とても難解な本だった。著者は、脆さに着目することが大事だという。脆いの反対が、反脆い(はんもろい)だ。
不確実なことに対して、筆者が推奨するのがバーベル戦略。バーベルは、両端が極端に重くて、中央には何もない形をしている。
これと同じように、極端な安全策と極端なリスクテイクをとったほうが成功する可能性が高いと考えている。
例えば、過去の偉大な作家は、外交官や公務員とある程度時間のある仕事に就きながら、一方で執筆をしていた。森鴎外などが該当する。
バーベル戦略は、不確実性を排除するのではなく、不確実性を手なずけることにつながる。
ブラック・スワンとは、巨大な影響をもたらす、大規模で、予測不能で、突発的な事象を意味している。
私たちは、ブラック・スワンを追跡することなど到底無理だし、衝撃の起こる確率を測定することもできない
月並みの国と果ての国が興味深い。
月並みの国とは、毎日小さな変動があるものの、ブラックスワンのような大きな変動が一気に来ないシステムのこと。
果ての国とは、普段の変動は少ないのに、何かの機会でとてつもない変更が起こるシステムのこと。
例えば、私たちの体重が月並みの国。現在の新型コロナ騒ぎは、果ての国の現象。中央集権型の政府にはうまく適応できるが、果ての国に対しては無力である傾向が高い。
また、よいシステムと、悪いシステムの話も印象的だった。
よいシステムは、失敗が起きるにしても小さく、独立している。
例えば、航空業界。飛行機は、墜落する度、次の墜落の可能性が小さくなる。
反対に、銀行は破綻すると、次に破綻する可能性が高くなる。