「ズルさ」のすすめ (青春新書インテリジェンス)

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感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413044400

感想・レビュー・書評

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  • 2015/2/5読了。

  • 2015/2/1

  • 処世術を超えた大人入門書。塀の内側にいた筆者の言葉は切実だし一切の脚色がない。元外務省時代の一進一退を迫られる局面の数々、生き残りをかけた戦を乗り越えた筆者だからこそ。賢人の言葉や外国文化・思想の引用も適材適所でわかり易く合点がいく。自己啓発によくある偽善的押し付けがましさはない。大人が遭遇する様々なシチュエーションに納得できる理由つきで明朗完結に回答している。ズルさ=狡猾ではない。明日を生き抜き、本当に大切な人生を楽しむ為の盾であり武器である。時には戦わず逃げること。がむしゃらに走らず、時機を待つこと。鵜呑みにせず、疑ってみること。
    自分と他者との違いが消化不良を起こしているのがストレス。違い=他者の世界を知った上で、受け止めたり、かわしたりできる、そんな靭やかで広げ心をもちたいなあ。
    もっと本読まなきゃ(*^^*)

  • 読みやすく、紹介されている本もいくつか読もうと思った。

  • 佐藤優は多作の作家になった。

    同じような本を書いているから、自然と同じような話が多くなる。ロシア大使館時代の話は繰り返し聞いた気がするし、人生のノウハウも、なんというか焼き直し感が強くなってきた。そうした中でも「疑似問題」とか「賢者の孤独」とか、新しい発見を与えてくれる部分はまだある。

    おそらく、彼の文章を通じてその場ではわかったつもりになるより、彼が読んだ本から学ぶ方がいいのだろう。ということで、この本の中で紹介されている本をいくつか読んでみることにした。Kindle化されている本はとりあえずサンプルダウンロードして、それ以外は図書館で予約してみる。時代の警鐘を鳴らしてきた彼はどんな本を読んでいるのか、しばらく、楽しんでみたい。

  • 悪い本ではない。数々の修羅場を乗り越えた佐藤氏らしい洞察に溢れている。
    その上で言うと、前作『人に嫌われない極意』といい、本作といい、最近の佐藤優は斎藤孝並みに自己啓発本に毛が生えたような軽い内容の本を量産するようになったな、というのが正直な感想。
    本文中で例として「特定秘密保護法は天下の悪法だ」とあげつらうくらいなら、同法を分析・批判する書物を書けばいいのではないか。やはり佐藤氏の本領は政治にあると思うので、そちらの方面を主軸にした方がいいと思う。何やらきな臭くなっている現代日本においては、佐藤のように「基本は保守だが左翼的言説を理解し、バランスよく考える」人は貴重である。

  • ・「人と比べない」、トップを目指さない生き方を受け容れる。
    ・「問題から目をそむけない」、問題をノートに書きだして整理する
    ・「頭で考えない」、直感を大事にする=理解できないものがあることを知る。「知恵あるものの最高の喜びは、知る売ることを知ろうと努力し尽くし、知りえないことを静かに敬うことである」
    ・「時間に追われない」、無駄な時間を認識する
    ・飲んだ時に真面目な話をしない、けんかしない
    ・失言しない、偏見を持たない。教養を身につける=柔らかい思考。様々な国家、人種、職業の人たちの考え方と生活を受け容れる偏りのなさ、そして、それらを理解するやわらかさ。それがあるからこそ、この世界の多様な存在とリアリティをありのままに受け入れられる。
    ・約束を破らない、遅刻しない、相手の時間をリスペクトする。
    ・恩を仇で返さない、倍返ししない。「復讐は人間がするのではなく、神がするもの」

  • 心に残ったコメントをいくつか記載しておきたい。
    ・オフィスに社員が集まるというのは、競争心をあおるという点だけでも意味がある。本来善なる人間が社会や組織に属すると、競争心や功名心があおられ、他人より優越したいという欲望や支配欲・権力欲が生じる。
    ・若いうちは他人と比較してもっとがんばろう、ライバルに負けないように勉強しようなどと切磋琢磨することは必要。
    ・人間というのは、現実を目にしながら、どこか自分で自分なりのストーリーをつくるもの。そして、そのストーリーの方を現実だと認識する動物。
    ・小さな火花も荒野を焼き尽くす
    ・人間は大きな問題、重大な問題に直面するほど楽観主義に陥る。
    ・直観を頼るべし。ここでいう直観とは、たくさんの経験値と論理的な思考を経た上で、その蓄積によって途中の論理的な検証を飛び越え、一気に結論を導くことができる力。
    ・何もしない時間を大切にする。
    ・ロジックとレトリックを駆使する。敵を作らない。
    ・組織とは個人の価値観や正義感を超えた論理で動くもの。そこで働いている以上、その論理にある程度は巻かれる覚悟が必要。
    ・組織の中においては旗幟を鮮明にせず、両者を立てるということも必要なことがある。
    ・約束は二重構造になっている。小さな約束事があって、それらを包み込むように大きな約束事がある。

  • ちょっと賢く生きてこうよと、人生の知恵を優しく教えてくれる本。大切なことはやっぱ身近の人間関係にあると。人と比べない、問題から目をそむけない、頭で考えない、時間に追われない、酒に飲まれない、失言しない、約束を破らない、恩を仇で返さない、嫌われることを恐れない、人を見た目で判断しない、上下関係を軽んじないの11章。
    若いうちは必死で競争し、出世のラインから外れてもそこそこの立場で仕事できるなら60まで会社で働き続けて、同時に別のライフプランを明確に築く。自分を見失わず、上手に負けること。重大な問題ほど目を背けがち、後回しにするな。積極的に人生や仕事に取り組み、対象に真摯に向き合うことで直観力が生まれる。などなど。

  • ヒートリーというロシア語、チェコ語は、日本語の狡猾、老獪という語感に加え、賢いというポジティブな意味を含むのだそうだ。本著は、その意味でのズルさ、世渡りの術を教えてくれる、佐藤優による啓発書である。ただの啓発書だ。しかし、冒頭の一文が優しい。もし、読者が自分の後輩であったなら、飲み屋で教えたい内容。

    そう、大切な事は、同じ質感の本意を、受け手に優しく伝える事なのだ。本著は、それを著者自らが表現する事で教えてくれる。まさに、飲み屋で指導をうけるような温かさだ。その観点から、新入社員への考察、リクルート活動で承認欲求ぐズタボロという気付きにも驚かされる。まさに、その通りだからだ。昇格が上手くいかなかった人への励ましもある。本著は、啓発書だが、頑張れ頑張れと、無理を強いて、競争に勝ち抜く事を勧めているわけではない。

    時間がなく、心が傷ついた人にオススメ。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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