- Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408537566
感想・レビュー・書評
-
地味さの中に神聖さ漂う作品。脈々と受け継がれるのは命と心だって納得させられる。科学的とか法的とかの根拠やらエビデンスはもちろん大事。だけど言葉にできないもどかしさや、結び付きを願う気持ちも大事。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
またすっかり読書から離れてしまっていたが、会社の方から頂いたので読み始めた。
その木に祈れば、願いが叶うと言われているクスノキ。パワースポットっとにもなり、昼間は色々な人が訪れる場所になった。
本当のクスノキの力は夜にあるのだが、、、
クスノキ番人を任された青年(直井玲斗)と、クスノキのもとへ祈念に訪れる人々の織りなす物語。
不当な理由で職場を解雇され、その腹いせに罪を犯し逮捕されてしまった玲斗。
送検、基礎を待つ身になったところへ弁護士の接見が。弁護士の依頼人は年配の女性だった。千舟と名乗るその女性は驚くことに伯母であった。あまり褒められた生き方をせず、将来の展望もないと言う玲斗に彼女が命令をする。「あなたにしてもらいたいこと、それはクスノキの番人です」
クスノキの番人になった玲斗。
クスノキの番人とは何か!?
クスノキに祈念する人とは何なのか?
祈念とは!?一体どういうことなのか?
東野圭吾の物語なのに、最初はちっとも東野圭吾らしさを感じられたなかった。
なかなか物語に入りきれずにいたが、そこは東野先生。
後半戦は一気に読み進められた。
クスノキの番人って何なの?
クスノキって何をしてくれるの?
伯母の存在、依頼者、それぞれの物語が交差した時、感動が押し寄せてきた(ToT)
最後は最近いつも涙、涙。
私もおばぁになったってことか。。。 -
事件を起こし警察に逮捕された主人公が、突如名乗り出た叔母に命じられた仕事。
神社に古くから佇むクスノキの番人を。
主人公の生い立ちと家族と叔母との関係。
資産家でもある叔母とその会社とのこと。
クスノキに関連した各々の人間模様。
そして最後は叔母の秘密。
これらが描かれていました。
ファンタジー的要素が強いかな。
強烈な印象は感じなかったけど。
穏やかで温かい作品だと思いました。 -
玲斗がクスノキの番人として、どんどん成長していく様子がよかった。
祈念についての詳細が明らかになるにつれ、祈念者の思いの強さがこちらにも伝わってくるようだった。
こんな神秘的なクスノキが、どこかに本当にありそうな気がしてくる。
-
直井玲斗は、柳澤千舟から、神社とその中のクスノキの管理人の仕事を命じられる。パワースポットとして知られるクスノキには、夜に祈念に訪れる参拝者がおり、その対応も行う。仕事を進める中、クスノキの持つ秘密に近づく中で、玲斗も変わっていく。
クスノキの記念の謎と共に、千舟と行動していくことで、玲斗が成長していく姿が微笑ましい。大人達が甘やかしではなく、玲斗だけでなく、甘やかしでない優しさで、対応していることがよく、世代的には、そっち側だけど、自分はどうだろうと思ってしまった。
大きな事件があるわけではないが、穏やかに人の心が変わっていくのが、ホッとする内容の本でした。 -
東野さんなら、もっとグッとくるように書けるだろうに、ちょっと押し付けがましさを感じてしまった…
でも、家族の絆、温かさを感じられる素敵な話でした。 -
突飛な設定に少々戸惑ってしまったが、最後には心が柔らかくなった。
念か、確かにあるのだろう。
人と人との繋がりは目には見えず、不確かなものだけど、ただ一人で生きていける人はいない、それは確かなこと。命のリレーとはそういうもの。クスノキは静かにそのリレーを見守る存在。とても大きな存在なのだろうと思う。 -
朝、目覚めると警察の留置場の中、罪状は-住居侵入・器物破損・窃盗未遂だ。
玲斗(主人公)は、一年ほど働いていた中古の工作機械を扱うリサイクル業者に忍び込んだのだ。
捕まった後、何者かわからない人物が弁護士を手配し、依頼人の言うことを守るのを条件に釈放されることになった。玲斗の遠縁にあたる親戚の女性だった。
初対面の女性から渡された名刺には『ヤナッツ・コーポレーション 顧問 柳澤千舟』と書いている。
その女性から質問をされた。
『将来の夢は?』
玲斗は『特にないっすねぇ。どんなふうでもいいから、とにかく生きていければいいって感じで』
千舟『わかりました。そういうことなら、私の指示に従ってもらうしかありませんね。ほかの誰でもない、これはあなたしかできないことですし』『あなたにしてもらいたいこと-それはクスノキの番人です」と告げられる。
月郷神社の境内の奥には、小さな神殿もあるが、管理すべき一番の対象は、太古から鎮座する荘厳さと迫力に圧倒されそうなクスノキである。その木には空洞があり、そこで祈ると願い事が叶うらしい。
入れるのは一人だけ、例外はない。
そして祈念するのである。祈念とは何か?
千舟からは、管理を命じられただけ、他は何も教えてくれないなかで、疑問だけが先行する。以上が、この作品の導入部のあらすじです。『クスノキの番人』は、人の死なない小説だとの前評判である。殺人事件はある意味において、ミステリー小説の醍醐味だが今回の作品には犯人捜しやトリックはないのです。
しかし、ミステリー性がないということではない。思考と論理を闘わせることなく、心穏やかにして読める小説。登場人物の生きざまを「後世に託す遺言小説」ではなかろうか。
「祈念」とは何かについては、自然に受けとめればよい。非科学的だと難癖をつける必要もない。四百頁を超える長編なのに、読後感は「もう終わってしまった…。」
実におもしろい! -
母と二人暮らしだった直井玲人は母を亡くし、折角の務め先もクビになり軽はずみな行動で今や警察の留置場で途方に暮れていたが何故だか誰かが請け出してくれた。
交換条件はとある大きなクスノキの番をすべし!
ほかに道も無く渋々ながら番人を引き受けたけど、この楠はタダモノではなかった♪
そして玲人もタダモノに非らず らしい笑
願掛けではなく祈念したり受念したりのとんでもない樹クスノキに纏わる物語なのです。
「ナミヤ雑貨店の奇蹟」系統の、ほのぼのメルヘンの東野作品ですね。玲人がボーっと生きてるぼんやりな若者のようでいて、妙に賢こ過ぎるけど進行上致し方ないですかねえ笑 -
不思議なクスノキと、玲斗さんの人間成長物語。
佐治さんのクスノキに祈念する理由、叔母さま千舟さんの真実、佐治さんの娘優美さんへの恋心などなど興味深く読みました。
ホテル柳澤の経営理念が失われる事なく引き継がれて行くといーですね