イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)

制作 : 上田 淳生 
  • ダイヤモンド社
4.25
  • (87)
  • (61)
  • (37)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 745
レビュー : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478000649

作品紹介・あらすじ

本書は、一九八五年、著者七五歳のときの著作である。イノベーションと企業家精神が誰でも学び実行することができるものであることを明らかにした世界最初の方法論である。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  •  ドラッカーのイノベーション論の集大成として知られる本書は1985年に出版されたものだが、30年以上経ってから読んでも学ぶべきところが多い。クレイトン・クリステンセンの「破壊的イノベーション論」、ジェフリー・ムーアの「キャズム理論」もその原型となる考え方は本書で既に述べられている。
     名著と謳われ、既に古典となりつつある本書ではあるが、第1部「イノベーションの方法」に論じられている「イノベーションの7つの機会」については、いまだに重要性を認識していない企業が多いのではないだろうか。7つの機会のうち誰もが注目する「新しい知識の出現」についてはドラッカーは最もリスクが高いと指摘し、誰もが見過ごしがちな「予期せぬこと」を積極的に活用せよと説く。もし、ドラッカーの指摘を忠実に実践していれば、苦境に陥らずに済んだ企業も多かったに違いない。
     第2、3部で論じられている「企業家精神」、「企業家戦略」にも現代の経営理論の原点となった考え方が散りばめられており、経営理論に精通した人にとっても、初学者にとっても有益だろう。
     昨今のイノベーションブーム(?)の影響を受けたせいか、2015年に本書のエッセンシャル版も出版されている。こちらは内容を確認していないが、本書よりもページ数がやや少ない程度のようなので、個人的には本書の方をお勧めしたい。

  • "イノベーションと企業家精神が誰でも学び実行することができるものであることを明らかにした世界最初の方法論"とのこと。例によって日本経済新聞「リーダーの本棚」欄(2014/7/6)にて紹介されていた本です。

    とりあえず一回通読してみたのですが、驚くほどに自分の中に浸み込んでくるものがありませんでした。具体例がふんだんに収録されているにもかかわらず、どうしても抽象的というイメージだけが残ります。単に読むだけならまったく問題なく読めるのですが、読書から何かを得たいのであれば、自ら考え吸収するための意欲がないとどうしようもない、という一冊でした。『マネジメント エッセンシャル版』を読んだときも同じような印象が残りましたので、ドラッカーの著作とは全体的にそういうものなのかもしれません。ゆえに物事を実践的に考える経営者に愛されるということなのでしょう。

    イノベーションというものが自分にとって切迫したものになったとき、あるいは誰か人の上に立つことになったときに再度読み返したい本です。逆に言うと、いまの自分にはあまり必要性のない本だったということでもあります。

  • (K) シュンペーターは創造的破壊と呼び、ドラッカーがイノベーションと呼んでいる新しいことを創造するプロセスについてまとめた本。イノベーションというと、「当たるも八卦当たらぬも八卦」という博打的な要素が濃いと思いがちであるが、ドラッカーはイノベーションはコントロールできると言い切っている。そのために、何に目をつければ良いのか、どこにイノベーションの芽が隠れているのかを洞察した内容。「予期せぬ成功と失敗」にイノベーションの芽が隠れているらしいが、言われてみれば特に予期せぬ成功はほとんど分析されていないということに気が付く。そういう意味では、我々の組織にはイノベーションを創造する文化が埋め込まれていないのではないかと感じる。
     発展途上国が急速に力をつけ、我々をキャッチアップしている現在、我々先進国がやるべきことはイノベーション以外になくなってきている。その危機意識が不足しているというのも恐ろしい事実である。その危機を我々一人ひとりがもっと実感し、何をしなければならないのかを語り合い、そして行動を起こしていくことが重要である。本書はそのディスカッションのきっかけを与えてくれるはずである。
     でも、正直言えばなかなか頭に残りにくい本だった。ドラッカー独特の言い回しが文章の意味を広げすぎていてわかりにくくさせているという部分もあるが、何よりも読み手のレベルが追いついていないというのが大きな問題だと感じた。数年後に改めて読み直してみると、別の発見があるのかもしれない。

  • 変化の激しい時代になり、ドラッカーが挙げていたイノベーションの機会には溢れている。今はその一歩先、機会を捉えた上で、実現させる力の方が求められている。

  • 原著は1985年の本なれど、まこと27年前の本とは思えぬ新鮮さがある。最終章の「企業家社会」の章では、福祉国家の終焉を告げている。それから27年、いまだ多くの日本人が福祉国家の幻想に囚われている。

    ドラッカーが述べているとおり、福祉国家、つまり、年金や補助金のような仕組みはもはや持続不可能であり、これらに頼らずとも人々が幸せに生活できる社会の構築が必要である。そのために必要なのが、本著のタイトル『イノベーションと企業家精神』に他ならないのではないだろうか?

