非暴力の精神と対話 (レグルス文庫 238)

  • 第三文明社
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784476012385

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  • これも同じく論文や講演などの集めもん。

    「他の国々が自由になった我が国からなにかを学ぶことができるよう、また我が国の資源が人類の利益のために役立つことができるよう、わたしはインドの自由を望むのである。全世界が利益を得ることができるように、インドが反映するのをわたしは望んでいる。わたしは、インドが他国の廃墟の上で栄えることを願わない。」
    だからこそ、晩年のガンディーは独立後のインドがネルーらの手によって“普通の近代国家”になっていくことに耐えられず死を望んだんやろう。
    本文の中でも何度も、独立後はインド人がイギリス風の統治をするのでは意味がないと繰り返していた。
    自国が他国の廃墟の上で栄えることを願わない、これは私の問題意識の一部やけど、それの解決に向けた努力・生き方に感銘を受ける。



    「テニソンがうたったように、(自らを)疑う心のゆとりのなかにこそ、より多くの真実がある。」
    疑う心のゆとり。
    意識しよう。



    「文明の実際の判断基準は、そこに住む人々が肉体的な幸福を人生の目的とみなしているという事実にあります。
    むかしは、人々は野外でこころゆくまで働いたが、いまは何千という労働者が集まって、生計をえんがために向上や鉱山で働きます。しかも、彼らの暗い向きは動物にも劣るみじめなものです。彼らは大富豪のために、危険いっぱいの職場で、生命がけで働かざるをえない。むかしは、肉体的な拘束によって奴隷にされたが、いまは、禁欲につられ、また金で買える贅沢欲しさに奴隷にされている。現代には、むかしは夢にも考えられなかったような病気があって、大勢の医者たちがその治療法を発見しようと研究に従事し、病院の数も増えている。これが文明の試金石なのです。むかしは、せいぜい自家製のパンや野菜の食事を二、3回摂るだけだったが、いまだは2時間ごとに何か食べ物を要求して、おかげで他のことをする暇がなくなっている。」
    痛烈な文明批判。
    医療の問題だけでなく、色々な面で私たちは本当に進歩してるんやろううか。進歩の規準を世界の総幸福量にしたとしたら、退歩してないやろうか。問題をひとつ解決してる間に新しい問題がふたつ増えてたら、何のための進歩なんやろうか。
    このまま進んでいても世界が平和にならない、最大多数の最大幸福には向かってないなら方向を転換しなあかん。
    どの方向に転換すればいいのか、転換するためにはどうやって人を動かせるのか。
    でもそのためには、「世界に変化を望むのであれば、自らがその変化となれ」が最初。

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著者プロフィール

ガンディー 1869~1948。インドの思想家、政治家。マハートマ(偉大なる魂)の名で知られる「インド独立の父」。本名、モーハンダース・カラムチャンド・ガンディー。イギリスに留学し、弁護士資格を取得。南アフリカで弁護士活動をおこなうとともに、人種差別の撤廃運動に参加。インド帰国後は、非暴力・不服従運動、抗議のための行進、断食などを通じて、独立運動を指導した。/森本達雄(もりもと・たつお) 1928~2016。和歌山市生まれ。同志社大学神学部卒業。インド国立ヴィシュヴァ・バーラティ大学(通称タゴール国際大学)准教授を経て、帰国後、名城大学教授等を歴任。名城大学名誉教授。現代インド思想・文学専攻。著書に『ガンディー』(講談社)、『インド独立史』『ヒンドゥー教──インドの聖と俗』(以上、中公新書)、『ガンディーとタゴール』(第三文明社)など。訳書にガンディー『獄中からの手紙』(岩波文庫)、『原典でよむ タゴール』(岩波書店)、ネルー『忘れえぬ手紙より』(みすず書房)、ガンディー『わが非暴力の闘い』、K・クリパラーニ『タゴールの生涯』、『タゴール著作集』(以上、第三文明社)など、多数。

「2018年 『『ギーター』書簡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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