- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784426125653
作品紹介・あらすじ
(まえがき抜粋)
人は働かなくては生きていくことはできない。資本主義社会においては、巨額の資産(土地、株式など)を持って、地代や配当だけで生活するのに十分な不労所得を得ている人を除いては、すべての人が働いている。20年くらい前までは、かつてのバブル経済のような好景気が来ることはないが、真面目に働いていれば、現在の生活も、将来の展望もなんとかなるという見通しが立ったが、令和になった現在の状況はそう甘くない。(中略)<ニッセイ基礎研究所は、サラリーマンと専業主婦の2人世帯で老後に自由に使える収入が公的年金のみのケースを想定して試算した。
65歳で退職して年金を受給し、生涯で資産がなくなるリスクがほぼない前提での試算。現役時代と同じ生活水準を保とうとすれば、年収300万円未満の世帯で1800万円、1200万円以上の世帯で7700万円など、年収が増えるごとに必要額も大きく膨らむ>(6月11日「朝日新聞デジタル」)。
他のシンクタンクのデータでも1500万円以上が必要になる。もはや自助努力で解決できないくらい事態は深刻になっている。金融庁報告書を感情的に非難するのではなく、大幅な消費増税も視野に入れた、高負担・高福祉に年金を含む社会保障の構造を転換するシナリオも検討すべきだと思う。
本書の目的は、われわれ1人1人を取り巻く働き方をめぐる問題を現実的にとらえ、解決の方策を見出す視座を育成することだ。
感想・レビュー・書評
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『最強の働き方』佐藤 優 著
具体性 ☆☆☆
示唆 ☆☆☆☆☆
著者意見 ☆☆☆☆☆
統計引用 ☆☆
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【本書の目的】
著書には「働き方をめぐる問題がなにか?解決するアプローチの視点はどのようなものか?」と記述しています。
読者の多くは、タイトルの「最強の働き方」とはなにか?の答えを期待して手に取ることでしょう。
しかしながら、著書では「ずばり、これが答えです」という明確な記述はありません。変化の時代に対応する働き方とは?の視座を養う位置づけです。
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【働き方の前に資本主義を理解すること】
著者は、資本主義を理解することの重要性を説いています。なぜならば、この基本を理解することで「労働とは何なのか?」を解釈しやすくなるからです。
資本主義とは、資本家が労働者に賃金を支払い、労働を商品化することです。資本家は、商品を販売することで利益を獲得します。したがって、労働者が受領する賃金は、商品価格よりも必然的に小さくなります。これが資本主義の基本的な構造です。
著書では、「資本主義とは、資本家が労働者から合法的に搾取すること」と記述しています。資本主義では、労働者側の自己実現は存在しません。存在するのは、資本家の自己実現のみです。この前提を理解することが重要です。
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【職業の選択を誤ってはいけない】
AIの登場によって労働の価値が低下する領域が確実に増えてくると記述しています。労働者側は、その未来を理解したうえで、価値が低下する領域と価値が低下しづらい領域を思考することが重要です。
著書では、会計士と税理士を比較しています。結論は、税理士はAI時代でも価値が低下しづらい領域ということです。理由は、個人、法人ともに必ず税務申告をすること、法人においては定期的に税務調査が入り、対応する必要があるからです。この領域は「AI」が対応することは不可能です。人間が実施する領域です。
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【訪れるリスクに備える】
高齢化社会では、親の介護にかかる問題が発生する確率が高くなります。具体的には、介護にかかる費用(子供側の負担)です。一般的に、親一人あたり500から600万円と言われています。著書では、こうした状況を鑑みて、貯蓄がある場合でも、「介護を理由に退職することは回避すること」を推奨しています。
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【斜め上に相談できるひとがいること】
職場での人間関係では、直の上司ラインだけではなく、ラインとは外れた人との関係を大切にすることの重要性を説いています。理由は、利害関係がないことで、相談する側も相談される側ともに遠慮が発生しづらいからです。
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【余暇を大切にすること】
余暇とは、ただ肉体的に精神的に休むだけではありません。著書では、「余暇のなかで見る環境、見られる環境」であることと記述しています。たとえば、休暇中の買い物において、買いたいものを観察すること、そして、自分にとってどんな影響があるのか?という想像を働かせてみることです。
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【さいごに】
AIが益々社会に浸透する時代において、労働者側は、文科系および理科系の両方において基礎的な教養を保持することの重要性をといています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
佐藤優さんが朝日カルチャーセンター新宿教室で行った講座「佐藤優直伝最強の働き方」(2018年2~7月)をもとに再構成加筆したもの。
だから対象は”大人”かな?
