす。
    【インターフェイス】ダイたちのバンドの名前。
    【上木晃一/うえき・こういち】→ヒトシ
    【有働/うどう】刑事。
    【大野淳平/おおの・じゅんぺい】→淳平
    【カーディガン】『ビタースイートワルツ』でダイの部屋には淡い青のカーディガンが掛けられている。あゆみが置いていって返そうとしても受け取らない。なんらかの主張なのだろう。
    【賀川/かがわ】長矩高校教諭。智一の担任。女性。丸くて愛らしく小熊っぽい。
    【柿沼裕平/かきぬま・ゆうへい】淳平の父。離婚した父親は後に有名な調理人になった。
    【隔離部屋】警視庁内は全面禁煙になったが奥まった場所にいつの間にか喫煙室みたいな部屋ができた。この存在は警官の不祥事よりも極秘事項だそうだ。
    【片岡】七尾梨香の元カレ。
    【香世/かよ】大きめの前歯がキュートな女の子。ご近所の高校二年生。子どもの頃から顔見知り。純也とは幼馴染み。幼稚園の先生になりたい。後に純也以外の相手と結婚した。
    【苅田/かりた】ご近所の常連さん。駅前の通りでビリヤード場を経営しており町内の防犯安全委員会の会長。商売柄荒事には慣れている。「シューズアダチ」の(のある建物の?)二階に住んでいる。三栖とは少し因縁がある。
    【花凛/かりん】ある人物と結婚する女性。美術関係の仕事をしている。『スローバラード』での肩書きはタレントとなっている。
    【河東真吾/かわとう・しんご】→真吾
    【関係】淳平と真吾は高校の同級生で後の三人は大学に入ってから知り合った。ダイと淳平が同じカフェ「パラダイス」でアルバイトし知り合い、ダイの祖父母が亡くなり空き家になった一軒家で一緒に暮らすことになったところに他の三人も参加した。バンド「インターフェイス」を組んだのは淳平以外皆が高校時代にバンドをやっており偶然、真吾がドラム、ヒトシがベース、ワリョウがキーボード、ダイがギターとうまい組み合わせとなった。淳平は歌がうまくルックスが良いのでボーカルにスカウトした。そのまま四年間仲良く暮らした。その家を改装して始めたのが今ダイが経営しているカフェ。ワリョウいわく《ヒトシはやたら熱くて、真吾は素直で優しくて、ダイは不思議で温かくて、淳平はスマートでカッコよくて》モーニングp.237
    【クロスケ】「弓島珈琲」の家族。大きな黒い犬。子どもと女性には大喜びを示すが大人の男には愛想がない。
    【クロスケ】『ビタースイートワルツ』の一年前に丹下さんが拾ってきた黒猫。雄。犬のクロスケはその一年前に死んだので二代目クロスケ。
    【甲賀芙美/こうが・ふみ】→芙美
    【河本圭吾/こうもと・けいご】智一の友人。
    【小菅秋人/こすげ・あけひと】ダイの高校時代の友人。剣道部員だった。中学教諭。『コーヒーブルース』時点で千住若葉中学教諭。笑っているように見えるのが地顔で「スマイリー小菅」と呼ばれていたがクラス一の武闘派だった。
    【桜】ダイの家の庭には桜の老木がいて四月中旬に花を咲かせる遅咲きで毎春ご近所の皆さんを楽しませている。
    【佐々木真樹夫/ささき・まきお】茨城県警の刑事。村藤瑠璃の家にいた。
    【さやか】ダイとあゆみの娘。
    【じぇんとる】歌舞伎町のゲイバー。仁科恭夫がアルバイトしているようだ。主はディビアンという有名人。
    【時代】1980年からの四年間を『モーニング』の五人は共に過ごした。ジョン・レノンが殺され、ファミコンが発売され、映画「ET」が話題になり、バブル期の萌芽の時期。
    【実業組】武闘派暴力団。松木孝輔が今の組長。小さな組で大きな組が使い捨てにするような立場。薬物は扱っていない、というか扱おうとするたびに失敗している。境界を接する「之本組/ゆきもとぐみ」とは不穏な関係。
    【芝田久志/しばた・ひさし】M大学非常勤講師。
    【じゃうじー亭】真紀お気に入りのハンバーグを出す。
    【淳平/じゅんぺい】大野淳平。『モーニング』でやたら大きなワンボックスカーを借りてきた。劇団俳優。売れなかったがテレビでヒロインが通うバーのマスター役をして以来その甘いマスクと渋さで人気が出てきているところ。真吾の葬儀のあと、レンタカーで行けるところまで行って自殺すると言い出した。真吾とは高校の同級生。バンド「インターフェイス」ではボーカル担当。母子家庭だった。茜と恋人だった。
    【純也/じゅんや】ご近所の高校二年生。子どもの頃から顔見知り。香世とは幼馴染み。『ビタースイートワルツ』では自称フリーのゲームシナリオライター。チャラい印象を受けるしフリーの仕事というのも怪しいがなかなかバリバリやってるし格闘技もいくつかマスターしているので頼りになる。後にみいなと結婚し娘の瀬奈が生まれる。
    【翔子/しょうこ】翔太とは双子。北海道出身。明と大学で親しくなった。ダイの家で下宿している。事故で一度に亡くなった両親は同じ孤児院で育った孤児なので翔子と翔太に身寄りはいない。
