対人関係療法でなおす トラウマ・PTSD:問題と障害の正しい理解から対処法、接し方のポイントまで
- 創元社 (2011年2月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784422114651
作品紹介・あらすじ
ふつうの「傷つき」とは異なるトラウマがあなたにもたらす苦しみ-今度こそ自由になるための向き合い方・受け止め方。
感想・レビュー・書評
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「トラウマ」という言葉を使うこと自体が、「被害者」の轍に拘泥され、一生抜け出せないような気がして今まで手に取らずに来たが、水島さんのとても丁寧で分かりやすい説明で光が見えた気がする。
PTSD,とくに主に親の虐待に由来する複雑性PTSDの症状に関しては、感覚的で言語化することが難しいものについて、「これです!」と溜飲が下がる解説がいくつもなされ、読んでよかった良著だ。
私は、心に大きな傷を負い、助けてくれる人、理解してくれる人もなかなか見つからないなか、他人の顔色を読むことで生き延びてきたと思う。
この人ならば分かってくれるかもという人に打ち明けても、傷を深めるだけで、孤立はさらに悪化。一人で抱え込み、仕舞には自分の感覚や記憶すら疑い、無力感と絶望感だけが残った。
親もきょうだいも精神疾患と発達・パーソナリティの問題を抱えて長年、私は振り回され、身元引受のような立場を担ってきた。
怒りや攻撃のターゲットにされる役割を私はもう返上しようと思う。
過去の出来事や傷はなくなることはないけれども、被害者という立場から離れ、自分の感覚に耳を傾け、小さなことでも自分の判断や選択を大事にするということの心地よさを少しずつ味わい始めている。
身近な家族や知人、専門家の力を借りながら、フラッシュバックや体の苦痛とも上手く付き合い、改善していけたらなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
トラウマを抱えることで独特の発想や防衛反応があることから、本人と周囲の人との通常の会話にずれが生じていって人間関係が壊れていくさまが手に取るように書かれている。このような視点からトラウマの怖さと困難を鮮やかに書き出している本はほかに類をみないと思う。著者はほかにもトラウマPTSDの本を書かれているが、人間関係の維持の困難さという視点ではこの本が一番秀逸だと思う。
トラウマといえば覚醒亢進症状などに目が行きがちだけども、本人の支援という点では、こうしたトラウマ独特の反応(思考の在り方)によって人間関係の維持ができなくなっていくということが本当に怖いことだと思う。 -
とても現実的でわかり易い本
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すごく参考になった一冊で、トラウマ反応で対人関係に起こりうる問題からのアプローチが詳しく書いてあるので、当事者にも支援者にも読んで欲しい一冊。
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私にトラウマはなかった
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著書の中で紹介されていた「医学モデル」について、トラウマと向き合う心得のようなものを感じました。
≪医学モデル≫
その人がかかえている問題は、治療可能な病気の症状だとみなす考え方。
「病者の役割」とセット。
病気の症状には責任を負わない代わりに、自分の病気を認め、治療を受ける義務が生じる。
自分のトラウマが、風邪なのか喘息なのか…それによって治療方法が変わってくると思います。
本来の自分自身の生きるエネルギーを取り戻す作業が治療となります。
もしかしたら、自分でもいやだなぁ~って感じる自分。いつも堂々巡りで同じことで失敗していたりする事があるとしたら。。。
もしかしたら、それはトラウマなのかもしれません。
健全な状態になるために、そういう観点から自分の感情を観察してみるのもいいかもしれないと思いました。