- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784426120276
感想・レビュー・書評
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百人一首
学生時代に
触れたことはあったけれど
この年齢になって
改めて
一つ一つの背景や意味と一緒に
知ることで
より美しさを感じる
言葉選びのセンスが素晴らしい
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手許に講談社学術文庫の有吉保「百人一首」がある。文庫サイズで500ページ弱。現代語訳、語釈、出典、鑑賞、作者、古注、解説、と大抵の痒いところに手が届く一冊だ。
一方今回読んだ「日本のたしなみ帖」シリーズのこちら「百人一首」。正方形にやや近い変形A5判。表紙や紙面構成も洒落ていて、1首につき1ページ、最低限必要な情報(歌人や典拠歌集、歌意や鑑賞ポイント、語釈)もコンパクトにまとめられている。
深く学ぶときには前者くらいは読み込んでいきたいところなのかもしれない。尤も私も講談社学術文庫版を先に手に入れていたが、どのくらい読み込んだのかと問われれば、気に入った歌に関してはじっくり読んだ、程度。じっくり読んでも知識が足らずよくわからないなぁと流してしまった箇所もある。そこまで興味のない歌であれば読み飛ばしたと言っていい。
「日本のたしなみ帖」は日本の魅力を世界に対して発信していこう、そのために日本人自身が日本独特の伝統をよく理解しよう、というコンセプトでまとめられたシリーズらしい。
百人一首の魅力を海外のひとびとに伝えたくなるためにはまず日本人が百人一首は魅力的である、と知らなければどうしようもない。
だから、概要をつかみやすいように、わかりやすく興味をひきやすいように、カジュアルでデザイン性もあるとっつきやすさが前面に出されているのだろう。持ち歩いて電車のなかで読むにしても、何となく可愛くて広げやすい。
解説も難しくはない。和歌の基本用語として「枕詞」「縁語」「本歌取り」といった技巧も巻頭でざっくり説明されている。1首1ページなので隙間時間にちょこっと読むことができる。背筋を伸ばしてじっくりと落ち着いて学ぼう、という特別感がないのがむしろ長所だ。日常に違和感なく取り入れられる。
いいシリーズだと思う。
(もちろん緊張感や特別感に身を引き締めながら学ぶ本はそれはそれで価値がある)
中学や高校時代、暗記の試験や古文文法で悩まされていた頃をいったん忘れて、この本のページを繰ると、当時とは違った視点で楽しめる。格段に理解もできる。いやまぁ当時と較べるなよって話でもあるけれど。
おしゃれな装丁だというだけで何だかもののあはれとかいとをかしとか、そういった言葉を体感できるような気分にさせてくれる。
こういう古典体験もいいものだ。 -
百人一首。映画やゲーム、クイズ番組などで扱われているのをよく見かけます。私は小さい頃にかるたで坊主めくりをして遊んだり、学生の時には友達と競うようにして覚えたりしたのですが、今ではさっぱり……。知識があればもっと楽しめるのでは、と感じて、本書を手に取ってみました。
一首につき説明が1ページでまとまっているのでとても読みやすいです。歌の意味は簡潔に添えてあり、ちょっとした背景や考察、文法や語句の説明も難しくありません。「この歌ってどんな歌?」という疑問にサラッと答えてくれます。
目次で知ってる和歌を選んで読もう、と思っていたのですが、気づいたらすべてに目を通していました。テンポがよく、区切りもつけやすいので、気軽に読める本です。
あっこの歌なんだったかな、と思ったときに、インターネットで調べるよりもこの一冊を開く方が、なんだか情緒がありますね。何度も読めば、次第に覚えなおすこともできるやも……? 手元に置くべく、本屋さんに探しに行こうかな。
図書館スタッフ(学園前):けんじ
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帝塚山大学図書館OPAC
http://lib.tezukayama-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=1&category-mgz=1&materialid=2110029183 -
百人一首関連の本にはイラストや写真が満載のものも多いが、本書は現代語訳と簡単な解説だけのシンプルな作りなのが気に入って購入。情報が少ない分、歌そのものを味わいやすくてよいと思う。また、解説も適度な量で、初心者にはちょうどよかった。ただ、外国人に日本文化を紹介しようというコンセプトのシリーズのようで、最初と最後に英語の文章が付いていたが、それが本全体の中で浮いてしまっている気がした。