- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478106761
感想・レビュー・書評
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ネットの記事で著者(西洋美術史家)が、西洋では印象派絵画(日本では大人気だが)を好きな人は、下に見られると書いていたのでがぜん興味がわいた。印象派は現代美術なので、それ以前の宗教画や歴史画を見なければならいそうである。ルーベンスやベラスケス辺りが良いのかもしれない。昔の絵画には色々なお約束(キリストは魚、百合は純潔、脱いだ靴は性的に奔放とか)があることを知った。神話画はヌード(ヴィーナスの誕生とか)を描く為の口実であり、キューピッドと天使は別物、天使は神の使い(使徒)。キューピッドは悪ふざけをする恋の使いだ。大天使(下級天使の最上位)から下の天使は人型で、ミカエルは男性、ガブリエルは女性の大人風として描かれ、それより下位の天使はキューピッド風の見た目。
日本では明治維新後に西洋美術が入ってきたので、当時流行していた近代絵画である印象派や写実主義が受け入れられた。しかし、それは決してフランス絵画のメインストリームでは無かった。生前から評価の高い画家はファーストネームで知られている(ルーベンスとか)が、無名だった画家はラストネームで知られる(ゴッホとか)。
この様な知識は、外国のエスタブリッシュメントとビジネスしていく上で必要な知識とのこと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
めちゃくちゃ面白い。歴史や背景を知ると楽しめる絵画。
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名画をより深く観たり鑑賞するために、その名画を「読む」必要があると言う。時代背景や書かれているものの意味など、知ると数倍楽しくなりそうです。特に近代絵画以前の絵画鑑賞の見方がガラリと変ります。お勧めの1冊です。あとがきで「後期印象派以降の近代美術と現代美術に関しては、その基礎である古典芸術を把握したうえで、別のアプローチ」が必要と書かれていて、そちらもぜひ読んでみたいものです。
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美術の知識は全くないような状態で読みましたが、中学の美術の授業でも、この本のように歴史的背景と結びつけて教えてくれていたら、もっと早く美術の魅力に気づけていたのではないかと思います。
中学だとまだ日本史しか学んでいない段階なので厳しいのかもしれませんが。
特に中学校で学ぶ理系以外の科目は、なぜなのかという繋がりを話せる先生がいたら、興味を持てていたのかなと思いました。 -
十九世紀前半までの西洋絵画の読み方(=宗教的な教え、神話のストーリー、政治的なメッセージ、日常生活に対する戒めなど)を、ジャンル(歴史画、肖像画、風俗画、風景画、静物画)別に解説した書。
宗教画は、「文字が読めない文明的に後進の人々に聖書の教えを伝えるために」本の挿し絵のように「目で読む聖書」としての役割を持っていたのだという。しかも、当時の人々は、「聖職者や説教師たちの説明や言葉によって理解し「読む」ことができ」たのだという。どうりで、我々が見てもその良さ(?)を十分に鑑賞することが出来ないわけだ。
全体を概観しているだけなので、内容的には物足りない感じもするが、印象深かったフェルメールの「デルフトの眺望」やブリュールの絵が紹介されていて嬉しかった。 -
絵画は観るものでなく読むものだ、という筆者の言葉がよく理解できる一冊。美術館は好きで昔からよく足を運んでいるけれど、その絵画を通じて伝えたかった画家の意図や時代背景は全く分かっていなかった。一度読むだけでは正直足りないかも。世界史から勉強しなおしたい!
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聖人や神々を見分けるためのアトリビュート(持ち物)
プリマヴェーラは寓意画。歴史画の中で寓意画が最も高貴とされる。
カンヴァセーションピース(団欒肖像画)
オランダ風俗画
教訓的メッセージ
水差しは純潔を示し、楽器は性行為を示す
雅宴画、ロココ絵画
ファーストネームで呼ばれることは、美術史では名誉
古典美術と、現代美術を同じ論点からは記せない
古典的アプローチは19世紀前半まで
19世紀後半に、美術の近代化とジャンルのヒエラルキーが崩壊する -
絵画を、歴史画、神話画、肖像画などのジャンルごとにわけて解説する。美術史をひろく捉えるにはうってつけ。ただ、西洋とくに西ヨーロッパに偏っていることは否めない。
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絵画を通じて歴史を学べる。前作に続き、非常に面白い。
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タイトルが嫌で手に取るのをためらっていたが、内容は至極まとも。とても勉強になった。
人物の近くに配置された物によって、それが誰であるかがわかったり、なにを暗示しているかがわかったり、知っていると楽しみが深まると思う。
構図は配色とはまた別の視点を知ることができた。