タヌキ学入門: かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔
- 誠文堂新光社 (2016年1月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784416115473
作品紹介・あらすじ
なぜ「化かす」と思われていた?
ポンポコはどこからきている?
津波後の海岸にヒトより早く戻ってきたって本当?
野生動物とうまく共存していくために知っておきたい
長い間人のそばで生きてきたタヌキの真実
昔話でもおなじみ、古くから人とともに行きてきたタヌキは、現代人にとっても最も身近な野生の哺乳類である。
東京23区すべてに生息が確認されているほど、都会でもたくましく生きる野生動物だが、その生態はほとんど知られていない。
そのわりに、昔から化かす動物と思われていたり、タヌキおやじなど抜け目ない生き物の代表として使われたりと、さまざまなイメージがついてまわるふしぎな動物でもある。
そこで、生態等の基礎知識を紹介しながら、そんなタヌキのイメージをじっくりひもといていくのが本書である。
どこに住んでなにを食べているのか、どうして化かすと思われたのか、本当に腹鼓を打つのかなどを、野生動物の専門家がひとつひとつわかりやすく解説する。
タヌキのたくまくしさは都会ばかりではなく、東日本大震災の被災地でも確認された。
街も植物も流された仙台海岸に人間よりも早くタヌキが戻ってきていたのである。
本書ではそんな最新事情まで知ることが出来る。
感想・レビュー・書評
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我が家の猫がタヌキに似ている···という、わりとしょうもない理由で読み始めたのですが、おもしろかったです。
タヌキの糞の組成からタヌキが植物の種を運ぶ役割を考察したり、東日本大震災の被災地に戻ってきたタヌキに回復の兆しを見たり、と生態に関する話題も興味深かったですが、人間がタヌキに対して抱いているイメージについて書かれているのもおもしろかったです。
タヌキというと、おっとりとしたイメージもある反面、「タヌキおやじ」なんて言葉もありますが、なぜそんなイメージが生まれたのかをタヌキの見た目や行動から考察しています。
ちょっと無理矢理かも···と思う部分も少しだけあるけれど、生物学者がタヌキ像を掘り下げていくのは新鮮でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
電子ブックへのリンク:https://kinoden.kinokuniya.co.jp/hokudai/bookdetail/p/KP00057077
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たぬきの生態だけでなく、どこからまぬけや狸親父などのイメージがくるのか、そして災害についても触れていた。とても興味深く読むことができた。
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父からもらった
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日本人なら誰もが知っているタヌキという動物に生物学だけでなく多方面から考察された本です。知っているようで全く知らなかったタヌキについて知ることができました。
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タヌキと言うと人をたぶらかす、カチカチ山でウサギに一泡ふかされるといったイメージがある。しかしそれは人間が作り出したイメージで、もしタヌキが人なら、「そういうのを印象操作と言うんですよ」、「レッテル張りはやめてください」とどこかの誰かのように言いたくなるだろうなあ。
タヌキはポンポコポンと腹包みをたたいたり、ドロンと化けたりはしない。タヌキのおっとりしたイメージについて、ふっくらした体形からそのように思われていると著者は述べている。秋になるとおいしい果実類をたくさん食べるのでタヌキ山関に変身する。
タヌキが食べているものをフンから調査すると、植物の種子、葉、昆虫が多いという結果が出ている。そして、輪ゴム、ゴム手袋の一部と言った人工物も冬を中心に目につくとある。タヌキにとっては身の回りに存在しないものだけに、区別がつかないのも無理はない。きっと人間に化かされた気分だろう。
タヌキに関するQ&Aでは様々な質問が出ている。タヌキはタヌキ寝入りをするのかという質問に対して、タヌキは捕まると動かなくなることがよくあるそうだ。
タヌキ学ってあるんですか?どの学部に行けば学べますか?という質問に対して、タヌキ学という独立したものはなく、あるとすれば野生動物学という名の研究室を勧めている。インターネット等で良く調べた方がいいと述べている。
モクモク羊としては、大学よりも実社会に行けば「タヌキ学」を勉強することが出来ると思う。特に霞が関や永田町の何とか党本部や秘書はお勧めか。のらりくらりと答弁をはぐらかせて何とか庁の長官になったり、「このハ○~」で一世を風靡したり、一癖も二癖もある「タヌキ」が多く生息している世界なので「タヌキウォッチング」に最適なところだ。 -
タヌキについての基本的な解説から最新の研究まで、タヌキの研究をしている方が教えてくれます。タヌキもやっぱり可愛い。
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なぜか昔からタヌキが大好き…愛すべきタヌキの本、見つけてすぐに読み耽った
タヌキの生態のみならず、オオカミなどのほかの動物、タヌキの周りの植物なども教えてくれる。
タヌキ、ユニークな存在だ。
「科」は市、「属」は町など分類を住所にたとえて頂けたのも大変頭がスッキリした。
そして何よりも、人間による自然破壊や自然を顧みない姿勢に憤りを感じ、深く考えさせられた。
震災後、逞しく戻ってきてくれた植物やタヌキたちが、人間のための工事により再び立ち退きを余儀なくされたと知り、愕然とした。
自然の生命力、回復力を無視して破壊することが果たして復興と言えるのでしょうか?
キツネや野ウサギのように人間社会の発展によって姿を消して行く動物もいる中で、たくましく都市にまで順応し、付いてきてくれた野生動物がタヌキだ。
家のそばで彼らの姿を見るとホッとするのは、ここにはまだ彼らの好む環境があるという自然に対しての安心感かもしれない。
もし、居なくなってしまったら…寂しいだけでは済まないのかもしれない。 -
動物学的視点から文化的、分類学、形態学、生態学の方向からも幅広く紹介し、タヌキを全体的に知ることができます。
専門的な深い知識を得るというより、タヌキってそうなんだぁ、と身近な生き物について知るきっかけとなるような本です。文字通り入門書。