    【翔太/しょうた】翔子とは双子。北海道出身。明と大学で親しくなった。ダイの家で下宿している。事故で一度に亡くなった両親は同じ孤児院で育った孤児なので翔子と翔太に身寄りはいない。
    【真吾】河東真吾(かわとう/しんご)。『モーニング』冒頭で彼の葬儀が行われた。交通事故だった。真吾の妻の裕美子(ゆみこ)は茜の妹、娘は結花(ゆいか)。バンド「インターフェイス」ではドラム担当で才能があった。皆の中では弟キャラだった。メガネ男子だったがいつも奇妙なメガネを選んだ。酔っぱらうとメガネを失くした。実家は福岡なのに横浜の高校に来ていた。
    【セブンテール】カフェ・セブンテール。松木の内縁の妻が経営しているというカフェ。
    【千寿朝日小学校】ダイの母校。千寿第二小学校と合併して千住元町小学校になった。店の窓から見える位置。
    【ダイ】語り手の「私」で主人公。弓島大(ゆみしま・だい)。カフェを経営している。四十五歳で初めて結婚したい相手ができ、十七歳年下らしい(ということは二十八歳)。父親は大学教授で偶然同じ大学の同窓生だった(顔を知っている程度)だったがその後本当に親しくなった。バンド「インターフェイス」ではギター担当。《無個性であることが逆に個性になるタイプ》らしい(モーニングp.159)。高校時代のあだ名は「ダイ善人」。武闘派ではない。愛車はミニクーパーのようだ。
    【退職】《自分の周囲の細かな事柄に眼を向けられるようになったのは会社を辞めてからだと、ついこの間気づいたばかりだ。やはり三十という年齢になるというのは、そういうことなのかなと思う。》コーヒーブルースp.4
    【丹下】「弓島珈琲」のもしかしたら実質的な店長かも。特製ミートソースは絶品。ふくよかで子どもに人気があり男の子たちは「ボヨヨンおばさん」と呼んでいる。ダイの母の高校時代の後輩で親しかったゆえ幼少時からダイを知っている。元女子プロレスラーの草分け的存在。ヒールでリングネームは「キラー・ザ・怒子(どこ)」。夫もプロレスラー。たばこはショートピース。書道三段。『スローバラード』では八十一歳でさすがにミートソースの寸胴鍋を持ち上げることは難しくなった。
    【智恵】ヒトシの妻。
    【チップス先生さようなら】茜さんがよく読んでいた本。
    【直感】《直感とは、そこにきちんと根拠となるべき芽があってのことだ。ずっと眠っていた種のようなものが、突然陽射しを浴びて地面から瞬間的に芽を出す。それが私の直感のイメージだ。》スローバラードp.256
    【津村まりも】『コーヒーブルース』時点で千住若葉中学教諭。あゆみの担任。小菅と結婚する予定。空手の有段者で空手部を作りたがっている。気が強い。
    【智一/ともかず】上木智一。ヒトシの息子。『スローバラード』で高校二年生。立派な体格。茨城県の野球名門校に入ったが腰を痛め退部した。倹約家で性格もしっかりしているようだが家出したもよう。
    【ドラクエ2】「ずさわがしへへじたそすらぶまやほちさひめつずぺきぬじぶひぼぱぽぴくほずらわえらごべがじすきみちとゆべたざ」は最強の「ふっかつのじゅもん」なんだとか。ぼくもまだ持ってるので試してみようかしら?
    【中島宏】茜の婚約者だった男。
    【長矩高校】智一の通う高校。野球の名門校で名監督がいる。
    【夏乃/なつの】ダイの恋人だった。同僚でグラフィックデザイナーだった。薬漬けになって亡くなった。
    【七尾梨香/ななお・りか】あゆみの、大学での友人。最近大学に出席していない。家に行くと誰かがいる気配はある。
    【並び】学生の頃から歩くときなぜかダイと淳平、その後ろにヒトシとワリョウ、最後に真吾という並びになった。
    【仁科恭夫/にしな・やすお】智一の持っていた写真に写っていた青年。元長矩高校野球部の選手で智一の先輩。ピッチャーだったようだ。
    【年齢】ダイが四十五歳ということなのでだいたい皆それくらいだろう。
    【ノバ】M大学近くにある喫茶店。
    【橋爪道雄/はしづめ・みちお】夏乃が死んだ原因を作った男。夏乃の高校時代の部活(ブラバン)の先輩。『コーヒーブルース』開始時に刑期を終えて出所した。
    【長谷川孝造/はせがわ・こうぞう】強豪である長矩高校野球部の名監督。
    【母休養日】香世と純也の母親は仲が良く何ヵ月かに一度発作的に家族の世話を放棄し揃って遊びにいくそうだ。
    【パラダイス】ダイと淳平がバイトしていたカフェ。オーナー店長は渋谷。
    【ヒトシ】上木晃一(うえき・こういち)。名字が「ウエキ」なので淳平が「ヒトシ」と言い出した。水戸で中学校教師をしている。大柄で四角い顔。今は丸刈りに近いが昔はアフロっぽい頭だった。バンド「インターフェイス」ではベース担当。『スローバラード』では教頭になっている。妻は智恵。長女はいちこ。長男は智一。猫はカノン。
