たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478004524

感想・レビュー・書評

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  • ・タレブの「まぐれ」が(予測不可能な)不確実性を扱い、やや裏道的な内容なのに対して、本書「たまたま」は(予測可能な)不確実性を扱い、まさに王道という内容になっている
      →タレブの「まぐれ」とはまさに表と裏の好対照を成す 本書と合わせて読むことを薦める
    ・そのため、「まぐれ」的な内容を求めていると肩透かしを喰う
      →内容について、行動経済学的な、または(予測不能な)ブラックスワン的な内容より、(予測可能な)正統派的な確率に関する内容が中心となっている
    ・確率と統計の歴史を丹念に追うところは「リスク」と同じだが、内容的には本書の方が読み易い
    ・実力と運(ランダムネス)を勘違いするなという警句はタレブと同じだが、そのことに対する処方箋として、「偶然の確率を自分でコントロールすることは不可能だが、チャレンジする回数を増やすことは自分でコントロール可能」と「前向きに歩くことの重要性」を訴えている点は好感が持てる

    【面白いトピックは次のとおり】
    ・平均回帰 …特別な事象があった後は、純粋の偶然により、十中八九ありきたりの事象が起きる
     →行動習性の理論「前向きな行動に報酬を与えることは効果があるが、失敗を罰することはそうではない」
     →しかし空軍の多くの飛行教官の実感は「訓練生が見事な操縦をした際に褒めると、次回は決まって悪くなる」「下手な操縦をした生徒を怒鳴りつけると、おしなべて次回は操縦が改善される」
     →理論(報酬は罰よりうまくいく)と実践(罰は報酬よりうまくいく)がズレるのは何故か
     →怒鳴った後、改善が見られる事は確かだが、見た目と違い、怒鳴ったことが改善もたらした訳ではない
     →理由は「平均回帰」にある
     →訓練生の技術は通常、目に見えないほどゆっくりとしか向上していかない、その為、特別にうまい(下手な)操縦をするのは、たいてい運の問題と言える
     →標準よりうまい操縦を偶然した訓練生は、翌日は標準的な(つまりもっと下手な)操縦をする確率が高い そしてもし教官が彼を褒めていれば、褒めても効果が無いように見える

    ・可溶性バイアス …自分の中の最も印象的な記憶に、保証の無い重要性を与えてしまう

    ・DNA鑑定の本当の精度
     →DNA鑑定が間違う確率は、10億分の1
     →ただし、DNA鑑定する研究所が人間的要因(ヒューマンエラー)により、鑑定を間違う確率は1%
     →100人に1人は間違う可能性がある ※意外と間違える確率は高い

  • 「まぐれ」のヒットに追随しようと「たまたま」というタイトルをつけたと思うが、原題は「The Drunker's Walk」なので、これまた「ウォール街のランダムウォーカー(A Random Walk down Wall Street)」にもかぶっているのかもしれない。人間の脳は確率統計をうまく解釈できるようには必ずしもできていないことをエピソードを交えて解説している。丁寧な記述でビジネス・金融よりも科学よりなので安心して読める。

  • パスカルの三角形は初見だったが、それが正規分布に繋がっていくあたりは読んでいてとてもおもしろかった。

  • おもしろい話題がたくさんあるが、難しい話も多く。流し読みでは理解できなかった。

  • まあ、読み物としては面白いけど,同じようなテーマの本を何冊か読んでるから特に真新しさはない。

    いろんなことにたまたまがつきまとってるよ、という話。

    で、俺はどうする?というのが問題。
    うまく行く確率を上げる
    うまくいっても運のおかげだと謙虚になる
    うまくいかなくても不用意に落ち込まない
    他人がうまくいってなくても馬鹿にしない
    。。。ことにしようかな

  • 確率について
    ベイズとかはわかりやすかった

  • 2009年11月15日 日経書評

  • 本のタイトルに惹かれて手にとった一冊。(なんでこんな訳になるのか、いまだ疑問です)。

    内容は確率論の基礎のようなお話。事例が豊富で(かなり脇道にそれています)、確率論初心者にはよいのではないでしょか。

    現在読書中。

  • 一年だけ活躍したプロスポーツ選手に巨額の長期契約を結ぶべきかなど、限られたデータから真実を知るためには統計学の知識が必要になってくる。できるだけ多数のサンプリングを行えば、確からしさはアップするが、選挙結果の予測を99.9%の精度で行おうとすると、数十万のサンプルが必要になるので、通常は1000件程度のサンプル・95%で満足せざるを得ない。ベルヌーイ試行・ベルヌーイ過程からベイズ推定まで、確率統計学の歩みが描かれる。歴史や人物像の話が多く、流れを俯瞰するにはよいが、詳しくはやはり別の本にあたる必要がありそう。・赤・緑がランダムに出現し、次の色を予測するというゲームの場合、赤:緑が3:1で現れるという条件では出現パターンを読むことができればそれがベストだが、そうでない場合は全てが赤という予測が一番良い。赤:緑が3:1になるような予測をしようとすると、正答率は6割程度になる(訳者の註では3/4X3/4とあるが、3/4X3/4+1/4X1/4では?)・ベイズの手法の鍵は、新しい情報を使って標本空間を切り詰める、不適切なものを取り除き確率を調整することだ。・成功とか失敗を目にする場合、これはただ一点のデータ、ベルカーブ上の一点を見ているにすぎない。これがはたして平均値を表しているのか、異常値を表しているのか、あてにできる出来事なのかまれな出来事なのかは分からない。・ランダムな変化の中にパターンがあっても、パターンが常に意味を持っているわけではない。意味がない時に意味を引き出さないようにするということも重要だ。

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著者プロフィール

レナード・ムロディナウ
カリフォルニア大学バークレー校で理論物理学の博士号を取得し、マックス・プランク研究所でアレクサンダー・フォン・フンボルト・フェローを経て、カリフォルニア工科大学で教壇に立った。著書に『ファインマンさん 最後の授業』(安平文子訳、メディアファクトリー、2003年、現在ちくま学芸文庫)、『たまたま:日常に潜む「偶然」を科学する』(田中三彦訳、ダイヤモンド社、2009年)、『しらずしらず:あなたの9割を支配する「無意識」を科学する』(水谷淳訳、ダイヤモンド社、2013年)、『この世界を知るための 人類と科学の400万年史』(水谷淳訳、河出書房新社、2016年、現在河出文庫)、『柔軟的思考:困難を乗り越える独創的な脳』(水谷淳訳、河出書房新社、2019年)などがあり、スティーヴン・ホーキングとの共著に『ホーキング、宇宙のすべてを語る』(佐藤勝彦訳、ランダムハウス講談社、2005年)、『ホーキング、宇宙と人間を語る』(佐藤勝彦訳、エクスナレッジ、2011年)がある。

「2023年 『「感情」は最強の武器である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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