冗談を含めながら進める楽しい講座。
でももし、大人である私が実際にこの講座に参加したとして、やはりその場では理解できないかも、というところが多々あります。
たとえば『新・日本の階級社会』について、五つに分けているうちの一つ「新中間階級」。
〈専門管理、事務に従事する被雇用者。女性と非正規の事務を除外。本書の読者にも、新中間階級に属する方が多くいると思う。〉
これを読んで「女性の私は除外」と思ったのですが、その後に続く記載を見ると〈新中間階級は1285万人、(中略)女性比率は32.6%と、実はそんなに高くないんだな〉
これを読むと新中間階級に女性はいる。
でもその前に女性は除外しているのでは?
で、私の頭の中は混乱しています。
どなたか、説明していただけたら、嬉しいです。
そしていろいろ調べてきて、アンダークラスの男性が、いつも不満をもっているのがわかりました。
ところで話はすっかりかわり、佐藤優さんは最近
10年かけた仕事をしあげたそうです。
『神学の技法』『十五の夏』『高畠素之の亡霊』。
私が読んだのは『十五の夏』だけです。
たぶん、他は難しくて挫折したのだと思う。
だけど今回初めて、佐藤優さんが腎臓の病気を患っていることを知りました。
どうかおからだを大切にしていただきたい。
そしてこれからもたくさんのことを教えてください。 -
私の中にない考え方が満載でびっくりした。マルクス主義とかキリスト教徒とか悲観主義とか、能天気な私とは無縁な世界だが、労働環境や未来がそこまで深刻なのは気づいてなかった。何だか将来が怖くなってきた。
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佐藤氏が言う最強の働き方とは、いわゆる
効率化や時短のためにどうすれば良いのか
という内容ではありません。
もっと本質的な内容であって、マルクスや
エンゲルスから学ぶ生き方などです。
「働く」とはどういうことか。そこを考え
尽くすところから始まります。
労働市場にはびこる感情論などを例を挙げ
て分かりやすく解説し、「働く意味」につ
ても説いていく一冊です。 -
同じことばかり言ってるというか、散漫な感じがする。
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カルチャーセンターの講座内容を基にした本。
資本主義社会では労働者の自己実現は無いと喝破。
アンダークラスという階級に自分もいつか分からぬし団塊ジュニア世代の末路が悲惨な事も悟れた。
コンテンプラチオ=自分の持つ最高能力を対象に向けるという用語は知らなかったので興味深かった。
読解力のない為だが具体的な働き方については言及されていないと思う。 -
自分で選んで楽しみたい
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作家はエクスキューズができないような場所に自分をおかないと作品を書き続けることができない。
パワハラ、セクハラは直訴したら必ず勝つ。だが組織は上に対して異議を申し立てる人を本能的に嫌う。
直属の上司でなくて斜め受けの上司に相談する。直接の利害関係でなく人事とかの査定に責任もない親身に相談にのってくれる客観的なアドバイスをもらえる。 -
なんとかならない資格。臨床心理士、公認会計士、弁護士。なんとかなる資格。税理士。
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面白くなかった。自分の知識不足もあるだろうが、文体もひどいし、主張が分かりづらい。手抜きと思える。
佐藤優さんの読書の本とかは大変感銘を受けたのだけど、今回のはものすごく残念。。