    【芙美】旧姓甲賀芙美。『ビタースイートワルツ』での三栖の部下。警視庁刑事部組織犯罪対策室企画分析課第五班所属。事務方だが情報は集まってくる立場。行方不明の三栖からの「ダイへ」というメッセージを持ってきた。三栖に恋愛感情を抱いているようだ。その後無事三栖と結婚し娘の良美をもうけた。
    【フロマージュ】夏乃のお気に入りのパン屋。
    【本間】ダイが小学四年生のときの担任。その家庭のゴタゴタに巻き込まれた結果、本間の息子の名前が「大」になった。
    【真紀/まき】ダイの元同僚。グラフィックデザイナー。
    【マコト】ダイの幼馴染み。上関精肉店(かみぜきせいにくてん)の三代目。弓島珈琲が忙しいとき手伝ってくれたりする。福々しい顔と体つきは商店街で愛されている。母親と嫁には頭が上がらない。
    【マスター】《カウンターにマスターがいつもいてこそ、その喫茶店の雰囲気が保たれる。》p.243
    【松木孝輔/まつき・こうすけ】武闘派の暴力団「実業組」組長。
    【松田】神保町にある松田珈琲店のマスター。十七歳のとき北海道から家出してきてそのまま東京に住み着いたという噂。ダイが会社員時代よく来ていた。
    【みいな】芳野みいな。小学二年生。姉のあゆみを捜している。父は芳野建機社長。後に純也と結婚し娘の瀬奈をもうける。
    【三栖良太郎/みす・りょうたろう】常連客。警視庁の刑事。『コーヒーブルース』では係長補佐。三十五歳。『ビタースイートワルツ』では警部。「悪魔のように狡猾」だとか「ゴキブリ並にしぶとい」とか言われてる。『コーヒー~』の半年ほど前に上司の失態のスケープゴートにされたらしい。息子の宏太は別れた妻に引き取られており養育費でいつもピーピーいってる。ダイの両親が伊豆に引っ越したので空き家になった家を借りたのでほぼダイと同居しているかたち。「弓島珈琲」二階の住居スペースにあるファミコンやスーファミで遊ぶことがある。苅田とは少し因縁がある。細いが五人前のミートソーススパゲティを平らげる。下戸のようだ。コーヒーは濁っていればそれでいいというタイプ。あ、ぼくもそうです。《どんな事件でも、自分で動けばなんとかなる。》コーヒーブルースp.266。後に部下だった甲賀芙美と二度目の結婚。娘の良美が生まれた。カラオケでの十八番は沢田研二。《信じられないだろうが、日本中を微笑みで包みたいんだ》スローバラードp.148
    【美園和良/みその・かずよし】→ワリョウ
    【美知子】松木の学生の頃の内縁の妻。今はどうかは不明。
    【南野誠治/みなみの・おさむ】村藤瑠璃のできごとで村藤家に最初に駆けつけた警官。
    【村藤瑠璃/むらふじ・るり】長矩高校で智一の、野球部の先輩(おそらく仁科恭夫)のことが好きだったらしい女子生徒。家族は祖母の遥華(はるか)と母の三人暮らしで父親は離婚して別居。村藤家の傷害事件の後行方不明。
    【裕美子】真吾の妻。茜の妹。娘は結花。姉によく似ていたが元気で活発。話題があっちこっちに飛ぶタイプ。『スローバラード』では弓島珈琲でアルバイトしているようだ。
    【弓島珈琲】ダイの店。実家を改装した。BGMはCDプレイヤーはなくレコードをかける。十時に開店し最初の一曲はブルースと丹下さんが決めている。閉店時間は適当に。コーヒーはサイフォンで淹れる。酒は出さないが常連が持ち込んで呑むのは騒がなければOK。古くからのご近所さんたちが古いものを持ち込んでくるのでそれを修繕して売ったりしている。
    【弓島昭子/ゆみしま・あきこ】ダイの母。夫とともに伊豆に引っ越した。
    【弓島晃次/ゆみしま・こうじ】ダイの父。大学教授だったが『コーヒー・ブルース』じてんでの昨年退官し第二の人生を楽しむために伊豆に引っ越した。
    【弓島大/ゆみしま・だい】→ダイ
    【芳野建機】芳野一慶(かずよし)が創業、現在の社長芳野邦彦(くにひこ)が、あゆみとみいなの父親。妻はのぞみ。建設機械のリースと建築資材の卸などをやっている。若干傾きかけている。
    【芳野みいな】→みいな
    【良美/よしみ】三栖と芙美の娘。
    【吉村武彦/よしむら・たけひこ】ダイが会社員だったときの上司で取締役。有名なグラフィックデザイナー。夏乃の父。
    【レコード】《トーンアームの拾うLPの細かな雑音は、昔ならレコードの溝に埃がついているんだなと気になったが、デジタルデータ全盛の今となっては、その雑音がまるで温かなハミングのようにも聞こえる。》スローバラードp.5
    【若林/わかばやし】カメラマン。
    【ワリョウ】美園和良(みその・かずよし)。ダイたちの旧友。妻は綾香。金沢の豆腐屋「美園豆腐/みそのとうふ」の四代目。学生時代から継ぐと決めておりそれまでは遊びまくるとナンパを繰り返し成功率は高かった。バンドではキーボード担当で才能があった。