    <目次>
    まえがき
    第?部 イノベーションの方法
    第1章 イノベーションと企業家精神
    第2章 イノベーションのための七つの機会
    第3章 第一の機会 予期せぬ成功と失敗を利用する
    第4章 第二の機会 ギャップを探す
    第5章 第三の機会 ニーズを見つける
    第6章 第四の機会 産業構造の変化を知る
    第7章 第五の機会 人口構造の変化に着目する
    第8章 第六の機会 認識の変化をとらえる
    第9章 第七の機会 新しい知識を活用する
    第10章 アイデアによるイノベーション
    第11章 イノベーションの原理
     イノベーションの三つの「べからず」
     イノベーションを成功させる三つの条件

    第?部 企業家精神
    第12章 企業家としてのマネジメント
    第13章 既存企業における企業家精神
    第14章 公的機関における企業家精神
    第15章 ベンチャーのマネジメント

    第?部 企業家戦略
    第16章 総力戦略
    第17章 ゲリラ戦略
    第18章 ニッチ戦略
    第19章 顧客想像戦略
    終章 企業化社会

  • ・予期せぬ成功は最もリスクが小さく、最も成果が大きいイノベーションの機会である
    ・予期せぬ成功を検討するために特別な時間を割き、分析すし、その利用法を徹底的に検討する仕事を誰かに担わさなければならない
    ・予期せぬ失敗もイノベーションの機会ととらえる
    ・アメリカのGEは財務畑の人物によってつくられた。知識のよるイノベーションの多くが、科学者や技術者よりも素人を父にもつ結果になっている
    ・イノベーションの三つの「べからず」――?凝りすぎてはならない?多角化してはならない?未来のために行ってはならない(現在のために行う)
    ・既存のものの廃棄は、企業がイノベーションを行うようになるうえで絶対に必要なことである
    ・イノベーションには予想以上の時間がかかり、予想を超えた努力が必要となる。また、最後の段階になって必ず問題や遅れが出るため、成果の規模を目標の3倍に設定することは初歩的な心得である
    ・多角化は市場や技術について既存の事業との共通性がない限りうまくいかない

  • ・様々な気質の人が企業家として成功し得るが、確実性を求める人は企業家には向かない。

    ・イノベーションは天才の閃きによってではなく、体系的に、計画的に行われるようになっている。

    ・科学的な大発明より、些細な社会的改革の方が、市場で大きな成功を収める可能性が高い。

    ・企業家はリスク志向ではない。むしろいかにリスクを減らすかを考える。彼らがイノベーションを行うのは、行わないことのリスクを避けるためである。

    ・自分の製品が想定した目的と違うことに使われていることを機会として捉えよ。

  • 日本の競争力を回復するため、イノベーションの必要性が官民あげて叫ばれている。とくにIoT、AIを活用した業界を破壊するイノベーションが米国を中心に生まれていることから、彼らの手法に学べとデザイン思考、リーンスタートアップなどが大流行である。

    このような流行は2010年ごろからだろうか。

    だが20年以上前に、あのドラッカーがイノベーションについて記したのが本書である。

    イノベーションを体系的に行う手段として次のような内容が説明されている。

    ・まず人口、経済、技術など7つの機会を分析する
     だがイノベーションは理論的な分析であるとともに知覚的な認識であるとして、
    ・実際に外に出て、見て、問い、聞く
     という左脳と右脳の両方を使うことを強調し、実行する際には
    ・焦点を絞り単純な構造にする
     なぜならば新しいことは何が起こるのか分からないので単純でないと修正がきかないからだ。

    表現は違うが、本質的には現代で言われていることと同じではないか。

    本書はさらに、イノベーションのための組織、評価基準、ベンチャーの扱いなど多岐にわたって鋭い論考が述べられ、既存企業がイノベーションをうまく利用するための指針となる。

    新しい本もよいが、この古典から学べることの方が多いと感じる。

  • 原文が難しいのか、翻訳が良くないためか、若干読みにくい部分はあるが、内容は非常に勉強になる。何度も読んで、できれば洋書版と照らし合わせて読みたい。

  • 『マネジメント』のドラッカーがイノベーションについて書いた本。

    どのような活動においてもイノベーションは必要である。
    ただし、イノベーションは思いつきで起こすものではなく、ギャンブルでもない。理論に基づいて行うことが大切だということが、過去のイノベーションの事例からよく分かる。

    企業家精神のある社員を育てるには、イノベーションの取り組みに対してマイナスの評価をしないこと。イノベーション自体リスクのあるものであり、失敗はつきものである。
    一人一人が企業家精神を持って、柔軟に変化を起こしていける組織は強いと感じた。

全65件中 1 - 10件を表示

イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)のその他の作品

P.F.ドラッカーの作品

イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)を本棚に登録しているひと

ツイートする