文化大革命 下巻: 人民の歴史 1962-1976

  • 人文書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409510834

作品紹介・あらすじ

人びとはあの時代をどう生き抜いたのか?
軍の介入、闇経済、林彪事件、四人組裁判、そして第一次天安門事件へ――
中国共産党の権力闘争の内幕と人民生活への影響を余すところなく描き出す! 

優れたノンフィクションにおくられるサミュエル・ジョンソン賞受賞の著者が、綿密な聞き取りと圧倒的な史料をもちいて文革の悲惨な歴史を明らかにする!本書はディケーターの毛沢東三部作の一冊にあたる。
(上下巻二分冊)

感想・レビュー・書評

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  • 小説「三体」を読んで近代にこんなに近い国で起こったこんなにも大きな出来事をよく知らなかったままでいたことを反省して中野中央図書館で借りた。
    圧倒的ボリューム。信じられない史実。

  • 文化大革命はとんでもないの一言で、二度と繰り返すことがあってはならないし、このようなことを生み出す政治体制も大いに問題で、従って中国共産党は撲滅しなければならない。
    ところで、文化大革命とは無関係ではあるが、69年に中ソの小競り合いがあり、米中ソで複雑な関係に陥ったとの記述がある。その後アメリカは中国に接近して国交を樹立し、ソ連は崩壊して現在に至るのであるが、中国がこれほどまでに弱体化していたことを考えれば、この時のアメリカの判断は致命的な誤りであったといえるのではないか。

  • 文化大革命を庶民の視点を中心につづった本。知っているようで知らない歴史がわかる。いまやあり得ないと思うようなことがつい50年前にあった。

  • 文革でなにが起こっていたのかを詳細に教えてくれる重要な本と言えるだろう。
    林彪事件の後、4人組が倒れ、毛沢東が健康を悪くしてゆく中で農村ではしたたかでエネルギーのある農民たちが活気を取り戻してきたことなどの部分もおもしろい。
    独裁を言い換えた「共産主義」の恐ろしさ、愚かさ、必滅の道が分かる。

  • 上下巻通読。文献など広範に取材した文章は読み易く、因果関係の整理も適確で、文革の推移を知るのに最適。10年近く、凄まじい嵐が何度となく押し寄せる展開で、毛沢東晩年とその死において、ようやく潮流が変わり、終焉に向かう様は、一読者ながらほっとするほど。権力闘争を背景にした、大煽動と批判と暴力の連鎖、エスカレートする個人崇拝と残虐行為。スイッチ1つで人間の醜さが曝け出され、平穏な生活が根拠を伴わない理由で滅茶苦茶になる恐ろしさは史上稀で、人類全体に対する警告でもある。殊にメディアの飛躍的な発達で煽動が容易になった今、文革を知る意義は大きいと言えるかもしれない。

  • 『毛沢東の大飢饉』とは打って変わった装丁で、上下二分冊。シリーズものなら同じような装丁にすればよいと思うが、何かあったのだろうか。
    上巻の初めの方に年表があり、あちこちに話が飛んでわかりにくい時系列がすっきりわかってよい。
    下巻の最後に解説があり、頭が整理できる。『文化大革命を発動した毛沢東の目論見が、民衆一人ひとりの抵抗と創意工夫が引き起こす「静かなる革命」によって覆される』というメインストリー。共産党内部の激しい権力闘争と目まぐるしい政策の変更、それに翻弄される中国の民衆が描かれている。中国の戦後史についてほとんど知識のない私にとっては、大変勉強になる一冊だった。
    毛沢東といい、ポルポトといい、知識層を妙に敵視した結果、あまりに無謀な政策を実施し、悲惨な結果をもたらした。情報に乏しいためはっきりしないが、北朝鮮も同じではないかと思われる。リアルタイムでこうした実態がわかっていれば、西側諸国ももう少しやりようがあったようにも思った。ただ、これは後知恵で、今日では大幅に減ったが、日本でも1960年代までは公害やら大きな水害やら労働災害が多々起きていたことを考えると、あまり偉そうなことはいえないかもしれない。いずれにせよ、毛沢東が死んだのは、中国の人にとって、共産党員にとっても幸いだった。

  • 東2法経図・6F開架:222.07A/D73b/2/K

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著者プロフィール

フランク・ディケーター 香港大学人文学院講座教授。檔案館(党公文書館)資料を利用した研究の先駆者で、名著『The Discourse of Race in Modern China』(1992)、サミュエル・ ジョンソン賞受賞作『Mao’s Great Famine』(2010)(『毛沢東の大飢饉』(2011年,草思社))、最新著書『The Tragedy of Liberation』(2013) をはじめとする10冊の著書は、歴史学者の中国に対する見方や認識を変えた。

「2020年 『文化大革命 下巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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