- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478026212
感想・レビュー・書評
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言わずと知れた、獺祭の誕生がこんなにも大変な状況からの出発だったなんて。。。
めげない、曲げない、出来る事を活かす!
ローマは1日にしてならず。ではないけれど、決して平坦ではなかったのだなぁ、と思う。
獺祭!味わいたくなりました。勇気と根気も貰って。。 -
経営方法としては確かにそうだろう、という目新しさはない(それだけ基本的に重要なとこもある)。経営と会社の物語や社長の個人的エピソード、酒作りにまつわるトリビアがほどよくミックスされていて、読み物としてまとまっている。
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・価格に見合った価値を提供できなければ、お客様は美味しいと感じてくださらない。
・失敗や窮地に追い込まれた時、如何に熱意を維持するかが重要
・「勘と経験」は「数値化、見える化」する。
どうしても数値化できないところは、最後は人がやる。
・既存の設備を徹底的活用する。ないからできないではなく、あるものを創意工夫でフル活用することで窮地を乗り切る。
・費用対効果と言った瞬間、この程度でいいんだという甘さがでる。
・失敗してもよい。恐れることはない。だけど失敗という結果がでたら、次からはやり方を変えてほしい。
・「がんばらないけど、あきらめない」
・「ジャパン・メイド」ではなく「ジャパン・クオリティ」へのこだわり。ユニクロも同じ。HMのラインナップ重視ではなく、質重視。これがヤマグチ・スピリッツ。
・追求すべきものは、「日本的なもの=洗練、カイゼン。」
・技術革新や変わること、つまり、「工夫」も伝統的な日本の文化。ただし、細部にこだわりすぎて、本質的なところを追求できない欠点には注意が必要。
・仕組みがダメなら、自分で変える。 -
日本酒が好きなので、奥トレで交換してもらったこの本も一気に読ませてもらいました。獺祭が生まれるまでにこんな苦労や工夫やあったんだって読みながら、それでも諦めずに結果につなげてきた著者の努力に敬意を覚えました。そして、何度も酒蔵見学している小澤酒造や酒蔵で働く友人の仕事を垣間見ることができて、さらに日本酒に愛着を持った一冊でした。最後の一節、「逆境をはねのけるのは、私たちにとって慣れた戦い」と自分も言えるよう頑張っていきたいと思いました。
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獺祭飲みたい!
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獺祭はうまい。
日本酒通ではないが、飲みに行くと置いてるかチェックしてしまう。
八海山や久保田が好きでしたが、飲みやすいので非常に気に入っています。(今も獺祭しか飲まないと言うわけではない)
タイトルの通り読めば読むだけご苦労されたというこちがわかります。
古くから続く業態、業界でそれを変革するのは難しいと思います。
が、それをやるんだと強く思う人がいれば、絶対に出来ないとは言えない。諦めたらそれで終わりだし。
日本の文化を世界に知ってもらう、日本酒を美味しいと思ってもらうために。
目的が明確になっているから素晴らしいのかな。
自分自身が祖父の代から続く事業をかじりもせずに放棄してしまった。業界的に厳しいから気にしなくてよいと言われたのだけど、親は寂しかったかもしれない。
今更ではありますが、それも自分が選んだ道。そこできちんとやれること、やりたいことを諦めずにやりきることが親孝行かと思い、頑張っていこうと思う。
磨きが味を変えるなんてことを知ったのも、このお酒のおかげ。世知辛い世の中だけど日本を応援したい気持ちって大事だ。
これからももっと美味しいと思えるものに出会えることを楽しみにしています。 -
日本酒市場で人気を誇る「獺祭」を製造・販売する旭酒造の「獺祭」の開発秘話と同社の歩みを書いた一冊。
先日アメリカを訪問した安部総理をもてなしの席で出された一品でもある「獺祭」。圧倒的な品質を誇る逸品はどん底の中から様々な経験を経て生まれたことを本書を読んで知りました。
また、日本酒の製造法やワインとの違いなどお酒に関する知識も得ることができました。
世界展開していくなかでも日本で販売している商品で勝負する姿勢や杜氏が居なくても徹底した数値管理で四季醸造を行える体制を作り上げたことなどは氏の執念を感じました。
美味しいお酒を届けるために純米大吟醸にこだわり、地元の人や多くの人に支えられながらここまでのブランドに育った「獺祭」
原料となる山田錦の問題や人口減に伴う国内需要の問題などはありますが、ドン底から這い上がってきた同社のストーリーを読んで世界で闘う姿が今後一層に楽しみになりました。そして、世界の「DASSAI」として認知される日が来ることを強く感じました。 -
(「普通」はすなわち「負け」とは?)……私が社長になったころの旭酒造にとって、酒蔵商売の”正攻法”とは、一生懸命に酒屋さんを回って人間関係を築き、酒を売ってもらうことにありました、それが、一般的な酒蔵のスタイルだったのです。酒蔵といえども企業です、企業である限り社会に貢献しなければ存続する価値はない。「徹底的に『美味しい酒』を造ろう」それは、挑戦という名の、さらなる困難に足を踏み入れた瞬間でした。
(追いこまれてこそ?)……「自分で造ろう。そうすれば、今まで杜氏に遠慮して安易に流れていた酒造りも、したいようにできる。挑戦できる!」経営に集まって来るお客様の声を、そのまま酒造りに反映できる、妥協のない酒造りに挑戦できるようになるのです。
(経験と勘は数値化?)……従来の杜氏の経験と勘に任せた製法だと、人の手によるため案外いい加減な調整になります。
(がんばらない仕組みって?)……組織は回り続ける性質を持っているので、小さなミスに気がついても、それを隠ぺいし、組織を維持しようとする力学が働くからです。とにかく、ミスは絶対起こさない! といきがるのではなく、人間は必ずミスを起こすという前提で、それを早く発見して速やかに対応できる仕組みづくりを、課題として感じています。「眦を決してがんばる、なんてかんがえなくていいから。シラーッと決まった仕事を毎日こなしていけばいいから」そう社員にもよく話しています、それでよい酒ができる設備と技術を追求する環境を準備するのが、社長である自分の責務だと思うのです。 -
つぶれかけの山奥の小さな酒蔵が、”獺祭(だっさい)”という純米大吟醸酒に全てを賭けて、パリに直営店を開くまでになった希有な成功ストーリー。
背水の陣というと聞こえはいいが、勘当状態だった三代目の著者は必要に迫られて、圧倒的な負け状態を打開するために知恵を絞った。その一つとして、酒造りの常識と思われていた冬場の杜氏の仕事を、素人の社員が一年中通じてできるように設備を整えた。
”大和魂や個人の重労働によった酒造りだけでなく、毎日の決まった仕事を淡々とこなすことで、最高の品質を可能にする酒造りの構築を目指しています。(P.64)”
著者の会社が伸びたのは、デジタルな数値を毎日チェックし最高の酒造りを目指しながらも、最後の最後は「わからない領域がある、ということがわからないと、本質はわからない(P.155)」と、数値の限界があることに気付いて、本質をさらに追究していったからだろう。
その後も、試行錯誤の末にたどりついた酒造好適米「山田錦」の全国買い付けや、海外への情報発信、お客様の飲酒と健康の関係、日本酒用のオリジナルグラスと、いつしか本質をぶらさない発想が、従来の常識を次々と破っていくことになる。
誰でもすぐに真似できるものではないが、事業の成功も継続も、おごらずあきらめないことが秘訣だということを教えてくれる。