石が書く

  • 創元社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422440361

作品紹介・あらすじ

風景石、瑪瑙、セプタリア(亀甲石)など、特異な模様をもつ石。それらは人の想像力にどう働きかけてきたのか。石の断面の模様と、抽象芸術作品が交わる地点はあるのか。聖なるもの、遊び、神話、詩学、夢といったテーマを縦横に論じてきたカイヨワが、自らの石コレクションをもとに、「石の美は、普遍的な美の存在を示している」と論じた、他に例を見ない論考。1975年に新潮社から翻訳が刊行されながら、長らく日本語では入手困難であった美しい名著を、新たな翻訳で刊行。

感想・レビュー・書評

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  • 祝新訳!

    「レイコの部屋」傑作選 vs.山田英春さんの巻(装丁家) : Web東京創元社マガジン
    http://www.webmysteries.jp/lounge/reiko-1706.html

    《 石のエクリチュール 》 – RAM Association
    http://geidai-ram.jp/project/5263/

    書籍詳細 - 石が書く - 創元社
    https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4422

  • 原書をわざわざ取り寄せてしおおせてから仏語を学び、プチロワイヤル仏和辞典で絶望的翻訳にあたったことを思い出す。カイヨワ批評テキストを高峰になぞらえるならば、プチロワイヤルをのみ携えて挑みかかるはスリッパに等しい無力。ちゃんと靴を履かないといけない。滑落する。
    と、いうわけで本書に新しく拓かれた訳業=順路は、カイヨワ山を登ろうと志す者にとり非常に心強いに違いない。私も、白水社仏和大辞典(スノーシュー?)を手にしてなお原書を読了できていないから、いつか潔く原書主義を廃して本書を買ってしまうかもしれない。

  • 2022/10/13
    学生時代に本屋さんで眺めてはいたものの手が出せないままいつしか見かけなくなっていた本書。
    約半世紀ぶりに新版が出たということで図書館で一番のりで借りてきた。
    当時もカイヨワの名前で手に取った本ではあるものの、文章と並行してしまうとどうしても先入観が入ってしまうので、まずは写真だけを、石の名前も視点を固定してしまうので、それも見ないようにして最後まで眺めた。
    様々な石の断面写真をじっくりと楽しんでから、改めてカイヨワの説明と一緒に。
    中には人間が手を加えたものもあり、石の模様を背景に絵を書き足した西洋のものにはかなり違和感を感じてしまう(何をどのように見るかという違いだろうけれど「木を見る西洋人 森を見る東洋人」を思い出してしまった)
    一方でカイヨワが「愛好家をたぶらかすため」との表現を用いた顔料による着色の可能性のある中国の石については決して変な感じはしなかった。
    そのままでは見ることができないため、石を割り断面を磨くという行為自体が人間が行う視点の変更であるのならば、人間の視覚では見分けられない構造の違いを着色によって浮き立たせるのはその視点変更の延長ともいえるのではないかなと感じた。
    カイヨワはただの自然の造形美だけではなく石としての価値をも意識しているのかもしれないが。
    カイヨワ自身石のコレクターであるらしく、写真は彼のコレクションからの抜粋とのことだが、芸術・美学論と共に石について語る彼は静かな口調ではあるがやはりかなり雄弁という印象。
    ただその詳しい説明は、その石を見る視点の固定化というか見方を限定してしまうような感じがして軽く読み飛ばしていると、終盤ではその説明がないととても自然のものとは信じられないような写真(最初は当然手が加わったものだと思っていた)に出くわす。
    最後になってカイヨワにしてやられたという感じ…なんかほくそ笑んでいるような…。

  • ひんやりとして滑らかな石の肌を、くちびるでなぞる感覚がいつまでもずっとついてくる。カイヨワはここに人工物と自然との和解を見出そうとしているのだけど、私の中には解けない疑問が残る。なめ石の温度と感触と同じく、そこにあって、これからもずっと感じ続ける気がする。
    1)自然のこしらえものは、人が見なくてもそこにあって、かつ人の想像を超えるうつくしさを持つ。受粉や種子散布という戦略のために甘い蜜や綺麗な果実をもつ植物もあるが、瑪瑙の縞目に目的はないだろう。それではその文様は、色は、なぜうつくしいのか?
    →これに関しては、その意図しない偶然の要素が生んだ自然物をうつくしいと感じる鑑賞者の目の側のマターなので、これこそがカイヨワの感じていたことなのかもしれないが。
    2)うつくしい鉱物は、博物館に展示されている状態が果たして「自然」か?
    →自然ではない。しかし、無人の森の中で木が倒れたら、音はしない。そうなんだけど、でもね。

  • 買おうか迷ってとりあえず図書館で借りてみた。
    文学者による推し石エッセイ的な。
    薄さの割にお値段…!という残念な第一印象。
    すみません、著者の方は全然知らなくてメノウ他石コレクターのブックデザイナー山田英春さん経由で知ったもので、思い入れがさほどない分結構そこが悩みどころだったり-!
    うーん、石の写真だけ目当てなら山田さんの不思議で奇麗な石の本シリーズ3冊ぽんと買っちゃう方が…ねぇ。
    普段本を全く読まない人には取っつきづらい文章だと思います。
    繊細な文学表現がはまる人にはお勧め。
    風景石にちょっと描き足してあるのは鉱物コレクター界隈ではなかなか見ないので、おもしろかったです。

  • 石の美に普遍の美を見い出す。
    それは「達成されたもの」である。

    人は自然を越えられない。
    けれど、人は自然と共作できる。

    切り出して額に入れて署名をする。
    それだけでいい。

    隣接ではなく、対角線を発見する。
    カイヨワ

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50303602

  • 読了日 2022/12/3

    図書館で見かけたので、図だけざっとみた。
    「洞窟の入口」あばら屋石(トスカーナ)、がいちばんいいなと思った 俺も同じタイトルつけた

  • なんか鉱物が好きで、買ってみた。

    自然が生み出した鉱物、石の不思議な模様からいろいろな見立て、妄想を展開していく本かな?

    なんだか、子供みたいな感性の人なんだな。

    石の写真が美しくて、欲しくなるが、いやいやこれは沼だ、この本で我慢するようにしよう。

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著者プロフィール

(Roger Caillois)
1913年、フランスのマルヌ県ランスに生まれる。エコール・ノルマルを卒業後アンドレ・ブルトンと出会い、シュルレアリスム運動に参加するが数年にして訣別。38年バタイユ、レリスらと「社会学研究会」を結成。39–44年文化使節としてアルゼンチンへ渡り『レットル・フランセーズ』を創刊。48年ユネスコにはいり、52年から《対角線の諸科学》つまり哲学的人文科学的学際にささげた国際雑誌『ディオゲネス』を刊行し編集長をつとめた。71年よりアカデミー・フランセーズ会員。78年に死去。思索の大胆さが古典的な形式に支えられたその多くの著作は、詩から鉱物学、美学から動物学、神学から民俗学と多岐にわたる。邦訳に、『戦争論』、『幻想のさなかに』(以上、法政大学出版局刊)『遊びと人間』、『蛸』、『文学の思い上り』、『石が書く』など多数。

「2018年 『アルペイオスの流れ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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