- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784473038470
作品紹介・あらすじ
『利休にたずねよ』の作者が浮き彫りにした、情熱の人千利休とその時代。
感想・レビュー・書評
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利休にたずねよという小説を書いた作家によるエッセイ的な利休論。幼い時に聚光院の側に住み、父に連れられて行っていたのが利休との出会い。
利休が神経質で鋭敏な感性を持っていたであろうこと、レトリックの達人でもあったこと、一級の知性を持っていたヴァリニャーノにも茶道具の価値の理解に苦しんだこと、黄金茶室が意外に神秘的で玄妙なる空間であること、狩野永徳や同朋衆と不仲であったろうこと、利休の禅への嗜み、利休の死罪は何でもない秀吉に嫌われたからであろうことなど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
利休の美学の真髄は「大胆にして繊細」。
お茶の世界も深いな。 -
利休にたずねよを読んだ後、目に留まったので手にしてみた。
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『利休にたずねよ』の作者が利休について思うことを書いた本。
たぶん随筆に入れていいと思う。(ちょっと自信がない)
『利休にたずねよ』はあまり興味がなくてスルーしていた。
この本はたまたま茶道の本の棚を見てた時に読みやすそうだと思って手に取っただけという。
そんな感じだったのだが、とても面白く読めた。
歴史学は史料に残されていないことは書いてはいけないので、作者の想像も含んだ利休像が壮絶だなあと思いながら読んでいた。
残された史料、茶道具、茶室から利休の人となりを考えていく。
利休の美に対する執着や、情熱。
当時の時代背景や経済状況も絡めて利休とはどんな人だったのかと自由に掘り下げていく。
戦国時代の終わりは銀の輸出でバブルを迎え、武将たちがお金に物を言わせて名物を求める。
一方で侘び寂びが尊ばれる。
利休の黒、秀吉の金。
その対比もまた美しいんじゃないかとそんなことを考えてみた。 -
「淡公」に連載したエッセイ、というよりは評論に、対談を加え
て単行本化した作品。
侘び茶を完成させた千利休については、著者には『利休に
たずねよ』の作品があるが、執筆の動機となった著者の利休
論が、現存する茶室や茶道具を通して展開される。
それは、「侘び」の枯れた利休像ではなく、定型的な中世の
「書院の茶道」を破壊し、ルネサンスに対比しうる新しい美
を求めた、革新的なエネルギッシュな利休像である。
そして、その極限まで美を追究する姿勢が秀吉に嫌われ、
表現者としての自己を曲げなかった利休は切腹を命じられ
たのだとする。 -
利休のセンスを独自の視点で捉え、秀吉との関係、楽茶碗、待庵、等伯などについて論じており、新しい発見を感じました。
小説とは違う読み応えのある一冊でした。