  • ダイシリーズ4。
    ヒトシの息子の家出騒ぎ。その同級生宅でおきた傷害事件。

    C0093

  • 毎回年代が飛んでてあれっどうなったの?という気持ちになる。そしてミステリとしては相変わらずご都合主義的な気もするんだけど、なんだかんだでシリーズ化しててキャラがたってる面白さで読めちゃう。

  • <弓島珈琲>シリーズ。



    「モーニング」から始まるダイとその仲間の物語、

    というなら、4作目か。



    大学時代の仲間が年を重ね、

    家族を作り、そして、人生の折り返し地点を過ぎる。



    変わらないものと、変わっていくもの。



    年を重ねてバラバラになっても、

    ダイを中心とした仲間たちの心の繋がりは変わらない。



    変わらないと信じられる、

    その絆の在り方が、うらやましい。



    年を取ることは切ない。



    だが、若い時を共有した「仲間」というものは、

    再び集まれば、すぐに、その時代に

    戻れるのかもしれない。





    五十三歳になった<弓島珈琲>のダイのもとに

    バンド仲間だったヒトシから連絡が入る。



    息子の智一が、書置きを残して、

    家出したのだという。



    心配したダイは、刑事の三栖、純也らと

    智一の行方を探し始めるが、

    同じころ、やはり仲間の淳平の妻に

    ストーカーが。



    ダイたちが秘密にしていた

    過去の事件がよみがえり…。



    切ない「スローバラード」といったら、

    忌野清志郎さんの名曲が思い出されて…。

  • 50代。ついに私の未知の領域。
    変わっていくものと変わらないもの。抱え続けるものと、置いてきたもの。温かい空気に包んで厳しさを見せて、それから、怖がらなくて大丈夫だよと教えてくれる、小路さんの作品。このシリーズも大好き。

    とくにね、察しのいい人が大好物なんです。さらに阿吽の呼吸の仲間達にも目がないんです。ね?どストライク。

  • シリーズ4作目。

    軽めの小路さんの作品の中でも、
    とても小路さんらしいというか
    小路さんの好きな世界観のような気がするシリーズです
    (勝手に思ってます)

    タバコと珈琲とバーボンと音楽、
    今はあまり見られない、あの頃はよくあった
    モクモクの煙の中の大人の世界です。

    メジャーが「東京バンドワゴン」
    マイナーがこっちって感じかな。

    このシリーズは穏やかでもなければ、
    ダイをはじめとする登場人物に清廉潔白さもない。

    なのに共感のようなものを感じてしまう。

    生きてるといろいろとあるよ、
    ってことなのだと思います。

    わりと、物事が都合よく片付くのは御愛嬌ということで。

    作中で「今のこの時代も振り返ると古き良き時代になるんだろうか」
    という言葉がでてきますが
    ほんとだなぁと思います。
    きっと、今の若者が中年になったら
    「古き良き時代」として語っていくのでしょう。


    是非、
    RCサクセションの同タイトルの曲と一緒にご賞味頂きたい。

  • これまでの話を読んでいてよかった。読んでなくても何とかなるかもしれないけど、読んでいるからこそ感じられることもあると
    色々びっくりする展開だった。

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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