水を打つ(下) (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
3.91
  • (37)
  • (92)
  • (41)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 484
感想 : 55
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408550121

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 堂場舜一のスポーツ小説はやっぱり面白い。
    この本は、競泳、メドレーリレーの世界を描いています。
    この本が書かれたのは2010年なのですが、舞台は東京オリンピック。
    読みながらちょっと不思議な感じがしました。
    スポーツを観戦して感動することがしばしばあります。
    一瞬のための努力。
    そこにはすさまじい時間と力が注がれるのだということを思い知らされる。
    感動の陰にあるものを思いつつ観戦したい!と改めて思いました。

  • 水泳は個人競技
    こんなにも繋がりを感じるとは思わず
    心に響くとも違う
    なにかを感じたが言語化できない感情になった

    自分を強くしようと創る『自分』を
    突き詰めて突き詰めた先の世界のお話

    選手目線、コーチ目線、営業目線
    色んな目線で描かれる競泳が面白い

    全ての泳ぐ人の人生が茨の道

  • 堂場さんのスポーツものは、やっぱり最高に面白い♪

    ラスト50~60ページくらいから、物語は一気に加速。一瞬たりとも目が離せなくなり……最後の20ページ前後はもう、息苦しくなる程だった。

    小泉の変容。
    それを受け入れるリレーメンバー。
    そして、決戦。。。

    正直、上巻を読んだ時点ではこれ程までの面白さを期待していなかった。冗長だなぁ…と。

    アスリートの選手生命の短さ、世代交代、水着のレギュレーション問題、傲慢な若者との向き合い方・・・テーマが盛り沢山に詰め込まれ過ぎじゃないか?とも思っていた。

    しかし・・・あの、長く長く、長ぁい上巻と、下巻の前半3分の1があったればこその、ラスト60ページの感動があったのだなぁと、読後の今は思える。


    (上巻が長~く冗長に感じて退屈なもんで)再読したいとは思わないけれど、(きっとしないだろうけど)最っ高に面白いスポーツ小説だったということは、保証できる。

    ★4つ、9ポイント。
    2019.12.11.古。

  • もともと堂場瞬一さんのスポーツ小説のファンなので期待しすぎていたのか、ドキドキ感が物足りない気がしました。

    これはスポーツ小説というよりもスポーツ選手たちの青春小説って感じかな?水泳のレースそのものの描写が弱く、文量も少ないのでイマイチ入り込めず残念。

    小泉選手が変わった理由も、なんか納得できるようなできないような……

    読み終わった後の気持ちよさがなかったです。

  • 面白くてワクワクしながら読めました。

  • 小泉の変化にしろレースの結果にしろ、何となく話の流れは先読みできるんだけど、それでもやっぱりレースのシーンになるとドキドキしながら読んでた。塩素の匂いとこもる湿気、そして水の音。懐かしい。いつかまた泳ぎたいなあ。

  • コーチとなった今岡は小泉とコミュニケーションを何とかとろうとする。
    だが小泉の他を遮断するような態度は変わらない。
    その原因は何か?
    今岡は小泉の過去をたどり始める。
    リレーとは、競泳に限らず陸上競技でも駅伝でも次の人にレースを引き継ぐということが絶対条件だ。
    バトンがない競泳のリレーでは息をあわせないと最高の状態で引き継ぐことは難しい。
    チームがひとつにならないと。
    その思いは今岡を、そして矢沢を動かしていく。
    「FS-1」に翻弄される選手たちこそいい迷惑だろう。
    メーカーにはメーカーの努力が必要で、物語では無能な上司ひとりの責任のように描かれていたが企業ならば二重三重に対策を考えておくべきでは?と思った。
    熾烈な企業競争は仕方のないことかもしれないが、競技者である選手が巻き込まれるようなことは二度とあってはならないと感じた。
    終盤に用意されていたオリンピックの本番。
    やり直しはきかない一発勝負のメドレーリレー決勝。
    すべてはこの感動のために長い物語があったのだと納得できるラストだった。
    チームとはどんなものなのか?
    ひとりひとりの選手に求められているものは何なのか?
    それぞれの登場人物の描き方が丁寧で物語に深みを与えていた。
    堂場さんの描くスポーツの世界は本当に素晴らしい。

  • 不許可となった高速水着メーカーの内紛。
    各選手の体調、精神面の悩み。
    現役引退したコーチの苦悩。
    そして何よりひたすら自分のうちに閉じこもる天才スイマー。
    様々な問題がもつれ合いながら、重層的にクライマックスのメドレーリレーへと集約する。
    結果はあらかじめ想定内とはいえ、やはり読み手の心を熱くする。著者の持つ筆力のなせる業(わざ)か。

  • ネタバレになるのであまり書けないのですが、ほぼ予想通りに展開します。
    小泉くんがなぜあんな振る舞いをするのか。
    このなぞが解かれます。
    孤高のエースと言えばかっこいいけど。

    今岡の奥さん、矢沢の彼女のいずれもが、相手を物凄く思いやる姿勢、それも自然な形で。
    素敵だなぁと思った。
    スポーツマンなのに中学生みたいなところが子供っぽくてカッコ悪いが、一気に雪融けするとこなんかも男だなぁと笑えた。

  • 水着の認可の行方・選手からコーチへの転進・各選手達の調整・小泉に何があったのか、そしてオリンピックの結果までずっとヤキモキしました。競泳は純然たる個人競技であるのに、そのタイムの良い者だけを集めてリレーのメンバーを選んでも足し算の様には簡単にいかないもどかしさにはハラハラしました。…つまり、最後、良かった。これでオリンピック応援のウォーミングアップできた。がんばれニッポン!

全55件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

堂場瞬一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×